第16話 帰路に着いたら宴を開いて(中編)(脚本)
〇森の中
夜道は危なくどこか遠くから動物の遠吠えが聞こえる。
山の上のほうからだろうか・・・。
やはりここは優しいだけの異世界ではない。
自然は豊かだが荘厳さも兼ね備えた世界なのだ。
里乃愛「あまり山の奥には行かないほうがいいよ。」
想里愛「まだ山の奥は危ないのですか?」
里乃愛「そうだよ、山の奥だと助けも来ないし不用意に行かないほうがいいよ。」
翠「ボクもそう思う、どうしても行くときはみんなで行こう?」
咲桜里「ミドリちゃんやリノアちゃんもいるなら安心だね♪」
真樹「そうだね! ソリアの家の近くは安全で良かったよ♪」
話をしている間にソリアの家が見えてくる。
特に危ない事も無く無事着いた。
帰るまでが冒険だとはよく言ったものだ。
リノアちゃんがソリアの家で一緒に過ごしてくれる事になり、これからの毎日が楽しくなるだろう。
〇和室
想里愛「無事着きましたね♪」
里乃愛「わぁ、素敵なお家だねっ!」
真樹「一段落したし、お家でゆっくり休もう♪」
「そうしよう♪」
部屋に座りみんなでくつろぐ。
今日はダンジョンや街を練り歩いて疲れたなぁ。
リノアちゃんの歓迎の宴は明日にしたほうが良いのかな・・・。
想里愛「今日は本当に色々ありましたねっ。」
真樹「そうだね、みんな怪我しなくて良かったよ~」
咲桜里「みんなはもうクタクタ? サオリはまだ元気だよ!」
若いってすごいな・・・。
僕はもうクタクタだ。
疲れたけど充実した1日だった。
リノアちゃんを含めて、色々な出逢いがあったと思う。
翠「ボクもまだ大丈夫だよっ!」
真樹「みんなまだ眠らないなら、もってきたおやつやデザートでリノアちゃんの歓迎の宴をしないっ?」
想里愛「そうですね♪ あたしやサオリを助けてくれた精霊さんを歓迎したいです♪」
みんな頷いてくれる、今日の冒険で疲れているだろうに優しいなぁ。
里乃愛「みんな・・・ありがとう!」
〇古いアパートの居間
僕は買い物で買っておいたポテチやイチゴのホールケーキ、
桃の切り身や桃のストレートジュースをコップに注いでテーブルに並べる。
さぁ宴の始まりだ。
想里愛「宿屋の夕食も美味しかったですね♪」
咲桜里「そうだね、また食べに行きたいね♪」
翠「今度は別の鍋料理を食べたいな♪」
里乃愛「またみんなで行こうね♪」
真樹「うんうん、そうしよう♪」
僕はテーブルの中央のホールケーキを包丁で切ろうとする。
想里愛「真樹さん!一緒に切って欲しいです♪」
真樹「いいよ~~、ん・・・」
これって・・・結婚式でする入刀・・・!?
ほかのみんなは特に気にする様子が無く、おそらくこの日本文化の情報を仕入れていない様子だ。
ソリアが隣に寄り添い僕の耳元で囁く。
想里愛「リノアちゃんも無事助けられたし、気分は少し早めの結婚式ですね♪」
真樹「うん、嬉しいな♪」
ホールケーキ2つを8等分にして16個用意する。
少し多いかもしれないが1人約3個の計算だ。
食べきれなかったら明日に食べれば問題無いだろう。
咲桜里「リノアちゃんが4個食べていいよ♪」
翠「そうそう、苺のケーキは美味しいよ♪」
里乃愛「わ~い!リノアすごく嬉しいなっ♪」
楽しい宴の時間が流れていく。
ポテチのサワークリームオニオンもノリ塩も食べやすくて美味しい。
健康を考えると果実の切り身や野菜のほうが良いかもしれないが、今日はとにかく楽しもう。
咲桜里「お兄ちゃん♪ お兄ちゃんのお家から持ってきたその道具はなーに?」
翠「ボクも気になってた!教えて真樹?♪」
真樹「これはカラオケと言って、歌声を聴きやすくする道具だよ~。」
真樹「昨日泊まった旅館で新しく買いなおすからって言われてもらえたんだよ~♪」
里乃愛「そうなんだ~、リノア歌ってみたいな!」
想里愛「リノアちゃんの歌声聴きた~い♪」
〇古いアパートの居間
おお、盛り上がってきていいぞ~。
どんな歌を歌ってくれるのかな。
口にさんかくコーンを加えてゆっくり食べながら、そう考える。
サオリやミドリがポッキーゲームのように反対側のコーンを食べて甘えてくれてテンションがあがる。
その後ソリアも同じ事をしてくれた。
違いがあるとすれば、次のポッキーゲームを警戒して抱き付いてくれて離れない事だ。
とても嬉しいです。
里乃愛「ずっとひとり 眺める景色 変わる事無く 見守ってきた 囚われて辛くなっても 励まし合って待つよ貴方達を」
里乃愛「深い森 希望の光が 私達を照らしてくれた もう夜は怖くないよ そう思えるよ今宵は素敵なあたしの聖夜祭」
里乃愛「もしも寂しい夜が来たって あたしは想い出す今日の夜を でもそうならないようにまたあたしを また守って欲しいな」
里乃愛「信じてるから 安心して一緒に眠れるのが嬉しいから あたしは」
里乃愛「歌いたいよこの嬉しさを歌にのせて この時が いつまでも続いて欲しいよ 明日からも仲良くしてね もう大好きだよ ありがとう」
皆歌に聴き入っている。
サオリは泣きそうになっていたが明るい笑顔でこれから楽しく一緒に暮らそうねとリノアちゃんに言っていた。
歌詞を考えると僕もつらかったのだと泣きそうになる。
これからは毎日みんなで笑顔で過ごしたいと強く思った。
真樹「素敵な歌だったね!綺麗な歌声だったよ~」
咲桜里「あたし泣きそうになっちゃったよ~!」
想里愛「これからはずっと一緒だよ、リノアちゃん!」
翠「ボクが守るから安心してね!」
すごく頼もしいよ。
宴を開いて良かったな。
お菓子やデザートをほぼ食べ終えつつお風呂に入る事になり、みんなで僕の家まで転移する。
今回はリノアちゃんが魔法を使い転移する事ができた。
想里愛「旅館で頂いた湯船にみんなではいろっ?♪」
かわいく首をかしげながら話している。
頭を撫でながらOKの返事をする僕。
さっそくみんなで入りに行く事になった。