エピソード1(脚本)
〇おしゃれなリビング
「だから、理由を言って」
和樹「理由は・・・おまえより、好きな人ができた」
なお「ふざけないでよ!二股じゃない!」
和樹「ちがう。俺の片想いだ」
なお「なにが片想いよ、バカじゃないの!?どういうつもりで付き合ってたの!?あたしはどうなるのよ!?」
和樹「だからお願いしてる。悪かった。終わりにしよう」
〇おしゃれなリビング
なお「バカじゃないの!?どういうつもりであたしと付き合ってたの!?」
和樹「だからお願いしてる。悪かった。終わりにしよう」
なお「それであたしを捨てて、告白して、和樹だけハッピーエンドってわけ?」
和樹「そんな簡単な話じゃねーよ」
〇おしゃれなリビング
なお「じゃあなんで終わりなの!?」
和樹「おまえじゃ無理なんだよ。これ以上、好きになれない。好きでいられない」
なお「二年も付き合ったのにずいぶんひどい扱いじゃない!」
和樹「・・・それは謝るしかない。本当に、ごめん」
〇おしゃれなリビング
なお「謝られたって!」
和樹「ごめん」
なお「謝るな!!」
和樹「ごめん」
なお「謝らないでってば!!」
〇おしゃれなリビング
和樹「もう、俺の部屋においてあるもの、全部持って帰ってくれ」
なお「イヤよ!」
和樹「俺もうダメなんだ」
和樹「タバコ、全部吸い終わるまでに、まとめて帰って」
和樹「俺が手伝うのはイヤだろ」
〇おしゃれなリビング
なお「わかったわよ!サイテー!」
なお「なんにも持って帰らないから、捨てておいて」
和樹「気持ち悪いくらい潔いな」
〇おしゃれなリビング
なお「あたしのこと好きじゃないなんて言うような男、こっちから捨ててやるわよ」
和樹「そーいう切り替え早いとこは嫌いじゃなかったけどな」
なお「もういいし。バイバイ」
ばしっと合鍵をテーブルに叩きつけ、なおが乱暴に扉を開けてマンションを出ていく
〇おしゃれなリビング
和樹「タバコ、火もつけてないってのに・・・」
ためいきをつき、冷蔵庫から出したビールを開ける。
和樹「会いたいなあ、ちーねえ・・・」
和樹「電話したら、迷惑かなあ・・・」
〇おしゃれなリビング
スマホをいじるとピコっと着信音。
和樹「え、ちーねえ!?」
文字が浮かび上がる。
千春【久しぶり、元気?
今日は残業で今帰り。
疲れたー ( ;∀;)】
〇おしゃれなリビング
和樹「ははっ、俺も疲れてるー。以心伝心ー。よしっ」
気合を入れて、ピッと通話ボタンを押す。
コール三回でつながる。
〇おしゃれなリビング
千春「もしもし、和樹?」
和樹「おー、俺。なんか、声聞くの久しぶり。元気だった?」
千春「うん、まあ。忙しくはしてるけどね。どうしたの、電話かけてくるなんてめずらしいじゃない?」
和樹「え、だって、ちーねえなんかあった時しか、俺んとこlineしてこないでしょ。なんかあったんなら、話聞こうかと思って」
〇おしゃれなリビング
千春「ごめん、そーいうつもりじゃなかったんだけど・・・」
和樹「えー、何いまさら気ぃ使ってんの。ちーねえ自分から電話するの嫌いでしょ。lineくれたら、俺からかけてやるからいいじゃん」
千春「なんて入れるのよ」
和樹「声が聞きたいって」
〇おしゃれなリビング
千春「恥ずかしいでしょー!」
和樹「いーじゃん!だって俺はちーねえの特別でしょ」
千春「なんだ。知ってたの。和樹は特別だよ。好きだもん」
和樹「知ってる。彼氏の次に、だろ?」
千春「そう。だから、私も知ってるの、知ってた。隠してないでしょ」
〇おしゃれなリビング
和樹「ちぇー。手ごわいな」
千春「ありがとね・・・。なんか、和樹と話すの、好きだわ」
和樹「うん、俺って、癒し系だから」
和樹はめいっぱい甘えた声で、ウインク。
〇おしゃれなリビング
和樹「お茶くらい、いつでもOKだからさ。一人で考え込むなよ」
千春「んー、わかってるつもりなんだけどねー・・・」
和樹「彼氏には、言えない・・・?」
千春「・・・そんなんじゃ、ないけど・・・」
〇おしゃれなリビング
アパートの階段をあがる音に続いて、千春のためいき。
和樹「もしもし?ちーねえ、ためいき?」
千春「もうすぐ部屋着く」
和樹「一人じゃさみしいだろ?」
〇おしゃれなリビング
千春「暗い部屋に帰るのって、なんか嫌よね」
和樹「じゃ、俺が毎日待っててやろうか?」
千春「バカ。彼女が怒るでしょ」
和樹(もう、怒られないけどな・・・)
〇おしゃれなリビング
千春「・・・和樹?」
和樹「俺、彼女と、別れた・・・」
千春「・・・え・・・・・・そう、なんだ・・・」
和樹(ちーねえ、動揺してる?)
〇おしゃれなリビング
千春「ダメじゃない、ちゃんと、捕まえてなきゃ・・・」
和樹「ダメだったんだよ、彼女じゃ・・・」
和樹「ちーねえ・・・」
千春「それ以上言ったら、ダメ」
〇おしゃれなリビング
和樹「ちーねえ。俺、待ってる」
千春「え・・・?」
和樹「それくらい、できる。待ってるから・・・いつか、言わせて」
緊張に震える声。
和樹「だからちーねえも、俺のこと、考えてて?」
千春「・・・わかった・・・」
〇おしゃれなリビング
和樹「よかったあ・・・。ブチ切れられたら、立ち直れないとこだった・・・」
和樹の安堵した声に、千春がくすりと笑う。
千春「ブチ切れたりしないよ。とりあえず、今日はありがと。また、連絡するね」
和樹「おー、待ってる。めちゃめちゃ待ってる」
千春「そんなに待たないで。連絡しづらくなるから」
〇おしゃれなリビング
千春「パスタ冷めちゃった。また温め直すわ。じゃ、またね」
和樹「わかった。ちーねえ・・・好きだよ」
和樹は言い逃げして、通話を切る。
和樹「ごめん、ちーねえ。我慢できなかった。返事は待つから、言うくらい先に言ってもいいだろ・・・?」
〇おしゃれなリビング
タバコをくしゃっとつぶしてゴミ箱に投げ捨てる。
和樹「返事が来るまで、願掛け禁煙でもしようかな」
和樹「あああ、電話待ちきれねえって!待つなんて言わなきゃよかった!」
〇おしゃれなリビング
和樹「男は度胸!ついでに愛嬌!もひとつ愛情!俺は待つ!」
和樹「ちーねえ、めちゃめちゃ待ってるから・・・だから・・・だから、俺にもう一回言わせて。好きだって END」
彼女と付き合う前から?好きだったのかな…。
それとも付き合ってる途中なのかな…。
でも心が揺らいでしまう事って誰しもあると思います。
それもまた一つの人生ですよね。
彼女との出会いが先なのか、千春さんが先なのか、解らないところが、主人公の性質を色々と想像させますが、勝気なタイプの女性より、年上でも甘え上手なタイプに惹かれるんでしょうか? 私は彼女のタイプに近いので、主人公の行動には嫌悪感です(笑)!
なんだか別れた彼女がかわいそうですね。
でも、人の気持ちはどうにもならないと思うので、これもまた受け入れるしかないのかと。
それにしてもさっと身を引く潔さはかっこいいです。