誕生日(脚本)
〇本棚のある部屋
翌朝
ろくに寝れなかった
途切れ途切れに寝ても
カナコの泣き顔でハッと目が覚める
心配だ・・・
アザミ「今日はずいぶんと早起きねぇ おはよう そして お誕生日おめでとう!」
母さんが出発の支度をしに来てくれた
母さんは僕が
デイサービスに行くと思っているはずだ
アザミ「昨日、 今日は早くお迎えに行きますって エイジ君から連絡来たわよ!」
アザミ「何かしたい事があるとかって・・・ デイサービスの時間より早く来るって・・・」
アザミ「って・・・言っちゃったら サプライズにならないじゃないっ」
アザミ「ごめんなさい」
そう言って出かける準備を始める
〇一戸建て
アザミ「せっかくの誕生日なのに・・・ 雨が降ったらどうしよう・・・ 洗濯物干すか悩んじゃうわっ」
身支度を終えて
母さんとたわいない話をしながら
エイジを待つ
アザミ「母さんも後で誕生日会行くからね」
母さんはいつも通りだ
きっとバレてない・・・はず
もうすぐ着くと連絡があった
アザミ「エイジ君!おはようーっ」
エイジ「おはようございます!」
エイジ「おはよっ お誕生日おめでとうな!」
エイジは疑われないよう普段通りに接する
アザミ「今日は1日楽しい事がありそうねっ ね、アサギっ」
僕は笑顔で返す
エイジ「それじゃ行くかー!」
アザミ「いってらっしゃい」
何も知らない母さんに見送られて
犯人に指定された山に向かって出発した
〇走行する車内
こうやって2人で出かけるのは
ずいぶん久しぶりだ
僕がこんな状態からになって2年程経った頃
中学、高校と仲良かったエイジが気晴らしに
出かけようと声をかけてくれたのだ
わざわざボランティアに参加してくれたり
免許を取りに行ってくれたり
感謝してもしきれない
感謝と言えば
母さんには本当に感謝している
だからこそ
嘘をついて出かけるのは本当に気が引ける
つくづく誕生日には悪いことが起こる
〇病室
僕が身体をうまく動かせなくなったのは
誕生日だった
〇本棚のある部屋
毎年誕生日には
体調が悪くなり
しばらく入院する
〇病院の診察室
何故か
母さんはいろんな病院に行こうとするけれど
入院するたび
甲斐甲斐しく看病してくれる
本当に感謝している
〇本棚のある部屋
毎日毎日僕の面倒ばかり
アザミ「良いのよ 気にしないの」
そう言って文句も言わずに世話してくれる
血のつながらない子供をよくみていると
周りの人は誉めている
本当にそう思う
いつもありがとう・・・
〇走行する車内
エイジ「大丈夫か?」
!!
エイジ「オレもドキドキしてるけど・・・ とりあえずキヨシと話してみような・・・」
目線を上下に動かす
キヨシ君・・・
そうだ今はカナコの安全が第一だ!
何故カナコを誘拐なんて・・・