漆黒のデュランダル伝説 ~ただの中二病の俺が勇者に祭りあげられてしまった件~

ウロジ太郎

第5章第1節『俺と美少年 -運命の出逢い-』(脚本)

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〇空き地
闇の眷属「デュランダル! クラエェ!」
  突然現れた闇の眷属が、只野に襲いかか
  った。
  鉤爪が只野のズボンを掠る。
只野男志「ぎゃあ! ズボン破れた! ケツのところが! お尻がスースーするっ」
闇の眷属「・・・オマエ、弱スギルナ。 モシカシテ、デュランダル、チガウ?」
只野男志「げっ。こいつ、勘がいい」
闇の眷属「ヤハリ偽者カ! 大事件ダ。 アノ御方ニ、ゴ報告シナケレバ・・・!」
只野男志「玖珠絵様! やばいです!」
  離れて見ていた玖珠絵が剣を出現させる。
狩場玖珠絵「我に宿りし神聖なる湖水 (セイクリッド・パワー )よ!」
狩場玖珠絵「クリスタルレイク・ビーム!」
  水色のビームが眷属に直撃した。
闇の眷属「グワァァアア~~ッ!?」
只野男志「うわ。一撃で木っ端微塵」
  玖珠絵が只野のそばに来る。
  そしてわき腹をドスッと殴った。
只野男志「うげふぅ! 脇腹、脇腹やめてっ」
狩場玖珠絵「本当、アンタって使えないクソザコね」
狩場玖珠絵「デフレエルを撃退したっていうから、少しは使えるようになったかと思ったら」
只野男志「す、すいません・・・」
狩場玖珠絵「クソデュランダルの替え玉として利用しようにも、いつおっ死ぬかわかんないじゃない」
狩場玖珠絵「使いづらいったらないわ」
只野男志「死なないように・・・気をつけます」
狩場玖珠絵「ま、せいぜい足掻きなさい」
只野男志(・・・もうやだ。こんな生活。 死の危険のない平穏な日常、カムバーック!)

〇広い公園
  只野が1人でブランコに腰かけている。
只野男志「俺、がんばってるよな。 すげーがんばってるよな。 なのに・・・はぁ」
???「そうだね。君は、がんばっている。 僕はそう思うよ」
  只野がびくっとして隣を見る。
  隣のブランコには美少年が腰かけていた。
  美少年が爽やかに微笑む。
只野男志「・・・え。だれ」
聖翼「僕は、翼。聖翼(ひじり・つばさ)」
只野男志「・・・聖、くん・・・?」
聖翼「翼でいいよ・・・君は?」
只野男志「ぼ、僕はデュ・・・只野男志」
聖翼「・・・男志くん。いい、名前だね」
只野男志「そんな、普通だよ」
聖翼「男志くん」
  翼は只野の前に立ち、顔を近づける。
只野男志「ちょ・・・顔、近い」
聖翼「僕は、君はがんばっていると思うよ」
只野男志「で、でも、何も知らないでしょ。 俺のこと。君・・・翼、くんは」
聖翼「男志くん」
聖翼「がんばってない人は、こんな時間に、こんな場所で。 そんな切ない表情(かお)はしないものさ」
只野男志「切ない表情(かお)?・・・俺が?」
聖翼「心というのは、とても傷つきやすいものなんだ」
聖翼「そして自分では、傷ついているのがわかりにくいものでもある」
聖翼「でも、僕はわかるんだ。 君の心の瑕(きず)がね」
只野男志「翼くん、君、何を言って・・・」
聖翼「男志くん。君の力にならせてほしい。 君の話が、聞きたいんだ。いいだろう?」
  翼がさらに顔を近づける。
  只野は自分の顔が火照るのを感じた。
只野男志「だから、顔・・・近い。い、いいけど」
聖翼「・・・ありがとう。男志くん」
只野男志(デュランダル関係のことは言わないようにしなきゃな)

〇公園のベンチ
  只野と翼が公園のベンチに腰掛けている。
聖翼「・・・それはつらいね」
聖翼「みんな理想の男志君の虚像ばかりを見て、本当の君を見ようとしない」
聖翼「そして君の苦しみを知る人物は、それを知りながら、利用しようとする」
只野男志「・・・俺はそれでも、がんばってるんだ。でも俺の力じゃこれ以上、期待に応えられそうになくって」
聖翼「・・・男志くん」
只野男志「・・・なに。翼くん」
聖翼「君はもっと、自由になるべきだよ。 僕は苦しむ君を幸せにしてあげたい」
只野男志「それは・・・無理だよ」
只野男志「翼くんを、俺の事情に巻き込めないよ・・・」
聖翼「構わないさ。君のためなら」
  翼がベンチから立ちあがる。
只野男志「翼くん・・・?」
聖翼「もうこんな時間だ。送るよ」
只野男志「・・・また、逢える?」
聖翼「あぁ、すぐに逢えるさ」

〇大きな木のある校舎

〇教室
布津野教子「転校生の聖翼君です。皆さん仲良く」
只野男志「翼君っ!!」
聖翼「やぁ、男志くん」
只野男志「・・・なんで」
聖翼「君を驚かせたくてね」
只野男志「翼君っ」
布津野教子「あの、まだホームルーム中・・・」

〇教室
「・・・・・・」

〇教室
只野男志「翼くん! 一緒にお昼を・・・あれ? 翼くんは?」
帝院霧乃「おかえりなさい。デュ・・・”只野くん”」
帝院霧乃「聖くんは、お兄様が学校案内にお連れしましたよ」
只野男志「レー・・・”帝院くん”が?」
帝院霧乃「・・・ふふふ」
帝院霧乃「私たちが”只野くん”に近付こうとする人物を野放しにしておくはずがないじゃないですか」
只野男志(こ、このサイコ兄妹! 翼くんに妙なことする気じゃないだろうな!?)
帝院霧乃「”只野くん”。 そういうわけですから、その、お昼はぜひ、私とご一緒──」
只野男志「ありがとう“帝院さん”。じゃ!」
帝院霧乃「・・・あ」

〇学校の廊下
只野男志「どこだ、どこに行った?」

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