エイジの決意(脚本)
〇本棚のある部屋
エイジ「ごめん・・・ やっぱ途中からじゃ 場所を特定するのは難しいかも」
エイジ「画像検索とかやれる事はやるけど! 時間はかかるかも・・・」
『分かった』の意味を込めて
視線を上下に動かす
ドライブレコーダーと僕のパソコンを繋いでくれたエイジだ
時間はかかっても
ちゃんと見つけてくれるはず
ピコン──
!!
カナコのスマホ
もとい誘拐犯からのメッセージが届く
”お前に話がある”
”明日4/1
午前9時に指定する場所に来い”
”場所は──”
そこには
おそらく動画で見たトンネルの
位置情報が書かれていた
”女を守りたければ誰にも言うな”
・・・
犯人がキヨシ君だと言うなら
僕が独りでは動けない事を知っているはず
誰にも言うなとは
難しい問題を出してくるよな・・・
しかも明日・・・
明日は僕の誕生日だ・・・
毎年、誕生日には嫌なことが起こる・・・
エイジ「どうした?」
エイジにもメッセージが見えるよう
画面を操作する
エイジ「!!」
エイジ「明日!? 1人とか・・・無理だろ・・・?」
目線を上下に動かす
to GTH
”一緒に”
エイジ「分かった!! 迎えに行くよ!!」
エイジは僕が通っているデイサービス施設のボランティアをしていて
僕を運ぶことが出来る福祉車両の運転も出来る
エイジ「実は職員さんから頼まれてて 明日はサプライズで オレがアサギを迎えに行く事になってたんだ・・・」
エイジ「車も前もって借りてきてるから 朝迎えに行くな!!」
エイジ「みんなで頑張って飾り付けとか したんだけどなぁー・・・ とんだ誕生日だな・・・」
そんな事をしてくれていたのか・・・
目線を上下に動かす
〇本棚のある部屋
アザミ「今日は体調良い? お夕飯たべる?」
いらないと母さんに伝える
アザミ「あら・・・ 仕方ないわね・・・」
母さんには話さなくても
伝わってしまっているような気がした
長く一緒にいたら
何もかもバレてしまいそうだ・・・
アザミ「何だか今日は無口ねぇ・・・」
アザミ「さっきまで誰かと話してたんじゃないの? 音が聞こえてたわよ? エイジ君?」
早く部屋から出て行って・・・
アザミ「・・・ま、お年頃だものね! でも困った事があるなら早めに言うのよ?」
うん
心の中で答えて
早々に部屋を出てもらった
カナコの事を考えたら
食欲なんてどこかに行ってしまう
不安な顔になるのを必死に抑えて
母さんを部屋から追い出した
〇本棚のある部屋
出ていく時に
部屋の明かりを消してもらった
犯人・・・
キヨシ君が部屋を監視しているとは
考えにくいが
目立つ動きはしない方が良い気がした
母さんが心配して部屋に来るのも避けたい
早めに寝たように見せかけて過ごす事にした
パソコンは起動したまま
液晶画面の明かりを顔に受けながら
カナコの事・・・
キヨシ君の事・・・
考え始めるとキリがない
目を閉じたところで
寝れるわけもなく
薄目でぼんやりと液晶画面を眺める
心配だ・・・