隠し事のある君

寝村

読切(脚本)

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〇高級マンションの一室
香織(明日は初めて出来た彼氏とのデートだ。 彼はやり手の営業マン。 きっとお洒落で大人なデートコースなんだろうな)
香織(私もそれに見合うような女性にならないと。 彼には初めての恋愛だと伝えていないし・・・)
香織(とにかく、今日は早めに寝て明日に備えなきゃ。 緊張で寝付けないかもしれないけれど・・・)

〇黒
  次の日──・・・

〇渋谷駅前
香織(今日は待ちに待ったデートの日。 どんな服にしようか悩んだけど、大人なデートコースでも合うような服にはしてきたつもりだ)
蒼「香織さん、おまたせー!」
蒼「凄い人混みだね!待たせちゃってごめん! 気温も高いし、カフェにでも行こうか」
香織「そんなに待ってないから大丈夫。 この辺りのことは詳しく知らないから、蒼さんに任せちゃって良い?」
香織(そんなこと言って、待ち合わせ時間の1時間前から待ってたんだけどね・・・)
蒼「もちろん!この時の為に夜更かししながら色々調べて・・・・・・」
蒼「って、なんでもない! それじゃ、行こうか」
  そう言って、そっと手を繋がれる──
香織「あっ──」
蒼「ご、ごめん・・・嫌だった?」
香織「い、いいえ。少し驚いただけ。 行きましょう」
  今度は私から、手を絡ませる──
蒼「うん!!」

〇カウンター席
香織「素敵なカフェね」
蒼「香織さんが好きな雰囲気かなと思って。 メニューも季節限定のものがあったり、結構面白いんだよ」
蒼「ほら、このケーキとかすごく美味しそうで・・・」
香織(ち、近い──・・・ 蒼さんの顔がすぐそばにある)
蒼「俺はもう決めたから、香織さんどうぞ」
香織「あ、うん・・・!」
  しばらく悩んだあと──
蒼「じゃあ、店員さん呼ぼうか」
蒼「すみませーん!」
カフェ店員「はい!ご注文お決まりでしょうか?」
蒼「ケーキセット2つでお願いします。 ドリンクはアイスコーヒーを2つで ケーキは洋梨のタルトとチョコレートケーキを一つずつで」
香織(私が頼んだのは洋梨のタルトとアイスコーヒーだ。チョコレートケーキを頼むなんて、蒼さんは意外と甘党なのかも)
カフェ店員「かしこまりました! しばらくお待ちください!」
香織「蒼さんって意外と甘党なのね」
蒼「あぁ・・・意外かな?甘いもの好きなんだよね・・・男らしくないかな?」
香織「そんなことない! かわいい一面もあるんだなぁと思ったの」
蒼「か、かわいいって・・・」
蒼「香織さんの方が、何百倍もかわいいよ」
香織「えぇっ!?」
蒼「俺・・・実は、お付き合いとかするの初めてでさ。かわいい香織さんは経験もあるだろうから、緊張しちゃって」
蒼「昨日も全然眠れなかったし、どんな言動がカッコいいって思われるかってずっと研究してたんだよ」
香織(そんなことまで考えてくれてたんだ・・・)
蒼「でも、やっぱりダメだった・・・ こんな男でも好きでいてくれる?」
香織「何言ってるの!」
蒼「っ──!!」
香織「蒼さんのそういう一面を含めて、私は好きなの・・・」
香織「ありのままの蒼さんでいてほしい」
蒼「香織さん・・・」
  彼の匂いがふわっと漂う──
  気づけば、私は彼に抱き寄せられていた。
香織(は、恥ずかしい──!!)
カフェ店員「お待たせしました!ケーキセットおふたつです!」
香織「あっ」
蒼「あっ」
カフェ店員「ごゆっくりどうぞ〜」
  あつくなった体を冷やすように
  2人でアイスコーヒーを飲み干した
香織「じ、実は私もお付き合いは初めてなの」
蒼「えっ!!」
香織「だから、あまり気張らないで。 私も緊張しちゃうから」
蒼「もう・・・ほんとに可愛い人だ」
  彼の顔が近づいてくる──
  チュ──・・・
蒼「今はほっぺで我慢してあげる」
蒼「これから、覚悟しといてね」
香織(心臓が持ちそうにありません・・・)

コメント

  • 大人な二人のお洒落なデートかと思いきや、可愛らしい初デートの様子にニマニマしながら拝読させていただきました。
    思わず色々と口走ってしまうふたりが初々しく、距離感も焦れったくてキュンキュンしました!

  • お互いに恋愛経験がありそうに見える2人が初恋人同士なんて、素敵すぎですね!これから2人で初めてのことをたくさん積み重ねていくんだろあなあと妄想して楽しみます。

  • お互い正直にデートの経験が無い事を言い合える、それだけで二人の恋愛が上手くいきそうな予感を想わせてくれます。経験が無いゆえ、可能性が沢山あるといえますよね。

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