人の心はイケ面のごとし

篠也マシン

爆発する私の妄想!なぜかみんながイケメン化!?(脚本)

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〇オフィスのフロア
課長「マキ君!」
課長「君の作ったプログラムだが、仕様通りに動いてないぞ!」
マキ「はい、すぐに修正します」

〇オフィスのフロア
課長「ここ、バグが残ってるぞ」
課長「しっかりテストしたのか!」
マキ「すいません」
マキ「したつもりだったのですが・・・」

〇オフィスのフロア
先輩「マキちゃん、いつも災難だね」
マキ「いえ、そんなことは・・・」
先輩「課長は新人には厳しいからな」
先輩「オレも昔はこっぴどくいじめられたよ」
マキ「そうなんですか!?」
先輩「今はようやく解放されたけどね」
マキ「いいなあ」
マキ「私も早く先輩みたいに一人で仕事できるようになりたい」
先輩「少しの辛抱だよ」
先輩「ところで、これ印刷してもらっていいかな?」
マキ「はい!」
マキ「任せてください」

〇大衆居酒屋
マキ「あームカつく、あの課長」
マキ「いつも気難しい顔してどなりやがって」
マキ「絶対将来ハゲるね」
マキ「いや、むしろハゲないと許さん」
ユミ「相変わらず、大人しそうな見た目と違って毒舌ね」
ユミ「そんなに理不尽なことで怒られたの?」
マキ「聞いてよ──」

〇大衆居酒屋
ユミ「なるほどね」
ユミ「まあその課長の言い方は悪いけど、」
ユミ「ミスしたマキも悪くない?」
マキ「ユミー」
マキ「そこは優しく慰めてよ」
ユミ「まったく、甘えん坊だな」
ユミ「よしよし」
マキ「へへ」
マキ「なんかあの顔で怒られると」
マキ「向こうが正しくてもイラっとするのよね」
ユミ「何気にひどいこと言ってるぞ」
マキ「先輩みたいにイケメンだったら、」
マキ「素直に聞けそうなんだけどな」
ユミ「ふうん」
ユミ「それじゃあ、課長をイケメンと思うようにしたら?」
マキ「どういうこと?」
ユミ「マキの理想とする超絶イケメン」
ユミ「そういう顔の男だと妄想するの」
ユミ「ほら、イメージしてみな」
マキ(私の思う超絶イケメンか・・・)
マキ(切れ長の目に、)
マキ(髪は少し無造作にセット、)
マキ(手足が長くほっそりしていて──)
マキ「いいかも」

〇オフィスのフロア
マキ(課長は超絶イケメン、課長は超絶イケメン・・・)
課長「マキ君!」
マキ(さあ、来たぞ)
マキ(爆発しろ、私の妄想!!)
イケメン(課長)「前回も指摘したが、ここのプログラムの書き方は・・・」
マキ「大変申し訳ありません」
マキ「改めてどう修正すればいいかご指導頂けませんか?」
イケメン(課長)「ん?」
イケメン(課長)「まあ良い」
イケメン(課長)「ここの処理だが・・・」
イケメン(課長)「おいマキ君、ちゃんと聞いてるのか?」
マキ「は、はい!」
マキ(やべえ)
マキ(めっちゃアガるわ)

〇大衆居酒屋
マキ(ユミにうまくいったと報告しないと)
ユミ「お待たせー」
ユミ「ごめんね、なかなか仕事が終わらなくて」
マキ「ユミ―遅いよー・・・って!」
イケメン(ユミ)「どうかした?」
マキ(ユミも超絶イケメンに見えるんですけど!)
イケメン(ユミ)「何だか顔が赤いけど、熱でもあるの?」
マキ(近い近い近い!!)

〇大衆居酒屋
イケメン(ユミ)「へえ」
イケメン(ユミ)「本当にイケメンに見えるようになったんだ」
マキ「うん」
マキ「おかげで課長のアドバイスも素直に聞けたよ」
マキ「ちなみに、なぜかユミもイケメンに見えてる」
イケメン(ユミ)「マジ?」
マキ「マジ」
マキ「ほれそう・・・」
イケメン(ユミ)「変な目で私を見るな!」
マキ「あはは、ごめん」
マキ「それにしても──」
マキ「周りにもイケメンがいっぱい」
マキ「イケメンに囲まれてるわ」
イケメン(ユミ)「妄想が爆発し過ぎじゃない?」
マキ「でも、イケメンに見えない人もいるのよね」
イケメン(ユミ)「ふうん」
イケメン(ユミ)「何か法則でもあるのかな?」
マキ「一体なんだろう・・・」

〇オフィスのフロア
イケメン(課長)「マキ君」
イケメン(課長)「今回のプログラムはバグもなく見事だった」
イケメン(課長)「よく頑張った」
マキ「課長のご指導のおかげです」
イケメン(課長)「そんなことはない」
イケメン(課長)「君には元々これぐらいやれる実力があったんだ」
イケメン(課長)「だが、実力を発揮できなかったのは」
イケメン(課長)「私が厳しくし過ぎたせいかもしれない」
イケメン(課長)「傷つけてしまっていたなら、すまない」
マキ「いえ、ご指導頂き感謝してます!」
イケメン(課長)「ありがとう」
イケメン(課長)「これからも私についてきてくれ」
マキ(はあー、一生ついていきます)

〇オフィスのフロア
先輩「マキちゃん、また印刷頼めるかな?」
マキ「ごめんなさい」
マキ「今、課長に頼まれた仕事で手一杯で」
先輩「あ、そう」
マキ(あれ?)
マキ(そういえば先輩って)
マキ(よく私に仕事押し付けてくるよな)
マキ「ま、先輩も超絶イケメンになったら」
マキ「手伝ってあげてもいいけど」
マキ(ん? 待てよ)
マキ(イケメンに見える人と見えない人の違い・・・)
マキ(もしかして──)
マキ(イケメンに見えてる田中さん)
マキ(コミュ障で上司からの受けは悪いけど、)
マキ(実はスーパープログラマーで)
マキ(チャットで質問すると親切に教えてくれる)
マキ(イケメンに見えない佐藤さん)
マキ(美人で上司からの受けはいいけど、)
マキ(よくサボってるのを見かける)
マキ「これって・・・」
マキ「心が綺麗な人はイケメンに見えて」
マキ「汚い人はイケメンに見えないってことよね」

〇大衆居酒屋
マキ「ユミ、ついに分かったわ!」
イケメン(ユミ)「なに?」
マキ「イケメンに見える人と見えない人の違いは──」

〇大衆居酒屋
イケメン(ユミ)「なるほどね」
イケメン(ユミ)「心が綺麗な人はイケメンに見えると」
マキ「そうそう、私すごくない」
イケメン(ユミ)「それなら、私がイケメンに見えるのも納得ね」
マキ「だね、言えてるー」
イケメン(ユミ)「もっとあがめて」
「あはは」
マキ「・・・」
マキ(あれ、何だろうこのモヤモヤした感じ・・・)
マキ(何か見落としている気がする)

〇白いバスルーム
マキ「ふう、今日も飲んだー」
マキ「あんなイケメンと飲んでたら、酒が進みまくるわ」
マキ「うわ、めっちゃ顔赤い」
マキ「・・・あ」
マキ「さっきのモヤモヤの原因・・・コレか」
マキ「鏡に映った顔──私のまま」
マキ「私の心が綺麗なら、イケメンに映るはず」

〇オフィスのフロア
マキ「そうだ」
マキ「課長は言い方は悪いけど、」
マキ「いつも私のためを思って指導してくれていた」
マキ「反対に先輩は一見優しそうだけど、」
マキ「私に面倒ごとを押し付けているだけだった」
マキ「そして私は──」
マキ「人を表層でしか見ていない最低な人間だ」

〇大衆居酒屋
ユミ「マキ、遅れてごめんね」
ユミ「今日も仕事忙しくてさ」
マキ「ううん、気にしないで」
マキ「こんな私にいつも付き合ってくれてありがとう」
ユミ「え、どうしたの急に」
ユミ「頭でも打った?」
マキ「違うよ」
マキ「自分の心が、いかに汚れていたか気づいたの」
マキ「これからは表面的なことにとらわれず、」
マキ「相手の心をしっかり見ていこうと思う」
ユミ「そう・・・」
マキ「ユミ、私と友達になってくれて本当に感謝してる」
マキ「これからもずっと友達だよ」
ユミ「マキ」
マキ「なあに?」
ユミ「ほれそう・・・」
マキ「おい・・・」
マキ「変な目で私を見るなー!!」

コメント

  • 未婚、少子化…彼女の妄想力があればこの国を救う切り札になるやも……
    イケメンイラストのまさかの使い方に驚きました!

  • 先が気になって、どんどんタップしてしまいました。
    イケメンを堪能できるだけでなく笑 主人公の成長ストーリーでもあり、とても読み応えがありました!ありがとうございました。

  • まず設定が面白く、どんなラストになるのかワクワクしながら読み進めることができました。
    コメディっぽい話の中にもメッセージ性があり、見た目だけで判断してはいけないと改めて教えてくれる作品ですね!
    それはそうと、主人公の妄想力…ちょっと羨ましいです。笑

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