ラズベリー・ビター・チョコレート

ゆきんこ

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〇教室
凌馬(りょうま)「蓮!オマエ、サッカー推薦で赤坂高行ったのかと思ってたよ」
蓮(れん)「テメー、入学早々、俺の傷口エグってんじゃねえよ」
蓮(れん)「去年、練習中に怪我して推薦は取り消し」
蓮(れん)「一般受験したんだよ」
蓮(れん)「あー、めんどくせえ」
蓮(れん)「だから中学一緒の奴らが居なそうな高校選んだのに」
蓮(れん)「もう知ってるヤツ居ないよな」
凌馬(りょうま)「地元だから、どうかな。隣のクラスに海人は居るよ」
蓮(れん)「海人って・・・村上海人? 小学校のクラスメイトの!?」
凌馬(りょうま)「そうそう。お前ら、高学年の時はよくツルんでなかった?」
蓮(れん)「そうだったっけ?」
蓮(れん)「俺、ションベン行っておくわ」

〇学校の廊下
蓮(れん)「海人・・・クソ・・・あいつが隣のクラスかよ」
  俺は隣のクラスを見回してみた
蓮(れん)「いねーな。小学生以来だから、分かんないかな」
みつき「誰か探しているの?」
蓮(れん)「村上海人ってやつ、分かる?」
みつき「海人、今来たよ」

〇教室の教壇
蓮(れん)「俺が知ってる、小さくて、気が弱そうで、女みたいな海人じゃねえ!」
蓮(れん)「で、デカイな」
みつき「185センチあるんだって。 イケメンだし、最強よね〜❤️」
蓮(れん)「もしかして君、」
蓮(れん)「海人のこと・・・好き?」
みつき「ハズい!なんで分かったの?」
みつき「ちなみにアナタは海人とどういう関係?」
蓮(れん)「俺は──」

〇黒
  俺は小学生の時に、海人とつき合っていた。

〇学校の廊下
海人(かいと)「久しぶり。変わってないな、蓮。 一緒に帰らないか?」
蓮(れん)「お、おう、海人なのか?すげー久しぶり!」
蓮(れん)「なんで廊下で待ち伏せしてるんだよ」
蓮(れん)「さっき見てたの、バレていたのかな?」

〇通学路
蓮(れん)「げ、げ、元気だった?」
海人(かいと)「あのさあ」
海人(かいと)「あの時、オマエが俺にキスしようとしたの、アレ、誤解なんだ!」
海人(かいと)「いや違うわ」
海人(かいと)「そもそも、俺がオマエにつき合ってと言ったこと自体が、誤解なんだ!!」
蓮(れん)「はあ?」
蓮(れん)「突然、何なんだよ!?」
海人(かいと)「俺、イジメられっ子だったから、人気者の蓮と仲良くなりたかったんだ」
海人(かいと)「どう言ったら親友になれるか考えてたら 『つき合って』って言っちゃったんだ!」
蓮(れん)「な、俺は海人のこと真剣に悩んで、デートに誘ったり、卒業式だって、思いに応えなきゃと思ったから、チューしようとっ・・・」
海人(かいと)「蓮、恥ずかしい。声ちいさくして」
蓮(れん)「うっ、悪い」
蓮(れん)「で?海人は何が言いたいワケ!?」
海人(かいと)「あの時は、俺が全部悪かったよ」
海人(かいと)「キスを避けた後で連絡も取らなかったし」
海人(かいと)「でも、せっかくまた、蓮と同じ学校になったし、俺たち、友達に戻れないかな?」
蓮(れん)「クソ。俺よりデカイくせに、カワイイのかよ」
蓮(れん)「許しちまうだろーが」
蓮(れん)「あ、声に出てた」

〇黒
  俺は蓮と友達としてやり直すことにした。

〇学校の屋上
みつき「海人と友達だったなら、言いなさいよね!」
蓮(れん)「海人とまたツルむようになってから、やたらと付きまとってくるな」
みつき「週末に遊園地行こうって計画あるけど、蓮も来てね!」
蓮(れん)「それって・・・」
蓮(れん)「海人も連れてこいってこと?」
みつき「さすが蓮!話が早い♪」
みつき「私もカワイイ女の子たちに声かけるから、ヨロシク!!」
蓮(れん)「小6の時も海人を誘って、2人で遊園地に行ったな」

〇遊園地の全景
  ガキだったから、絶叫マシンには乗れなくて、ミラーハウスやお化け屋敷とかを2人で回った。
  アイツは忘れているかもしれないけど
  俺は1日手を繋いで、デートらしきことをしたのは、あの時が初めてだったんだ。
  でも、俺のハツコイは、幻だったんだな。

〇お化け屋敷
みつき「お化け屋敷は、な、なんとクジでペアになって入りま〜す!!」
蓮(れん)「ゲゲッ!!なんで俺と海人がペアなんだよ!?」
みつき「希美が来なかったからだ〜!計算外!!」
蓮(れん)「マズイだろ〜男同士は」
海人(かいと)「俺はいいよ。行こう、蓮」

〇坑道
蓮(れん)「オマエ、なんか拗ねてない?」
海人(かいと)「別に」
海人(かいと)「蓮こそ、つき合っていたくせに、なんで俺と入るのを嫌がるんだよ」
蓮(れん)「それは・・・誤解だったんだろ?」
蓮(れん)「うわあっ!」
海人(かいと)「どうした?」
蓮(れん)「今、冷たいモノが首すじに・・・」
蓮(れん)「わあ!足、足掴まれた!! ぎゃあああアアア!!」
海人(かいと)「今度は何?」
蓮(れん)「ガイコツ!ガイコツ!!」
海人(かいと)「しょうがないなあ」
  海人が俺を抱き寄せ、
  俺は海人の胸で耳の中まで赤くなった。
海人(かいと)「俺が居るから、大丈夫」
海人(かいと)「楽しいな。昔に戻ったみたいだ」
海人(かいと)「あ、でもこれじゃ、昔と逆だね」
海人(かいと)「昔は怖がる俺を、蓮が手を繋いで引っ張ってくれたよね」
蓮(れん)「覚えていたのかよ」
蓮(れん)「もう、オバケも気にならないくらい、心臓がバクバクして、止まらない・・・って」
蓮(れん)「あれ?コレじゃあ俺がまるで・・・」

〇学校の駐輪場
  ある日の放課後──
蓮(れん)「そろそろ海人、来るかな」
「あ、来た!」
先輩「村上くん!」
先輩「村上くんて、彼女居るの?」
海人(かいと)「居ない、ですけど?」
先輩「私とつき合ってくれない?好きなの」

〇黒
  漫画のワンシーンみたいな光景を目にして
  俺はその場から逃げ出した。

〇川沿いの公園
海人(かいと)「待てよ、蓮」
海人(かいと)「なんで泣いているんだよ」
蓮(れん)「走ったら、虫が目に入ったんだよ」
蓮(れん)「オマエこそ告られたのに、オンナ置いてくるんじゃねえよ」
海人(かいと)「別に。断ったし」
蓮(れん)「キレイな先輩だったじゃねえか。──もったいねえな」
海人(かいと)「泣いてるのって、俺のせいなの?」
蓮(れん)「ち、ちげーよ!」
蓮(れん)「なんなの、その自意識過剰?ムカつくわ」
海人(かいと)「だったら・・・」
海人(かいと)「泣くなよ」
蓮(れん)「俺さあ」
蓮(れん)「この前のお化け屋敷でさあ、なんか分かんねーけど」
蓮(れん)「海人と居て、あったかいキモチになったんだよ」
蓮(れん)「クソ、なんで俺がオマエに告らなきゃならねーんだ?」
海人(かいと)「あのさあ、蓮」
海人(かいと)「俺も告るけど」
海人(かいと)「俺がつき合いたいのは、蓮なんだ」
海人(かいと)「もちろん、昔とは違った意味で」
海人(かいと)「その・・・カレカノ?」
蓮(れん)「えええっ!!」
海人(かいと)「上手く言えないけど、俺も蓮と同じキモチだと思う」
海人(かいと)「──イヤかな?」
蓮(れん)「イヤじゃ・・・ないです」
海人(かいと)「じゃあ蓮、これからも隣に居てね!」

〇黒
  見上げると、海人が顔を近づけてきた

〇川沿いの公園
海人「チュッ」
蓮(れん)「おデコかよ・・・・・・!!」
  fin

コメント

  • オデコ最高です👏

  • 甘酸っぱすぎです!ごちそうさまです!
    回想シーンも、リアルタイムシーンも、2人の距離感にグッときます!

  • すんなりいかないもどかしさもあって、最後の結末が嬉しすぎてキュンキュンきました。なにかの拍子に相手への気持ちにどんどん気づいていくことってありますよね。

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