詩・手のひら

星谷光洋改め、『天巫泰之』

詩・手のひら(脚本)

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星谷光洋改め、『天巫泰之』

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〇けもの道
  詩・『手のひら』
  昨日 手相をみてもらったの 
  私 運命線がないんですってと
  なにやら楽しそうに話す
  そんな彼女を 
  おさな子でもみるような想いでみつめる
  運命線がないことがなぜうれしいのか 
  ぼくにはわかっているから
  なにもたずねない
  彼女の手のひらには 
  人生の迷路がいくつも刻まれている

〇SHIBUYA109
  あの日 夕暮れ時に 
  迷路の中の交差点でふたりは出逢った
  信号待ちのわずかな時間 
  信号が青になると 
  いつのまにか彼女は
  夕闇のなかに消えていた

〇SHIBUYA109
  ぼくはあわてて彼女の行方を捜し求める
  彼女の姿はどこにもみあたらない

〇街中の道路
  そんなある日 
  迷路の壁に埋まっている女性の手をみつけた
  ぼくは彼女の手だとすぐにわかった 
  そして力強くその手をひいた

〇けもの道
  たよりなさげな 
  くねった細い道
  硝子のようにこわれやすく 
  木の葉のようにたやすく風にゆれる彼女の心のようだ

〇草原の道
  ぼくは彼女の手をとって 
  ぼく自身の存在をみつけてやろうと目をこらす
  ふたりが出逢った頃はこのあたりかな 
  指でなぞって 一瞬だけ運命線をひいた
  手のひらがおだやかに赤みをおびてくる
  小さな手が寂しそうで 
  ぼくは思わず彼女の手を強く握りしめ
  ふたりの道を重ねようと 
  彼女の手のひらに 
  ぼくの手のひらをあわせてみた

〇桜並木

〇桜並木
  fin

コメント

  • タイトル通りきれいなストーリーでした、素敵ですね。されど線、、、かもしれませんがそれを信じたくなってしまう時もあります。彼女の素直な気持ちが可愛かったです。

  • なんだかすごくきれいな文章で、癒されました。詩というものはこういうものなのですね。運命線、私になかったらちょっと焦っちゃいそうですけど、それを嬉しそうに話す彼女がとても魅力的に思いました。

  • 手相は人が母体から生まれる瞬間のその力加減から成ると聞いたことがあります。彼女の手に刻まれた迷路の地図に、彼と出会った点があるのでしょうね。久しぶりに自分の掌を眺めました。

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