はじめの0.3歩

配線がらり

はじめの0.3歩(脚本)

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配線がらり

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はじめの0.3歩
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〇ハチ公前
亜蘭「よし、梢はまだ来てないな」
亜蘭(今のうちに、今日のデートプラン見返しとこ)
亜蘭(今日の俺には壮大な野望があるんだ。些細なミスも許されない)
亜蘭(俺の野望。それは・・・)
  今日こそ、彼女とキスをする!
亜蘭「俺と梢も付き合いだして早4ヶ月」
亜蘭「そろそろ俺は!」
亜蘭「次のステップに!!」
亜蘭「進みたい!!!」
亜蘭(だから今日のデートは、いい感じになれるチャンスをふんだんに仕込んである)
亜蘭(盛り上がったところで、チュッといく寸法だ)
亜蘭(待ってろ梢!必ずお前の唇、奪ってやるぜ!)
梢「亜蘭くん!」
梢「ごめんね、待たせちゃったかな?」
亜蘭「ううん、全然全然!俺も今来たとこ!」
梢「そう?ならよかった」
亜蘭(あー、笑顔が最っ高に可愛い・・・)
亜蘭(服もなんかヒラヒラしてて可愛いし)
亜蘭(正直、今すぐキスしたい)
亜蘭(キスしたいキスしたいキスしたいキスしたい)
梢「どうしたの?」
亜蘭(あぶねー!しっかりしろ俺!)
亜蘭(まずはデート盛り上げて、それからだろ!)
亜蘭「なんでもない!」
亜蘭「さっ、行こ!楽しいデートのはじまりはじまり〜!」
梢「あ・・・行っちゃった」
梢「亜蘭くん、待ってよ~」

〇映画館の座席
亜蘭(まずはベタだけど、映画で気分を盛り上げる!)
梢「私これ観たかったんだ〜」
亜蘭「今話題だもんな。めちゃめちゃ泣けるラブストーリーって」
亜蘭(そう、涙ぐむ梢にそっとハンカチを差し出す俺)
亜蘭(そんな俺のさりげない優しさにキュンとする梢)
亜蘭(いつしか2人の距離は近づいて・・・)
亜蘭(題して『キミに涙は似合わないよ作戦』!)
梢「そろそろ始まるね」
亜蘭「よし、いざ開幕!」

〇映画館の座席
  終演後──
亜蘭「うっ、ひっく・・・」
梢「亜蘭くん、大丈夫?はいハンカチ」
亜蘭「あ、ありがと」
梢「ラストシーンよかったよね。私も思わず涙ぐんじゃった」
亜蘭「だ、だよね〜・・・」
亜蘭(やっちまった。俺が号泣してどうすんだ)
亜蘭(この流れでキスは、難しいよな・・・)

〇カラオケボックス(マイク等無し)
亜蘭(気を取り直して次!)
亜蘭(デートといえばカラオケ!)
亜蘭(カラオケといえば個室!)
亜蘭(個室といえばキス!)
亜蘭(地の利を活かして俺はこの戦に挑む!)
梢「亜蘭くん上手〜!」
梢「私この曲すっごく好きなの」
亜蘭「マジで?俺も俺も!」
亜蘭(なんて、ホントは梢が好きなの知ってて、めちゃめちゃ練習したんだよ)
亜蘭(題して『歌でノックアウト作戦』!)
梢「ね、亜蘭くん。これは歌える?」
亜蘭「ん?どれどれ?」
亜蘭(今いい雰囲気だよな?)
亜蘭(よし、このまま覗き込んだ勢いで・・・)
店員「ドリンクお待たせしましたー!」
店員「烏龍茶とコーラになります」
梢「ありがとうございます」
梢「はい、亜蘭くんの」
亜蘭「あっ、ありがと・・・」
亜蘭(くっそー、あとちょっとだったのに!店員のバカヤロー!)

〇見晴らしのいい公園
亜蘭(もう夕方か・・・)
鈴虫「リーンリーンリーン」
亜蘭(この展望台が、今日のラストチャンスだ)
亜蘭(ここの『景色よりもキミの方が綺麗だよ作戦』でキメないと、もう後がない)
コオロギ「コロコロコロコロ」
梢「わぁ、綺麗!すごいねここ、街中見渡せる・・・!」
アオマツムシ「リッリッ、リッリッリッ」
亜蘭(ないんだけど・・・)
オオクサキリ「チキチキチキチキチキチキチキチキチチキチキチキ」
亜蘭「だーもう虫の音うるせー!全然集中できねー!」
梢「け、景色はとっても綺麗だよ?」
亜蘭(はぁ、ここじゃ無理だな・・・)

〇通学路
  帰り道──
梢「今日は楽しかったね〜」
亜蘭「ねー・・・」
亜蘭(はぁ〜結局、目的は果たせず・・・か)
亜蘭(キスがこんな難しいとは思わなかったわ)
亜蘭(ま、デート事態が失敗したわけじゃないしな)
亜蘭(次また頑張ろ・・・)
梢「ねぇ、亜蘭くん」
梢「今日、ずっとしようとしてたよね?」
亜蘭「えっ、な、なにを?」
梢「なにって・・・」
亜蘭(これって、もしかして)
亜蘭(バレてた!?)
亜蘭(ヤバい、なんて弁解したら・・・)
梢「・・・いいよ」
亜蘭「え?」
梢「亜蘭くんなら、私」
梢「・・・というか、私も、その」
梢「・・・したい、かも」
亜蘭(嘘だろ、梢も同じ気持ちだったなんて・・・)
亜蘭(こ、このチャンスを逃すな亜蘭)
亜蘭(お前ならできる、お前ならできる・・・!)
亜蘭「じゃ、目瞑って?」
梢「・・・うん」
亜蘭(緊張してんのかな?手、震えてる)
  ギュッ
亜蘭(やべ、思わず握っちゃった)
亜蘭(でもこれでちょっとでも、緊張解けたらいいな)
亜蘭(大丈夫だよ梢。俺、優しくするから)
亜蘭(好きだよ、大好き)
亜蘭(あと数センチ)
亜蘭(あと数ミリ──)
梢「ふふ」
梢「やっと、できたね」
亜蘭「えっ?」
亜蘭(今触れた!?いや、まだだったよな?)
亜蘭「梢、俺まだしてな・・・」
梢「初めて、繋いだね」
亜蘭「・・・繋いだ?」
梢「うん。亜蘭くんの手、あったかい」
亜蘭(もしかして)
亜蘭「あの、梢がさっき言ってた「したい」って・・・」
亜蘭「手、繋ぎたいってこと?」
梢「えへへ、恥ずかしいな」
亜蘭(そっちかよ!!)
亜蘭(いやこれも充分嬉しんだけど!)
亜蘭(でも俺はもう一歩先に進みたいっていうか、これだけじゃ我慢できねーっていうか!)
亜蘭「梢、あのさ・・・!」
梢「亜蘭くん!」
梢「・・・えいっ」
  ギュッ
梢「じゃーん。こ、恋人繋ぎ〜」
梢「・・・ずっと、してみたかったの」
梢「ご、ごめんね、ビックリした?」
梢「もしかして、嫌だった?」
亜蘭「・・・」
亜蘭「・・・」
亜蘭(あーーーもう!)
亜蘭(可愛すぎるーーーーーー!)
亜蘭(嫌なわけあるか!最高of最高だよ!なんだよもう!可愛いの具現化かお前は!?)
亜蘭「梢!」
梢「は、はい!」
亜蘭「俺も、俺もね。今日ずっと、ずーーっと」
亜蘭「梢とこうしたいって」
亜蘭「手、繋ぎたいって思ってました!」
梢「やっぱり!」
梢「なんかね、そうかなって思ってたの」
梢「というか、そうだったらいいなって思ってたの」
梢「私たち、以心伝心だね」
亜蘭「・・・そうだね」
亜蘭(あーもういいか、いいよ、いい、いい)
亜蘭(キスはできなかったけど、今日確実に一歩)
亜蘭(いや、0.3歩くらいは前進したし?)
亜蘭(今はこの0.3歩を、大切にしよう)
亜蘭(そんで次は、次こそは・・・)
亜蘭「なー梢」
亜蘭「またデートしような?」
梢「・・・うん!」
  次こそは・・・
  大好きなキミと、キスがしたい!

コメント

  • 前半で亜蘭の思惑や葛藤を詳細に描写→後半で梢の気持ちがずれていることが判明→1歩じゃなくて0.3歩前進、という展開や構成がすごかった。虫の鳴き声までが邪魔してくるところが最高でした。

  • ふたりが初々しくて可愛くて、もうちょっとがんばれ〜って彼にエールを送りたくなりました。それでも一歩前進、きっと次のデートまでドキドキが止まりませんね。

  • この時代に付き合って4ヶ月目でやっと手を繋いで、それだけでも十分だと感じられるカップルがいるなんてなんだか嬉しいですね。第三者目線だと少しじれったい気もしますが、こういうプロセスってやっぱり大事ですよね!

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