破邪の拳 ~ニート武道家の地下格闘技トーナメント~

武智城太郎

第十三話 妖術レスラーVS特撮ヒーロー(脚本)

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〇劇場の座席
リングアナ「これより一回戦第7試合をはじめます!」
リングアナ「玄武から、インドの妖術レスラー、ハラマヤ・シン選手の入場です!」

〇闘技場
  〈玄武〉の入場口から、シンが登場する。
リングアナ「おおーっと、観客にむかって、歯を剥き出して挑発的な表情をむけているぞ!」
リングアナ「シン選手は、インドプロレス界では〝怪人〟の異名をとる卑劣なヒールとして知られています!」
  そのとき、耳慣れた懐かしいイントロが流れはじめる。

〇劇場の座席
観客「え?」
観客「あれ?」
観客「この曲って・・・」
  特撮テレビ番組『宇宙警察メタルバン』のOP曲である──
「『レディゴー!! メタルキック』だ!」
リングアナ「続いて朱雀から、なんと、特撮ヒーローメタルバン選手の入場です!」

〇闘技場
  朱雀の入場口から、メタルバンの本格コスプレをした選手が姿をあらわす。

〇劇場の座席
リングアナ「テレビの世界のヒーローが現実に飛び出してきました!」
「おおーー!!」
男の子「本物のメタルバンだ!」
男の子「すごい! カッコイイ!!」
  『宇宙警察』シリーズは、代を重ねて現在まで続いているため、幼い男の子にも認知されているのだ。
リングアナ「気になる著作権問題ですが、メタルバン選手本人の説明によりますと、石谷プロの正式な許可は得ていないそうです」
リングアナ「しかしながら、私的複製・非営利目的ということで御理解ください」

〇闘技場
  両選手が、闘技場の中央で対峙する。
リングアナ「メタルバン選手のプロフィールに関しましては、まったくの謎に包まれております」
リングアナ「その仮面の下の素顔は、いったい何者なのでしょうか?」
ミスター小林「両者とも全力で闘うように」
リングアナ「早くも出ました!  シン選手お得意の火炎殺法ーっ!」
リングアナ「炎の長さはゆうに3メートルを超え、まるで軍用の火炎放射器のようです!!」
  メタルバンは炎から逃れるため、右へ左へと走りまわる。

〇劇場の座席
リングアナ「メタルバン選手、防戦一方・・・というか避難に徹しています」
リングアナ「ちなみにシン選手の口から火を吹く火炎殺法は、本大会においては反則ではありません」
観客「メタルバン!」
観客「メタルバン!!」
  ピンチのメタルバンに声援が送られる。
男の子「メタルバーン!!」

〇闘技場
リングアナ「ですが声援もむなしく、メタルバン選手は相手に近づくことすらできません!」
  そればかりか、逃げ疲れて動きが鈍くなってくる。
リングアナ「あーっと!! メタルバン選手、ついにオレンジ色の火炎を浴びてしまったーっ!!」
  だが一瞬で逃れたせいか、コスチュームの一部が溶けた程度ですむ。

〇劇場の座席
リングアナ「おや? シン選手が試合を中断させて、審判に抗議しているようですが・・・」
リングアナ「どうやらシン選手、メタルバン選手のコスチュームがフェアでないとクレームをつけているようです」
リングアナ「どの口がそんなことを言えるのでしょうか?」
リングアナ「当然のごとく主張は受け入れられず、試合が再開されます」

〇闘技場
  その後、シンの火炎攻撃は目に見えてショボくなっていく。
リングアナ「ああーっと、シン選手、ガソリン切れでしょうか!」
  勝機と見るや、メタルバンは全力でダッシュし──
リングアナ「メタルバン選手の、ジャンプからの強烈な跳び蹴り──っ!!」
リングアナ「まともに食らったシン選手、爆発こそしないものの失神KO─!!」
  カン!カン!カン!カン!カーン!!

〇劇場の座席
リングアナ「おーっと! まさしくテレビ通りのメタルバンキックだーっ!!」
男の子「メタルバン、かっこいい!!」
リングアナ「正義は勝つ! まるでヒーローショーのようです!」
リングアナ「さて、いよいよ次は一回戦最後の試合、ロベルト・パウリーニョ選手対ザ・ワン選手の一戦です」

〇黒
  つづく
  次回予告
  
  第十四話 ザ・ワンVS総合王者
  
        乞うご期待!!

次のエピソード:第十四話 ザ・ワンVS総合王者

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