出会い(脚本)
〇屋敷の門
──ヤクザ。それは日本における闇社会の根源──ここ、明津組はその闇社会のトップとも呼び声が高い格式高い一団であった。
そして、その明津組を取り仕切りる明津聡明。その孫にあたるのがこの少女、明津凛である。
「いってらっしゃいやし!お嬢!」
明津凛「だからお嬢はやめてってば・・・」
組員A「最近は香港の奴らがギラギラしてやがるし、今日はお嬢の護衛に行くとしよう」
組員B「そうだな。でもお嬢にバレねぇようにしねぇと」
組員A「ああ、バレたら最後ボコボコに殴り殺される・・・」
〇ゆるやかな坂道
明津凛「はぁ・・・今日は1人で登校できた・・・まったくあいつらがいると友達もできないし・・・」
明津凛「・・・?見るからに怪しい車・・・もしかしてお祖父様・・・?」
明津凛「・・・じゃなさそうね・・・」
知らないふりをして通り過ぎようとする凛。その時・・・
王浩然(わんはおらん)「ねぇ、君・・・」
明津凛(え?待って、すごいイケメン・・・)
明津凛「何かしら・・・」
明津凛「──!!うっ・・・!」
王浩然(わんはおらん)「・・・連れて行け」
マフィアA「はっ!」
凛が乗せられた車が去っていく。
組員A「おいどうすんだ行っちまったぞ・・・」
組員B「だってお前、見ただろ・・・ありゃ今噂になってる最強最悪のボス・・・王浩然だ・・・」
〇車内
明津凛「・・・!」
──目覚めると車の中にいた凛。
王浩然(わんはおらん)「やぁ、気がついたみたいだね」
明津凛「あんた一体何なのよ! 私を誰かわかってこんなことやってるんでしょうね!」
王浩然(わんはおらん)「ふふ。元気がいいなぁ、さすがジャパニーズマフィアのお嬢様だ」
明津凛「──!」
王浩然(わんはおらん)「はじめまして明津凛さん。俺は王浩然。チャイニーズマフィアって言ったらいいのかな?」
明津凛「チャイニーズマフィア?あんたが?」
王浩然(わんはおらん)「そうだけど」
明津凛「ふーん・・・はぁ、なるほどね・・・私を捕まえてお祖父様に金を要求しようってわけ」
王浩然(わんはおらん)「まぁお金じゃないけど大体そんな感じかな」
明津凛「・・・っは!私もナメられたものね!こんな細っこいもやしみたいなやつ寄越すなんて」
王浩然(わんはおらん)「もや・・・!?・・・っは」
王浩然(わんはおらん)「あはははは!」
王浩然(わんはおらん)「へ〜。面白いじゃん」
明津凛「何が面白いのかさっぱりだわ。とにかくさっさとこの車から下ろさないと・・・」
王浩然(わんはおらん)「下ろさないとどうなるの?」
明津凛(ち、近い!くそっ・・・顔はめっちゃタイプなのよね)
明津凛「あんたを黙らせて無理やり降りるわ!」
王浩然(わんはおらん)「あはは! いいよ。やってみなよ」
手を振り上げる凛。
凛の手首を掴む王。
明津凛「・・・っな!」
マフィアA「到着いたしました」
王浩然(わんはおらん)「ざぁんねん♪」
明津凛(なんっなのよこいつー!)
〇屋敷の大広間
「おかりなさいませ。ボス」
王浩然(わんはおらん)「あぁ。ただいま」
明津凛(ボス?ボスって言った?・・・まさかね。こんなもやしみたいなやつがボスなわけ・・・)
マフィアB「ボス・・・ではこの女が・・・」
王浩然(わんはおらん)「あぁ。明津組の娘さんだ」
明津凛(待ってやっぱりこいつボスじゃん・・・!)
そっと後ろに下がり、扉の鍵を確認する凛。扉のドアは開いているようだ。
そっとドアノブに手をかける凛。
王浩然(わんはおらん)「あれ?もしかして逃げようとしてる?」
明津凛「──!」
明津凛「こんなとこに黙っていられるわけないでしょ!じゃ!」
凛の腰に手を回し自分の方へ引き寄せる王。
王浩然(わんはおらん)「簡単に帰れると思った?」
明津凛(──んなっ!?)
王浩然(わんはおらん)「本当はこのまま拘束してどこかに閉じ込めておこうかと思ったんだけど」
明津凛「──!? 離しなさい!」
王浩然(わんはおらん)「あはは!暴れないでよ」
明津凛(力つよっ・・・!)
王浩然(わんはおらん)「俺、君のこと気に入っちゃった」
明津凛「はぁ!?何言って・・・」
王浩然(わんはおらん)「もっと君のこと知りたくなっちゃった」
明津凛「・・・意味がわからない」
王浩然(わんはおらん)「だから今日から君を俺の彼女にする」
明津凛「──!?」
彼女を拐った目的がまさかナンパだったとは思いもよりませんでした。彼女もイケメンの彼に満更ではなさそうですね。これからのストーリーはドンパチが始まるのかな?
彼、若くてイケメンで、すでにボスってことはさぞかし頭も良くてやり手なんでしょうね。敵だとわかってても、お気に入り感も実際伝わってくるし、こんなにグイグイ強引にこられたら好きになっちゃいそうです。
マフィアといっても所詮人間であることは変わらないから、魅力的な人を前に乱暴な事をするのにブレーキがかかったのかも。・・実際には、難しい話でしょうが。この後、ラブストーリー的な展開を期待します!