破滅の孤島

平家星

#7 終焉(脚本)

破滅の孤島

平家星

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〇断崖絶壁
兵藤明「大丈夫だよ~。 この槍で、少し足を切らせてもらうだけだから」
兵藤明「その後も、しっかり俺がケアするからね・・・」
野村ひより「や、やめて・・・お願い!」
兵藤明「抵抗しなければ、すぐだから」
野村ひより「わ、わかった・・・。痛くしないで・・・」
  ひよりは諦めたように両手をだらっと下ろした。
兵藤明「いい子だね・・・。 やっと、素直になったんだね」
  明がひよりに手を伸ばそうとしたその時、ひよりが素早く避ける。
兵藤明「なっ・・・!」
野村ひより「あなたには従わない! もう、つき纏わないで!」
  ひよりは明の体を、力いっぱい押す。
兵藤明「うわぁ!」
  明は足を滑らせ、崖の上から姿を消す。
野村ひより「はぁ、はぁ・・・」
  ひよりが崖の先端に歩いていくと、突然、足首を掴まれる。
野村ひより「!?」
兵藤明「ひどいじゃないか! ひより!」
  明はギリギリで、崖の淵に掴まっている。
  勢いよく身を引き上げ、崖の上に戻る。
兵藤明「ハァハァ・・・。驚いたよ! まさかひよりが、俺を突き飛ばすなんて」
野村ひより「そ、そんな・・・」
兵藤明「俺は、ひよりを残しては死なないよ。 俺の愛情の強さ、伝わるだろ」
兵藤明「好きだよ、ひより・・・」
野村ひより「嫌・・・もういやぁぁぁ!」
???「ひよりを放せッ!」
兵藤明「?」
  明が振り返るより早く、誰かがひよりの手を引き明から遠ざけると、明の身体に体当たりした。
兵藤明「な!?」
  明はその勢いに耐えきれず、崖の先端から空中に放り出された。
兵藤明「!」
  手を伸ばすも、今度は届かない。
  明は崖の上から、遥か下の海へと落ちてていった・・・。

〇黒
  あれ? 俺、落ちてる?
  そうだ、この島に流れ着いたばかりの時、この崖から飛び降りようとしたっけ・・・
  結局、俺の最期なんてこんなもんか・・・
  ハハハ、笑えて来る。
  最期の瞬間って、自分で選べねぇんだなぁ~
  明の目の前が、真っ暗になる。

〇断崖絶壁
  崖の上、謎の人物の腕に抱かれているひより。
  ひよりは、顔を上げ、その人物を見る。
野村ひより「嘘でしょ・・・!? 健司くん!?」
野村健司「ケガはない? ひより」
野村ひより「健司くん、生きてたの!?」
野村健司「ああ。ずっと、ひよりに会いたかった」
野村ひより「私も・・・!」

〇海辺
野村健司「ちょうどいい洞窟を見つけて、そこで暮らしていたんだ」
野村健司「いろいろ準備が整ったから、ひよりを探しに出て、ここにたどり着いた」
野村ひより「そうだったんだ・・・」
野村ひより「私、てっきり健司くんは、もうこの世にいないと思ったの」
野村ひより「さっきのあの男に、健司くんだっていう顔が腐った死体を見せられて・・・」
野村健司「死体?」
野村ひより「うん・・・」
野村ひより「その死体が、健司くんのパスポートを持ってたから」
野村ひより「金田さんも殺されたし、健司くんも同じ目にあったのかと思った・・・」
野村健司「金田さん・・・?」
野村ひより「金田さんと、一緒に過ごしてたんでしょ?」
野村健司「俺はそんな人知らない。 俺はこの島で、誰とも会っていないぞ?」
野村ひより「えっ? でも、確かに金田さんは健司くんと一緒に過ごしていたって言ってたし・・・」
野村健司「誰かが、俺の名を名乗って、この島で生活していたのか・・・?」
  その時、波打ち際に何かが流れ着く。
野村ひより「あれ、なんだろう?」
  二人が歩み寄ると、それがアタッシュケースだと分かる。
野村健司「鍵が壊れてる。開けられそうだ」
  健司がアタッシュケースを開けると、中には書類が入っていた。
  月明りに照らして、何とか内容を確認する。
野村健司「どうやら、俺たちが乗っていた飛行機は、極秘で殺人犯を護送していたらしい」
野村健司「これは、その男についての書類だ」
野村ひより「殺人犯?」
  写真に写る殺人犯の服装は、ひよりが目撃した白骨死体と同じである・・・。
野村ひより「この人が着てる服・・・私が見せられた死体と、同じ・・・」
野村健司「この殺人犯が、俺のパスポートを拾って身分を偽り、俺としてこの島で生活しようとした・・・」
野村ひより「どうしてそんなこと・・・」
野村健司「一緒に暮らす仲間が欲しかったのかもしれない」
野村健司「いくら殺人犯でも、孤独には耐えられなかったんだろう」
野村ひより「孤独には・・・耐えられない・・・」
  ひよりは、じっと殺人犯の写真を見つめる。
野村健司「ひよりは、さっきの男とずっと一緒にいたのか?」
野村ひより「う、うん・・・」
野村健司「何か、ひどいことをされなかったか?」
野村ひより「わ、私・・・」
野村健司「・・・?」
野村ひより「私・・・あの男にずっと脅されてたの」
野村ひより「それで仕方なく一緒に行動してた。 本当に怖かったの・・・」
野村健司「そうだったのか・・・。 とにかく、お前が無事でよかった」

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コメント

  • 生きる理由の1つに「復讐心」がある自分にも刺さって(いい意味で)苦笑しました。
    いやぁ、良かったです……!健司トリック!

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