二等分のケーキ

戸羽らい

第3話 文化祭とメイド服(脚本)

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〇ラブホテルの部屋
カズヤ「マユの通ってた高校って○○高だよね?」
佐山「うん」
カズヤ「来週文化祭あるみたいなんだけど 一緒に行こうよ」
佐山「えっ」
カズヤ「大丈夫 ツテがあって招待状は確保してるから」
佐山「でも・・・」
カズヤ「もしかして気まずい?」
佐山「うん」
カズヤ「いいだろ 俺がいるんだから」
カズヤ「他のやつなんか気にすることねーよ」
カズヤ「それにマユと一回、高校で制服デートしてみたかったんだよなぁ」
佐山「えっ制服着てくの?」
カズヤ「あ!俺は着てかないよ! マユも高校のやつじゃなくて いつものコスプレ・・・」
カズヤ「いや、新しい制服買うか 別のバレエーションも見てみたいな」
佐山「・・・」
カズヤ「それはそうと・・・」
  がばっ
佐山「待って・・・部屋暗くして」
カズヤ「良いじゃんたまには!」
佐山「・・・」

〇装飾された生徒会室
「いよいよ明日だね〜文化祭」
「緊張するな〜」
「大丈夫だよ〜 練習通りやれば〜」
「うぅ・・・私のガラじゃない」
「私のガラでもない・・・」
「え〜!2人とも可愛いのに〜」
「きっとお客さんメロメロだよ〜」
「まさかこんなことになるとは・・・」
「あははっ! 明日楽しみだなぁ」

〇文化祭をしている学校
カズヤ「おー賑わってるなぁ」
カズヤ「マユもほら、こっちこっち」
カズヤ「やっぱり制服は良いね〜」
佐山「普通に恥ずかしいんだけど」
???「あれ?あの子・・・」
???「誰だっけ・・・ほら 去年までいた」
佐山「・・・」
???「佐山さんだよ なんか知らんけど退学した」
???「あーいたなぁ そういえば」
???「てかなんで制服? もしかしてコスプレ?」
佐山「っ・・・」
カズヤ「こりゃ〜色々あって回りきれないな〜」
カズヤ「すいませ〜ん」
女生徒「は〜い、何でしょう〜?」
カズヤ「何かオススメの出し物あります?」
女生徒「あれ? お兄さんデートですかぁ?」
女生徒「それならうちのクラスのお化け屋敷とかどうですかぁ? 自然な感じで密着できますよ〜うひひ〜」
カズヤ「いいね〜 良ければ案内してくれるかな?」
佐山「・・・」

〇学校の廊下
カズヤ「お化け屋敷、 思った以上に怖かったね〜」
カズヤ「マユなんかびっくりして 俺の腕にしがみついちゃってさ〜」
佐山「・・・うん」
カズヤ「あっ」
女生徒「──」
女生徒「──」
カズヤ「──」
女生徒「──」
女生徒「──」
カズヤ「──」
女生徒「──」
佐山「・・・」

〇中庭のステージ
  ざわざわ
佐山「すごいなぁ ライブでもするのかな?」
佐山「・・・」
佐山「カズヤ置いてきちゃったけど 後で怒られないかな」
佐山「・・・まぁなんでもいいや」
  皆さーん!盛り上がってますかー!
姉ヶ崎「私たち文化祭実行委員が 今日は皆様のメイドとして 精一杯歌と踊りを披露しちゃいまーす!」
???「メイドなのに歌・・・? まさか!」
姉ヶ崎「そうです! 私たちはメイドアイドル!」
姉ヶ崎「その名も〜!」
「○○高メイドル!」
???「うおおおおお!」
佐山「宇津井・・・?」
???「3人ともカワイイよおおお!」
???「メイド最高おおおお!」
姉ヶ崎「ありがと〜〜!」
宇津井「もう〜オタクくんは単純なんだから!」
山田「おい!オタクくんなんて失礼だぞ!」
宇津井「え?じゃあチー牛?」
山田「いやそれはもっと失礼だから」
???「あははは!」
???「左の子いいキャラしてるね〜!」
姉ヶ崎「えー、それでは私たちのライブ!」
姉ヶ崎「是非、最後まで 楽しんでいってくださいね!」
???「うおおおおおおお!」
佐山「・・・」
佐山「宇津井ってああいうの苦手だと思ってた」
???「あれって B組の宇津井さんじゃない?」
???「えっカワイイ! あんな感じだったっけ?」
???「歌上手いね〜 本物のアイドルみたい」
佐山「・・・そんなの 私は元から知ってる」
???「ねぇ今度話しかけてみる?」
???「そうしよ! 意外といい子っぽいし!」
佐山「・・・」

〇階段の踊り場
佐山「カズヤどこ行ったんだろ・・・」
  ぴこん
佐山「カズヤからだ」
  ごめん、急用ができちゃった!
  
  先帰るね!本当にごめん!
佐山「・・・」
佐山「私カズヤの車で来てるんだけど どうやって帰ればいいの?」
佐山「・・・」
佐山「はぁ・・・」
佐山「なんか惨めだな・・・」
佐山「私っていつもこんなんばっか」
佐山「宇津井だって・・・」
佐山「・・・」
佐山「宇津井・・・」

〇中庭のステージ
姉ヶ崎「魔法のほうきでお掃除するの〜 どうしようもないお部屋でも〜」
山田「今日じゃないなんてNOで逃げないで 堂々巡りは捨てちゃえ さっさっ」
宇津井「死ぬ前に見る走馬灯よりも 今日のショーに勝負かけるの」
姉ヶ崎「あなたの心を模様替えしたい! 私一色に染め上げたい!」
山田「染めるしかない」
宇津井「でも染められたい」
「昨日も全部 今日で塗り替えて 新品の家具でティータイムしよう!」
  ワァァァァァァ!
「Ready steady!baby! Kiss cute wallpaper!」
宇津井「strawberry and cranberry!」
山田「お菓子の家より刺激的 甘みと酸味のsweets room」
「Ready steady!baby! Kiss cute wallpaper!」
姉ヶ崎「blueberry and Pretty lady?」
宇津井「私は誰より刺激的 あなたと二人の」
「sweet sweet sweet sweet love!」
  ワァァァァァァ!

〇階段の踊り場
  宇津井ってあんな表情するんだ
  私にも見せたことのない顔を
  大勢の人たちの前で晒して
  まるで過去と決別するかのような
  前向きな歌を歌って
  私の本当の居場所はここなんだって
  自慢されてる気分になった
佐山「宇津井って」
佐山「私とカラオケ行っても 合いの手とか一切入れないよね」
佐山「私は入れるのに」
佐山「あんなにノリが良いなら 私と歌う時も同じようにしてよ」
佐山「私も宇津井とあんなふうに歌いたかったよ」
佐山「なんで・・・?」
  なんで私はあの場にいないの?
  なんでこんなところで
  ひとりぼっちで立っているの
  もう・・・全部・・・
佐山「どうでもいいや、はは」

次のエピソード:第4話 決別と約束

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