サプライズ!

櫻木 ニコラ

サプライズ!(脚本)

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〇部屋のベッド
  友人のかおりんから届いた、一通のメッセージ。
  『じゃあ決行は予定通り、今週の金曜の夜ってことで!』
  『突然のプロポーズなんて、陽葵もしかしたら嬉し泣きしちゃうんじゃない?』
  金曜日は、私の誕生日だ。
  だけど恋人の陽太からは、どうしても外せない仕事の予定があるため、お祝いは翌日の土曜日に盛大にしようねと言われていた。
  これ絶対私宛てじゃなく、陽太宛てでしょ。
  ・・・サプライズで私に、プロポーズをするための計画でしょ。
  ホントかおりんってば、おっちょこちょいなんだから!
  どうしたものかと途方に暮れていたら、送信先の間違いに気付いたのか、メッセージはすぐに消去された。
  だけどその後フォローのメッセージは届かなかったから、彼女はきっと、既読がついた事に気付いてはいないに違いない。
  これホント、どうしたもんかな。

〇結婚式場のレストラン
  そして迎えた、金曜日。
  サプライズパーティーが開かれるのは事前に分かっていたから、
  適度にフォーマルな服装で、かおりんとの待ち合わせ場所であるレストランに向かった。
  一応変装をしているつもりらしいが、店内には私と陽太の知り合いの姿がちらほら。
  ・・・みんな、不器用過ぎるでしょ。
かおりん「お待たせ。 今日は陽葵の誕生日だから、ちょっと奮発して高級なレストランを予約しちゃった♪」
  ・・・サプライズが既にサプライズじゃなくなってるなんて、言わない方が良いよね。
陽葵「わぁ、そうなんだ? ありがとう、かおりん。 楽しみ!」
  この時の私は、まだ知らなかった。
  事前に気付いていたとしても、あんなにも驚かされる事があるだなんて。
かおりん「陽葵は、座って待っててね! 私はちょっと、お手洗いに行ってくる」
  食事をしながらもソワソワと、終始時計を気にしていたかおりん。
  ...そろそろ本格的なサプライズが、始まるらしい。
  なんとも言えない気まずさと気恥ずかしさを感じなからも、笑顔で答えた。
陽葵「うん、了解! 行ってらっしゃい」

〇結婚式場のレストラン
  突如明かりがすべて消され、暗転した店内。
  流れ始めた、軽快なリズムのピアノ演奏。
  ・・・来る!

〇結婚式場のレストラン
  明かりが、灯った。
  ・・・私の目の前には、謎に天使のコスプレをしたかおりんの姿。
陽葵「えっと・・・かおりん? なんで天使のコスプレなんか、してるのよ?」
  高級レストランでの、突然の奇行。
  ・・・完全貸切ではないのに、私のためのサプライズだとしてもこれはない。
  ドン引きしながら言うと、彼女は拗ねたように唇を尖らせ、答えた。
かおりん「天使じゃ、ないよ!キューピッドだよ! 天使の輪っか、ないでしょ? だから私は天使じゃなくて、愛の使者 キューピッドなの!」
  どうしよう?
  ・・・もう既に、帰りたい。

〇結婚式場のレストラン
かおりん「まぁ、いいわ。 とりあえず、陽葵も着替えて!」
  そう言うと彼女は私の手を引き、強引に控え室らしき部屋に移動させた。
  もしやドレス的なものを、用意してくれているのだろうか?
  私は普通のプロポーズで、充分なのに。
  着替えさせられたのは、なぜか袴。
  どうしよう。
  ・・・本気で意味が、わからない。

〇結婚式場のレストラン
  再び店内が、暗くなった。
  ・・・これもう、嫌な予感しかしない。

〇結婚式場のレストラン
  再び明かりが灯った時、そこには予想した通りの人物・・・私の恋人、陽太の姿。
  しかも、着物バージョン。
  おそらく私が以前、太宰治が好きだと言った事に起因しているのだと思われる。
  そして私が卒業式でもないのに、良い年をして袴を着せられているのも、彼とペアルック感を出すために違いない。
  唖然とした様子の、店内のお客様たち。
  本来は盛り上げ役に徹するはずだったと思われる、私と陽太の共通の友人たちまでも、ポカーンと口を開けている。
  決まった、的な顔をしてるけど、本当に勘弁して欲しい。
陽太「陽葵・・・愛してる。 俺と、結婚して下さい」
かおりん「感動の、名シーンね!」
  ・・・何、これ。
  私もう、ホント帰っていいかな?

〇結婚式場のレストラン
陽太「あれ?もしかして、聞こえなかった? それとも俺のイケメン具合に見惚れて、返事するのを忘れてる?」
  断られるとは、微塵も思っていないところが恐ろしい。
  何度も告白され、結局絆されて付き合うようになったのは三年前。
  自分、大好き。
  私の事は、もっと好きな陽太。
  ・・・これは普通のサプライズなんかを想像した、私の敗けだ。
陽葵「陽太。 ・・・私が目立つの嫌いって、知ってるよね?」
  にっこりと微笑み聞くと、陽太とかおりんは怯えた様子で一歩後退った。

〇結婚式場のレストラン
陽葵「プロポーズ、ありがとう。 慎んで、受けさせて頂きます」
陽太「だよね?良かった。 俺みたいな良い男に似合う女の子は、世界一可愛い陽葵しかいないから」
陽葵「残念ながら、そんな理由じゃないわ。 私が見張ってないと陽太、ひと様に迷惑掛けまくりの、ろくでもない人生を送りそうだから」
陽葵「だから一生隣で、私が監視してあげる♥️」
  だけど、こうも思うのだ。
  この人と一緒なら、怒ったり呆れたりを繰り返しながらも、きっと大笑いしながら楽しい一生を送れるに違いないって。
  まぁでもそんな事を言って調子に乗らせたら、また絶対に面倒な事になるから、口が裂けても言ってあげないけどね

コメント

  • まさかのサプライズの展開に!!!でした(笑)
    貸しきりじゃない店内でこんなことをされてしまうとは……私だったら恥ずかしくてしょうがないなぁと思いましたが、でも過ぎてしまえば笑える思い出になるかもしれませんね。
    陽葵の最後の胸の内が可愛かったです!きっと陽太は陽葵の尻に敷かれるんだろうなぁ……(笑)
    いつまでもお幸せに❤

  • フラッシュモブとかも私は苦手です…。
    好きな人はいいかもしれないけど、苦手な人もいますよね。
    でもなんにせよプロポーズは成功したし、めでたしめでたし?笑

  • かおりんが愛の使者を担ったのが本当だとしたら、すこし派手でも二人の大事な瞬間を自分なりに演出したいと思ったのでしょうね。みんなが少しづつちぐはぐな所がコミカルで良かったです!

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