第17話 河原に着いたら森林浴とキャンプをして(中編)(脚本)
〇アパレルショップ
ここはとあるデパート。
テナントの小型店舗が競合している。
若い女性向けの可愛い洋服を見つけるには良い環境だと思う。
僕は彼女達の試着の評価をお願いされている。
役得である。
咲桜里「お兄ちゃん、あたし似合うかなぁ?」
真樹「お兄ちゃん、とても良い!!と思うなっ♪」
咲桜里「ありがとうお兄ちゃん♪ この服は絶対に買いだね!」
温かい春先をイメージした短パン・・・ふともも激アツである。
日焼けしないかお兄ちゃん心配だなっ。
上着はフード付の長方形状のボタン留めとなっている。
そのモコモコとした生地は短パンの寒さを補い、さらに小動物感を可愛らしく演出している。
つまり最高である。
〇試着室
翠「真樹、ボクのはどうかな?」
真樹「最高だね!これは絶対買いだよ!」
翠「ふふ、真樹の見る目は確かなようだね♪」
ピンクの生地には優しい白い犬の顔が描いてあり、上着にも白いリボンが可愛らしく結ばれている。
下は膝上15センチ程のスカートになっている。
魔法があるのでこの時期でも問題無く着れる。
頭のカチューシャが前髪を綺麗に整えてくれて清楚感がさらに増していてとても良い。
〇試着室
里乃愛「真樹くん、さっそく着てみたよ♪」
真樹「んほぉぉぉぉぉ!!!! しゅごぃぃぃぃぃぃ!!!」
里乃愛「わぁ♪ すごい喜んでくれてるぅ~ リノアも嬉しいなっ☆(ウインク)」
俗に言うゴスロリである。
小悪魔的な黒い服とは対照的にその肌は何色にも染まった事の無い澄んだ白だ。
小悪魔でありながら無闇にふとももを晒さずその見た目で誘惑するわけでは無い。
その内に包括された心が見る者の心を妖しく奪い虜にし掴んで離さない。
黒く長い髪は上着の中へ優雅にそして優しく調和している。
膝上の白ソックスが見事に似合っている。完璧である。
さらに熊さんや兎さんのぬいぐるみが付属し可愛らしさを際立たせるアクセサリーとなっている。
〇試着室
想里愛「真樹さんっ♪」
真樹「わぁ、可愛いっ♪」
これも噂のロリータファッションか・・・まるでどこかの貴族の令嬢のようだ。
上着だけでなくスカートや首元にも備えられたリボンが彼女を美しく彩っている。
こちらも清楚で露出で攻める系統の服では無い。
とても良い買い物をしたと思う。
寝起きの為か毛先が巻き髪がかっていてこれまた高ポイントである。
リノアちゃんとお揃いコーデする事も自然な素敵なファッションだ。
1人辺りにつき何着か買い楽しい買い物を済ませる。
〇渓谷
さっそく値札を外して着てもらって出発する。
今回は4人ともロリータ系のファッションだ。
大変絵になって素晴らしい。
渓谷に近づくにつれて信号は減り道は斜めに入り組んでいく。
この時間帯はまだ良いが宵闇が訪れると月の明かり以外僕達を照らしてくれる自然物は存在しなくなる。
少し道を外れただけで鬱蒼とした森が僕らを包み込むだろう。
真樹「いや~雪景色が綺麗になってきたねぇ~」
想里愛「そうですね♪ これが噂に聴いていた雪景色・・・♪」
ここは僧が修行に訪れたと言う逸話もある渓谷だ。
まだ1月なので山肌は色白く染め上げられている。
樹の根本をすっぽりと覆う雪をものともせず流麗に水は流れ荘厳な自然が訪問者を迎える。
咲桜里「あ!あれうさぎさんだよっ!」
翠「ほんとだ!白~い♪」
里乃愛「ぴょんぴょん跳ねていて可愛いね♪」
野生動物に出会える・・・これが自然の醍醐味だ。
皆でテンションを高めつつ車で行ける限界地点まで移動する。
〇山中の川
車を降りると白銀の世界が僕達を迎える。
渓谷沿いに正規ルートを登っていく、枝の上にも溶けかかった雪が覆い被さっていてまだ肌寒い。
里乃愛ちゃんが精霊魔法で僕達の周囲を温かく包んでくれる。
多くの動物は冬眠しているのか僕達が雪や埋もれてる枝葉を踏みしめる音や小鳥のさえずり、
川のせせらぎと少しの風の音だけが辺りに響く。
〇野営地
そして流れる清水が近く、比較的平地であり開けている箇所を見つけここを今日の僕等の拠点地とする事が決まるのだった。