第十四話 ザ・ワンVS総合王者(脚本)
〇劇場の座席
リングアナ「これより一回戦最後の試合をはじめます!!」
リングアナ「朱雀から、ブラジリアン柔術の重量級王者にして、UFC王者のロベルト・パウリーニョ選手の入場です!」
〇闘技場
リングアナ「すごい歓声! パウリーニョ選手の人気の高さをうかがわせます」
リングアナ「そして玄武からは、ザ・ワン選手の入場です!」
ザ・ワン(根岸学)が現れるが、対照的に観客の反応は薄い。
〇劇場の座席
リングアナ「実はザ・ワン選手は、予選枠でも招待枠の選手でもありません」
リングアナ「本来招待していたのは、サンボの世界チャンピオンだったのですが、」
リングアナ「ザ・ワン選手が道場破りにて病院送りにしたため、特別に代わりの選手として認められたのです」
「おお~~!!」
リングアナ「本大会は、このような無法さえ許容いたします」
リングアナ「なおザ・ワン選手の流派、戦歴などはまったくの不明となっています」
〇闘技場
闘技場の中央で、ザ・ワンとパウリーニョが対峙する。
リングアナ「ヘビー級のパウリーニョ選手に対して、ザ・ワン選手は、さらに40キロ上回るスーパーヘビー級の体格を誇っています」
〇劇場の座席
青馬文彦「ゴリゴリマッチョか。あんなに筋肉を重くして闘えるのか?」
青馬文彦「ん!?」
青馬文彦「ザ・ワン? あの顔、どこかで見覚えが・・・」
リングアナ「実力未知数のザ・ワン選手、優勝候補の筆頭であるパウリーニョ選手にどこまで健闘できるか!」
〇闘技場
ミスター小林「両者とも全力で闘うように」
リングアナ「立ち上がり、パウリーニョ選手は距離をとっての牽制ローキック」
リングアナ「ザ・ワン選手は、やや消極的のように見えます」
リングアナ「パウリーニョ選手、距離を詰めてパンチを繰り出します」
リングアナ「ザ・ワン選手、それを真後ろに下がりながら、かろうじてかわす」
リングアナ「まるでアマチュア選手のようです」
リングアナ「でたーっ! パウリーニョ選手の高速タックル!」
リングアナ「ザ・ワン選手を捕らえました。得意のパターンです!」
ロベルト・パウリーニョ「・・・!?」
リングアナ「なんだ!? ザ・ワン選手、タックルをまともに食らっても、ビクともせず直立不動の姿勢のままだーっ!!」
ザ・ワンはパウリーニョを背中から抱え込むと──
リングアナ「力まかせに真上に放り投げたーーっ!!」
〇劇場の座席
「・・・・・・」
観客は誰もが自分の目を疑う。
パウリーニョの体が、軽々と天井までとどいているのだ。
〇闘技場
リングアナ「パウリーニョ選手、空中で体勢を立て直して、なんとか足から着地したーっ!!」
リングアナ「あっと、足をケガしたのでしょうか? 立ち上がれません!!」
リングアナ「そこへゆっくりと近づいてきたザ・ワン選手──」
リングアナ「ものすごいバルクの右腕を振りあげたーーっ!!」
ロベルト・パウリーニョ「ノーーッ!!!!」
リングアナ「超剛腕ラリアットで叩きつけられたパウリーニョ選手、上半身が地面にめりこんでしまったーーっ!!」
〇劇場の座席
「・・・・・・!!」
観客は息を飲んで静まり返っている。
カン!カン!カン!カン!カーン!!
リングアナ「戦慄! 戦慄の結末! 総合の世界王者がなすすべなし!」
リングアナ「ザ・ワン選手、おそるべき超怪力です!」
〇闘技場
根岸学「ふん、こんなものか」
〇劇場の座席
リングアナ「パウリーニョ選手のもとに担架が駆けつけます!」
リングアナ「どうやら息はあるようです」
青馬文彦「・・・技術は粗削りだが要注意の敵だな」
リングアナ「注目の二回戦は、午後2時からの開始になります」
リングアナ「ご昼食は売店で販売している各種の特製お弁当をどうぞ!」
〇黒
つづく
次回予告
第十五話 再会
乞うご期待!!