想いを伝えたくて(脚本)
〇シックなカフェ
華(はな)(ここは行きつけの和カフェ♡ 美味しい和スイーツに魅了されて 今では常連♪ 通いつめて早一年!)
華(はな)(実は、魅了されたのは 和スイーツだけじゃなくて 私は・・・)
華(はな)(オーナーの瑛斗(えいと)さんに 魅了されているんです♡)
華(はな)(今日は瑛斗さんの誕生日だから プレゼントを用意してきたんだけど・・・ お客さんが途切れそうにないなぁ)
華(はな)(スマホでも見ながら、瑛斗さんにプレゼントをどう渡そうか考えておこうっと)
瑛斗(えいと)「――さん?華(はな)さん?」
華(はな)(はっ!ボーッとしてた!)
名前を呼ばれて我に返った私の顔のそばに瑛斗さんの顔があった。
華(はな)「わっ!瑛斗さん!」
瑛斗(えいと)「あっはは!驚かせてしまいましたか? すみません」
瑛斗さんが柔らかく微笑む。
店内の様子をちらりと見ると・・・
華(はな)「あれ?誰もいない・・・」
つぶやく私に、瑛斗さんが
瑛斗(えいと)「・・・ああ。 さっきお客さんが帰られて、今は華さんだけですよ?」
華(はな)「え! 私、長居し過ぎですよね!帰りま──」
瑛斗(えいと)「あ、違いますよ! 帰れっていう意味で声を掛けたんじゃなくて──」
コトリ、とカップが置かれた。
瑛斗(えいと)「どうぞ。 温かいほうじ茶ラテ、いかがですか?」
華(はな)「え・・・いいんですか?」
瑛斗(えいと)「ええ、サービスです」
華(はな)「あ・・・ありがとうございます」
ほうじ茶ラテをひと口飲む。
瑛斗(えいと)「あ、華さん。口にラテの泡がついてますよ?」
瑛斗さんが、クスリと笑う。
華(はな)(やだ!恥ずかしい!)
瑛斗(えいと)「ああ、華さん。 そこじゃないです。ここですよ?」
瑛斗さんが人差し指で私の唇にふれる。
華(はな)(瑛斗さんにふれられて、胸のドキドキが止まらない!)
華(はな)「す、すみません!」
瑛斗(えいと)「いいえ。 外、大雨が降ってきたから止むまでゆっくりしていってください」
華(はな)「え、雨?!」
〇シックなカフェ
窓の外を見ると
華(はな)(うわぁ、ホントだ。すごい雨・・・雨音が響いてる・・・)
瑛斗(えいと)「ボーッとされてましたけど、なにか悩み事ですか?」
華(はな)「あ・・・えっと」
瑛斗(えいと)「この大雨だし、少し早いけど店を閉めようと思っていたんです。 お話、聞きますよ?」
瑛斗さんは優しく微笑み
店のドアにクローズの看板を出しに行った。
瑛斗(えいと)「よし、話を聞く準備は万端です。 僕でよければ、ですけどね」
華(はな)「あ、そんな! 瑛斗さんが、いい、です」
瑛斗(えいと)「そう?よかった」
華(はな)「あの・・・実は・・・」
私は、バッグから瑛斗さんへのプレゼントを取り出した。
華(はな)「今日、瑛斗さん誕生日ですよね? その・・・プレゼントを渡したくて いつ渡そうか悩んでいました」
瑛斗(えいと)「え・・・そうだったんですか」
華(はな)「私、瑛斗さんのカフェ、大好きなんです」
瑛斗(えいと)「うん・・・ありがとう」
華(はな)「瑛斗さんの和服姿も大好きで・・・」
瑛斗(えいと)「え!はは、ちょっと照れますね」
華(はな)「和服に合うプレゼントって何かなって 考えて扇子にしました」
瑛斗(えいと)「そうなんだ。 すごく、嬉しい」
華(はな)「あの・・・瑛斗さんのことずっと考えていて」
華(はな)「・・・その、つまり」
華(はな)「・・・瑛斗さんのことが大好き、なんです」
私は、消え入りそうな声で瑛斗さんに
告白した。
華(はな)(ああ! 恥ずかしくて瑛斗さんの顔、見れない!)
瑛斗(えいと)「華さん──」
私の名前を呼ぶ瑛斗さんの声が聞こえた。
〇店の入口
下を向いていた私が顔をあげると
急にドーンッと雷鳴が響いた。
〇シックなカフェ
華(はな)「きゃああ!」
雷の音が苦手な私は頭を抱えて
再び下を向いた。
瑛斗(えいと)「華さん!」
〇シックなカフェ
華(はな)(・・・あったかい)
華(はな)(私、瑛斗さんに抱きしめられてる・・・)
いつの間にか、瑛斗さんに抱きしめられていた
瑛斗(えいと)「ああ、停電になってしまいました。 大丈夫ですか?」
華(はな)「・・・は、はい。大丈夫で──」
瑛斗(えいと)「・・・無理はしなくていいです。 震えてるじゃないですか」
華(はな)「すみません。雷が苦手で」
瑛斗(えいと)「こうしていると落ち着きますか?」
華(はな)「・・・はい」
瑛斗(えいと)「華さん、さっきの話の続きですけど──」
華(はな)「は、はい」
瑛斗さんが、黙り込んだ。
瑛斗(えいと)「はぁ・・・参ったなぁ」
華(はな)(え?瑛斗さん困ってる。 告白失敗・・・てこと?)
瑛斗(えいと)「僕の胸の鼓動、聞こえますか?」
瑛斗さんが、私の耳元でささやいた。
華(はな)(え?胸の、鼓動?)
私はそっと瑛斗さんの胸に
耳をあててみた。
華(はな)(瑛斗さんの・・・胸の鼓動・・・)
私の鼓動と同じくらい
瑛斗さんの胸の鼓動も
早鐘のように鳴り響いていた。
瑛斗(えいと)「これ・・・聞かれちゃったら 僕の気持ちバレバレでしょ?」
〇シックなカフェ
パッと店の照明がついた。
瑛斗(えいと)「停電が復旧したみたいですね」
瑛斗(えいと)「あ!でもダメ!」
華(はな)「ひゃ!」
瑛斗さんが
さっきより強く抱きしめてきた。
瑛斗(えいと)「ごめん。もう少しこのままで」
瑛斗(えいと)「・・・僕の顔きっと真っ赤だと思うから」
瑛斗さんの腕の中で、私はふふっと笑い
「はい」と答えた。
華(はな)(だって きっと私の顔も真っ赤だと思うから)
Fin.
少女漫画のような可愛らしいお話に、ニマニマしながら拝読させていただきました。どちらも恋愛初心者なのかな、と思うほど初々しい二人にキュンが止まりませんでした!
ダイレクトに聞こえる相手の胸の鼓動っていいですよね……抱き締められた特権ですね(照)
私の中のトキメキが補充されました!素敵なお話を紡いでくださりありがとうございました!
心臓の鼓動、ドキドキ、いやぁキュンとしちゃいますね〜!
言葉以上に伝わるものがあるかもですねえ。
いくら言葉で言っても、本当か嘘か、わかりませんもん!
怖い雷が二人の距離を縮めてくれましたね!
私も雷怖いんで彼女の気持ちはわかりますが。笑
彼の鼓動が聞こえてるシーンでドキドキしました。
すごくいいですよ!