破邪の拳 ~ニート武道家の地下格闘技トーナメント~

武智城太郎

第二一話 怪物VS怪物(脚本)

破邪の拳 ~ニート武道家の地下格闘技トーナメント~

武智城太郎

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〇劇場の座席
リングアナ「これより準決勝第2試合をはじめます!」
青馬文彦「間にあったか」

〇闘技場
  闘技場の中央では、ザ・ワンと草刈遼が対峙している。
リングアナ「草刈選手は中量級の体格で、ザ・ワン選手より三回りほども小柄です」
リングアナ「ですが臆することなく、余裕の笑みを浮かべています」

〇劇場の座席
リングアナ「両選手とも、キャリア不明の謎の選手同士です」
観客「キャーッ!!」
「草刈さーん!!」
  関係者席のわきには、やはり白衣の研究者風の男二人がいる。

〇闘技場
ミスター小林「両者とも全力で闘うように」
リングアナ「試合開始と同時に、ザ・ワン選手が猛攻を仕掛けます!!」
リングアナ「凄まじい剛腕パンチの連続ーっ!!」
リングアナ「草刈選手、両腕でガードしていますが、何発もまともに食らっています!!」

〇劇場の座席
リングアナ「これはいきなりの大ピンチだーっ!!」
リングアナ「またも秒殺KO劇か!?」
青馬文彦「妙だな。わざと殴られてるみたいだ・・・」

〇闘技場
根岸学「・・・!?」
  ザ・ワンは草刈を正面から抱え持ち──
リングアナ「豪快なフロント・スープレックス!!」
リングアナ「草刈選手の上半身が土中にめりこんだーーっ!!」
リングアナ「これは、二人目の死者が出てしまったかーっ!!」
  だが草刈はすぐに地面から頭を引き抜いて、平然と立ち上がる。
リングアナ「草刈選手、無事でした! なんというタフさだあ!!」
草刈遼「たいしたことないね」
根岸学「・・・!!」
草刈遼「そろそろ俺のターンだな」
  草刈のパンチがかすめただけで、ザ・ワンの肩の肉が裂ける。
リングアナ「草刈選手のラリアットで、ザ・ワン選手の巨体が吹っ飛んだーっ!!」
リングアナ「ザ・ワン選手、ダウン! 信じられません!!」
リングアナ「草刈選手、なんというスーパーパワーだーっ!!」
草刈遼「さあて、フィニッシュ・ホールドは何がいいかな?」
草刈遼「俺も投げ技をやってみるか」
  草刈はザ・ワンの頭をアイアンクローでつかみ、強制的に立ち上がらせる。
根岸学(ん!? 草刈のこめかみの傷口・・・)
根岸学(ぱっくり開いてるのに、血が一滴も出ていない!?)
  ザ・ワンは、草刈のこめかみの傷口に指を差し入れ、顔面の皮膚を剥ぎ取る。

〇劇場の座席
木下「ひぃっ!!」

〇闘技場
  草刈の顔面の皮膚の下からあらわれたのは、グロテスクな骨肉ではなく──
  奇怪な金属製の物体だった。
根岸学「ウオオオーーッッ!!」
  一気に草刈の全身の皮膚を剥がしていく。
  そうして、現れた草刈の真の姿は──

〇劇場の座席
リングアナ「ロボット!?」
リングアナ「まるでSFホラー!! 何がいったいどうなってるんだーっ!?」
リングアナ「ここで情報が入りました。草刈選手は、大手機械メーカー製の全身を義体化した強化サイボーグだそうです!」
「ブーーーーーーッ!!」
リングアナ「本大会には、改良のための実践データ収集が目的で出場したそうです」
リングアナ「しかしこれは大会運営側も承知のこと。本大会では、全身武器とも思える強化サイボーグでさえ反則ではないのです!」
リングアナ「さきほどの大ダコ戦で見せた茹でダコ殺法も、強化サイボーグならではの熱攻撃だったようです」
観客「卑怯だぞ!」
「失格だ!」

〇闘技場
草刈遼「観客の皆様! わたしは今、非常にショックを受けています!」
草刈遼「こんな不当な差別を受けるなんて!」
  脚部に装備されているケースが開き、何かを取り出すと、高く掲げる。
草刈遼「幼い頃に遭った交通事故! 大手術! 必死のリハビリ!」
草刈遼「身体障害者として、こんなにつらいことはありません!!」

〇劇場の座席
リングアナ「おおっとこれは、夏目選手の試合に続いてセンシティブな社会問題がからんできました!」
リングアナ「たしかにパラリンピックにおいても、スポーツ用の義手・義足の選手が大活躍しております」

〇闘技場
  皆がしんみりしている隙に、草刈の右腕が変形していき──
草刈遼「くたばれ!!」

〇劇場の座席
リングアナ「なんてことだ! まるで戦場です! ザ・ワン選手が木っ端微塵に・・・」

〇闘技場
草刈遼「ククッ・・・ 切り札、使っちまったな」
  だが白煙が晴れたとき──

〇闘技場
草刈遼「・・・?」
リングアナ「なんということだぁ! ザ・ワン選手にはロケット弾さえ通用しません!!」
  ザ・ワンは草刈の胴体をガッチリと抱え、野太い両腕で締めあげていく。
リングアナ「ザ・ワン選手、ついに草刈選手の金属ボディを抱き潰してしまったーっ!!」
  地面に倒れた草刈は、手足をバタバタともがくことしかできない。
  カン!カン!カン!カン!カーン!!

〇劇場の座席
リングアナ「草刈選手の故障により、ザ・ワン選手の勝利です!」
リングアナ「今入った情報によりますと、草刈選手の先ほどの涙の訴えは大ウソ」
リングアナ「本当のところは、莫大な報酬目当てで、好き好んでサイボーグ手術を受けたそうです」
リングアナ「しかもそもそも身体改造マニアで、趣味も兼ねていたようです」
  大型スクリーンに、草刈が何年か前にSNSに投稿した画像が次々と映し出される。
  全身にタトゥーをほどこし、さらにインプラントで無数の角や牙を生やしたりして、どんどんエスカレートしていき──

〇ライブハウスの控室
  最終的には化け物のような姿になっている。

〇劇場の座席
「うっ・・・」
リングアナ「ザ・ワン選手が、見事決勝に駒をすすめました!」
リングアナ「果たしてその名のとおり、自身が№1であることを証明できるでしょうか!」
青馬文彦「やはり強い! いよいよ最終奥義を使わねばならないようだな!」
リングアナ「さて、いよいよ次は決勝!! 最後の一戦!!」
リングアナ「ザ・ワン選手対青馬文彦選手の闘いです!!」

〇黒
  つづく
  次回予告
  
  第二二話 決戦
  
        乞うご期待!!

次のエピソード:第二二話 決戦

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