第十二話 草刈流体術VS立ち技王者(脚本)
〇劇場の座席
リングアナ「これより一回戦第6試合をはじめます!」
〇闘技場
両選手が、闘技場の中央でむかいあっている。
シュートボクシングの絶対王者、斗死貴(としき)と草刈遼だ。
〇劇場の座席
傍聴者「としきー!」
観客「トシキー!!」
リングアナ「さすが人気者だけあって、斗死貴選手には多くの声援が送られています」
リングアナ「それとは対照的に、草刈選手は青馬選手に続いて、予選枠から勝ちあがってきた無名の選手です」
リングアナ「そのプロフィールはまったくの謎」
リングアナ「〈草刈流体術〉なるものも、本人が半年前に創始したものだそうです」
〇闘技場
だが草刈本人は怪しげな経歴とは裏腹に、モデルのような爽やかなルックスである。
リングアナ「両選手とも、理想的に絞り込まれたシャープな中量級。体格的には互角です」
ミスター小林「両者とも、全力で闘うように」
リングアナ「斗死貴選手、表の試合と同様、序盤から積極的に攻めていきます」
リングアナ「さすが立ち技中量級最強とうたわれる斗死貴選手!」
リングアナ「打撃もフットワークも、目にも止まらないスピードだーっ!!」
だが草刈は、その攻撃をさらに早い身のこなしで完璧にかわしていく。
リングアナ「おおっと、草刈選手もスピードでひけをとらないぞ!」
〇劇場の座席
最前列の関係者席のわきに、科学者風の男が二人いる。
一人は特殊なカメラで試合を撮影し──
もう一人は、ひっきりなしにデータを入力している。
二人とも、注視しているのは草刈選手のようだ。
〇闘技場
リングアナ「斗死貴選手、動きが止まっています。ラッシュ疲れでしょうか!」
リングアナ「対照的に草刈選手は、息ひとつ切れず涼しい顔をしているぞ!」
斗死貴は再度、草刈に攻めかかる。
が、突如として敵の姿が消えてしまう。
斗死貴「なんだ!?」
草刈は斗死貴の頭上にいた。
ものすごい垂直ジャンプで、一瞬にして空中に移動したのだ。
そして、斗死貴の脳天に軽く蹴りを入れる。
カン!カン!カン!カン!カーン!!
〇劇場の座席
リングアナ「なんと秒殺ぅ! 草刈選手の鮮烈な一本勝ちです!」
「うおおおーーっ!!」
「きゃーーー!!」
〇闘技場
草刈はノリ良く、サムズアップで女性客の歓声にこたえている。
〇劇場の座席
リングアナ「強いうえに、このイケメンっぷり!」
リングアナ「今の今まで、こんな選手がいったいどこに隠れていたんだー!」
リングアナ「さて、つづく一回戦第7試合は、ハラマヤ・シン選手対宇宙警官メタルバン選手の一戦です」
〇黒
つづく
次回予告
第十三話 妖術レスラーVS特撮ヒーロー
乞うご期待!!