結ぶ縁の皮算用

cha

近くの赤い糸ほど、気付けない(脚本)

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〇学園内のベンチ
???(はぁ~。今日も先輩は格好いいなぁ~)
???「でも、アイツより実君の方がもっと格好いいけどね!」
愛縁寺 実「・・・って顔しとるね?」
愛名 実「違うわ!!勝手にアテレコすんな!! っていうか、何処から湧いてきたの!?」
愛縁寺 実「実ちゃんあるところにボクは無限湧きするで!!な~にまたストーキングしとんの?」
愛名 実「え、何それ怖っ・・・」
愛名 実「っていうか、邪魔しないでくれる!?エセ関西弁マスター!!今日こそは先輩に告白するって決めてるんだから!!」
愛縁寺 実「おーこわ。ボク親の都合であちこち行っとったから、何か色んな方言とか混ざってしもたんよ。イジらんとって」
愛縁寺 実「というか、キミの運命の相手はボクなんやから、また惚れてもムダやで? ほら、運命の赤い糸が結ばれとる」
愛名 実「はい、糸き~った!!チョッキン!!」
愛縁寺 実「させるか、バリアーや!!」
愛名 実「いや、小学生か!!とにかく先輩が一人でいるまたとないチャンスなんだから、邪魔しないで!!」
愛縁寺 実「あっ、ちょ、実ちゃん!?」
愛名 実「先輩っ!!」
脇野 匡良「・・・うん?君は・・・??」
愛名 実「愛名 実です!! あのっ!!ずっと前から好きでした!!」
愛名 実「えとっ、それであのっ・・・」
脇野 匡良「あぁ・・・ありがとう。君みたいな可愛い子に好きになって貰えるなんて嬉しいよ」
脇野 匡良「じゃ、付き合おっか。俺たち。ねぇ、早速なんだけどさ、今度の休みにデートしない?」
愛名 実「えっ!?デート!?それに、付き合うって・・・」
脇野 匡良「うん。ダメ・・・かな?」
愛名 実「い、いえっ、ダメじゃないです!! あの、楽しみにしてます!!」
脇野 匡良「ホント!?良かった。じゃ、楽しみにしてるから」
愛名 実「は、はい・・・」
愛名 実「やった・・・」
愛名 実「やったーっつ!!デートだデートだぁ!! えっ、急展開だけど、嬉しいいい!!」
愛縁寺 実「実ちゃん・・・」
愛名 実「あっ・・・実君・・・ 私、とうとうやったよ・・・!! 告白、成功しちゃった・・・」
愛縁寺 実「あの人は止めとき。いくらキミが可愛いからって、良く知りもしない子といきなり付き合おうとか可笑しいやろ」
愛名 実「はぁ!?何でそんなこと言うの!?私が上手くいくのがそんなにイヤ!?」
愛縁寺 実「・・・イヤに決まっとる。億が一にもありえんけど、アイツがキミを大事にしてくれるタイプならええけどな」
愛縁寺 実「キミ、男を見る目ないからいっつもチャラ男えらんで傷ついとるやろ」
愛縁寺 実「自分が好いた子がそのたび傷ついとんの見て、黙ってられると思うか?」
愛名 実「・・・っ。でも、今度こそは、って思うじゃん。可愛いって言ってくれたし・・・」
愛縁寺 実「そんなんボクがなんべんでも言うたる!!ボクが良い。ボクにしとき」
愛名 実「・・・そうやって、本気じゃないくせに邪魔して突っかかってくるの、止めてよ・・・」
愛縁寺 実「実ちゃん・・・」
愛名 実「私だって、ちゃんと恋してみたいの!!本気でもないくせに、好き好き言うの止めてよ!!もうほっといてよ!!」
愛縁寺 実「あーもう。なんでこうなるんや・・・」
???「ねぇ先輩!! 脇野先輩って格好良くないですか!?」
???「えぇ!?ワッキー!? あー止めときな!!アイツちょ~女たらしで何股もしてるクソ男だよ!?ってか彼女いるしさ~」
愛縁寺 実(あんのドボケやっぱりクソ男やないかい!!)
愛縁寺 実(でも、良いこと聞いたわ。これで遠慮無く邪魔しに行けるな。こんないいタイミングでこの話聞けるなんて、やっぱ運命やな)
愛縁寺 実(さっそくリサーチして邪魔したる!!)
愛縁寺 実「そこの可愛いお姉さん方!! ボクとちょ~っと色々お話してくれへんかなぁ?」

〇渋谷駅前
愛名 実「先輩っ!!お待たせしました!!」
脇野 匡良「全然待ってないから気にしないで。それより、私服も良いね。可愛いよ」
愛名 実「えっ、可愛い!? えへ・・・何か恥ずかしいです・・・」
脇野 匡良「照れてるとこも可愛い。じゃ、行こうか」
愛名 実「はいっ!!」
愛縁寺 実(な~にが可愛いねじゃドアホが!! そんなんボクがずっと前から知っとる!! イラつき過ぎてうっかり出て行きそうになったわ)
愛縁寺 実(気ぃ付けなアカンな・・・ 気を取り直して尾行開始や!!)

〇映画館の入場口

〇ショッピングモールのフードコート

〇雑居ビル
愛名 実「はぁ~。楽しかった!!」
脇野 匡良「俺もだよ。ね、最後にカラオケ行かない?」
愛名 実「えっ!?えと、その、私、あんまり歌上手くないし、まだ二人っきりは恥ずかしいというか・・・」
脇野 匡良「え~っ!?歌上手そうに見えるけどな~。っていうか、君のこともっと知りたくなっちゃった」
脇野 匡良「・・・ダメ?」
愛名 実「え・・・と」
???「ねぇ、その子、だれ?」
脇野 匡良「り、凛乃!!なんでここに・・・」
凛乃「何でもいいでしょ!!どういうことなの!?また浮気する気!?」
脇野 匡良「い、いやコレは、その・・・」
愛名 実「えっ、えっ!?どういうこと・・・」
愛縁寺 実「実ちゃん・・・ 俺が説明したるから、こっちおいで」
愛名 実「実君!?何でここに・・・ってちょっと手え引っ張んないで」

〇神社の本殿
愛名 実「・・・ここは?」
愛縁寺 実「愛縁寺。うち縁結び神社やっててん」
愛縁寺 実「・・・傷心中なのに、こんなこと言うのズルイと思うけど、聞いてくれる?」
愛縁寺 実「──君が好きだ。君が誰を好きだと言っても、振られてもめげずにいつだって明るく前に進んでいく」
愛縁寺 実「少し惚れっぽい所が玉に瑕ではあるけれど、そこも可愛いと思う」
愛縁寺 実「僕は一途だから── 僕と、付き合って下さい」
愛名 実「──最初から」
愛縁寺 実「えっ」
愛名 実「それ位、真剣に告白してくれたら私だって本気にしたのに」
愛縁寺 実「!!じゃあ──」
愛名 実「──これから、よろしくね」
愛縁寺 実「やっぱりボクら、赤い糸で結ばれとったな!!神さんにお祈りしとこな!!」
愛名 実「・・・うん!!」
  ──神様、これから二人の仲が、
    もっと、深まりますように

コメント

  • ただのじゃれあいだと一蹴りしていた彼の言葉、ラストにはヒロインがちゃんと受け取れて良かった!
    個人的には最初のやりとりがとっても可愛くて好きでした!運命の赤い糸「ちょっきん!」に「バリア」がめちゃツボでした(笑)
    この二人なら笑いの絶えない夫婦漫才みたいなカップルになりそうですね!「お幸せに」と思わず心の声が……
    とても楽しく拝読させていただきました!ありがとうございました!

  • かっこいい人ほど、浮気とかしてそうなイメージだけど…。
    最初からそれがわかるのが同性なんでしょうね〜。
    まぁ最初から言っても聞く耳持たなかっただけに、この一件があったからこその縁結びなのかもしれませんね!

  • 女の子に『可愛い』『好き』とか言葉ではいくらでもいえるけど、実君は気持ちと行動がすでに『好き』という言葉を上回ってましたね! 彼女もやっとそれに気づいてよかったです。

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