二等分のケーキ

戸羽らい

第2話 すれ違いと鉢合わせ(脚本)

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戸羽らい

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〇屋上の入口
宇津井「はぁ・・・」
  宇津井「今日遊ばん?」
  
  佐山「ごめん、用事ある」
  宇津井「まじか〜」
  
  佐山「また今度ね」
宇津井「最近あいつ付き合い悪いなぁ」
宇津井「男でもできたのかな・・・」
???「も〜こんなとこで何すんの〜?」
???「何ってすること決まってんだろ?」
???「バレたらやばいよ〜 ・・・あっ」
???「ん?誰かいんの?」
宇津井「・・・」
???「チッ」
???「もう〜だから言ったじゃん 学校終わってからでよくない?」
???「そうすっか」
宇津井「色気付きやがって・・・」
宇津井「・・・」
宇津井「私ハマセンと同じこと言ってるわ」
???「居場所がないぼっちは可哀想だな〜 せめて邪魔にならないとこにいてくんね〜かな〜」
宇津井「聞こえてんだよクソ」
宇津井「はぁ」
宇津井「私も学校やめようかな・・・」
???「おっ! 宇津井こんなとこにいたのか!」
宇津井「げっ」
ハマセン「って・・・髪明るいぞ! 黒くしてこいって言っただろ!」
宇津井「ういーす」
ハマセン「宇津井・・・お前 文化祭の実行委員どうすんだ?」
宇津井「どうすんだって言われても・・・ こっちは勝手に押し付けられたんですよ」
ハマセン「その件はすまん・・・ 他の生徒は部活が忙しかったりして・・・」
ハマセン「でもこれはお前にとってもチャンスだと思うんだ 他の実行委員の子たちと親睦を深め──」
宇津井(あーうざい)
ハマセン「皆で一つを成し遂げるその──が かけがえのない財産と──」
宇津井「私教室戻りますね」
ハマセン「ちょっと待て! 今生徒会室で実行委員の役職決めをしてるからお前も来い!」
宇津井「うわ・・・だる」
ハマセン「ははは!大丈夫だ! そんな堅苦しいものじゃないぞ!」
宇津井「私は一人の時間を奪われるのがだるいんですよ」
ハマセン「一人・・・か 変な意地張るのは良くないぞ宇津井」
宇津井「別に意地なんて張ってないし」
ハマセン「とりあえず行こう!」
  ぐいっ
宇津井(掴むなよきもいな・・・)

〇生徒会室
  いつもは長く感じられる学校も
  その日はあっという間だった
  私たちは連絡先を交換し、週末には文化祭の打ち合わせという名目でショッピングに出かけることになった
  まともに同級生と話すのは佐山以来だ
  彼女たちは優しいし、ノリも合うし
  それに何より、私のような異物を躊躇うことなく受け入れてくれる
  こんな子たちは他にいないかもしれない

〇駅前広場
佐山「・・・」
佐山「・・・」
???「ごめんごめん、待った?」
佐山「・・・私も今来たとこだよ!」
カズヤ「おっ! 僕が買ってあげた服似合ってるね〜」
佐山「カズヤのセンスが良いんだよ」
カズヤ「ちゅ」
佐山「・・・」
カズヤ「さて、今日は何買おうか? 何でも欲しいもの言ってごらん」
佐山「カズヤとお買い物できるなら 何だっていいよ・・・」
カズヤ「僕も全く同じ気持ちだよ マユと一緒にいられるならそれだけで嬉しい」
佐山「カズヤ〜」
カズヤ「胸当たってますよ〜マユさん〜」
カズヤ「とりあえずお店回ろうか?」
佐山「うん・・・!」

〇エレベーターの前
宇津井「いやー私的にはあの最終回アリだけどな」
姉ヶ崎「え〜!可哀想じゃん! 結局主人公は報われなかったんだよ!」
山田「少しやるせなさの残る終わり方ではある」
宇津井「やるせないくらいが良いんだって!」
  チーン
宇津井「ん?」
佐山「宇津井?」
カズヤ「知り合い?」
宇津井「佐山・・・」
宇津井「その人彼氏?」
佐山「・・・」
カズヤ「こんにちは〜 マユの彼氏のカズヤと言います〜」
佐山「うん・・・彼氏」
宇津井「・・・」
宇津井「そっか」
宇津井「佐山もなんだかんだ 私の知らないとこでやることやってんね〜」
佐山「あはは・・・」
佐山「宇津井もとっとと男見つけなよ〜」
宇津井「ははは〜 マウントか〜この野郎〜」
山田「・・・」
佐山「マウント取られるような隙を見せる奴が悪い」
佐山「・・・」
佐山「じゃあ・・・またね」
宇津井「じゃな〜」
山田「今の・・・佐山さんだよね 去年退学した・・・」
宇津井「おう」
姉ヶ崎「あっ! いたね、そういえばそんな人」
姉ヶ崎「不良っぽくて怖かったなぁ」
宇津井「マジ? 姉ヶ崎って不良っぽい子苦手なの?」
宇津井「それなら私とか苦手じゃなかった?」
姉ヶ崎「え、リサちゃんは不良っぽくないよ」
姉ヶ崎「不良と言うより・・・ 強がってる子猫?」
山田「自分を虎だと思い込んでる猫だな」
宇津井「ナメんな!私は虎だ!」
宇津井「ギャオオオオオ!」
姉ヶ崎「可愛い〜!」

〇清潔なトイレ
佐山「・・・」
佐山「・・・」
佐山「何がマウントだよ」
佐山「あんなに楽しそうにして」
佐山「結局一人なのは私だけじゃん」
  ぴこん
佐山「宇津井からラインだ」
  さっきはデートの邪魔してごめんね
  てか最近付き合い悪かったのは
  男いたからなんだ〜
  
  それならそうと言ってくれれば良かったのに
佐山「・・・」
佐山「なんなんだよこの余裕ある文は」
佐山「なんなんだよ」
佐山「なんなんだよ・・・もう・・・」

次のエピソード:第3話 文化祭とメイド服

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