読切(脚本)
〇雑居ビル
日向「あれ?もしかして、碧ちゃん・・・?」
アルバイトの、帰り道。
同じ大学に通う、日向君に声を掛けられた。
でも私、彼の事がちょっと苦手なんだよね・・・。
だって日向君、いつも無表情で無愛想だし。
・・・正直、こわい。
碧「こんばんは、日向君。 うん・・・。 予定よりも、バイトの時間が長引いちゃったんだよねぇ」
実は私には、他人には言えない秘密がある。
神経を集中させればなんと、半径20センチ以内にいる人間の考えている事がすべて分かってしまうのだ!
とはいえあまりこの能力を使うの、なんかズルをしてるみたいで好きじゃないんだよなぁ・・・。
でも、仕方ない。
背に腹は、変えられぬ。
だって日向君、何考えてるか、ぜんっぜん分かんないんだもん!
碧「えい!!」
〇雑居ビル
日向「一応お前も女なんだから、一人でうろうろしてたら危ないだろ?」
『一応』って、何よ?
・・・やっぱり日向君の事、ちょっと苦手かも。
碧「アハハ、そうだね。 気をつけて、帰るよ」
なんて言いながらコイツと会えて、めっちゃラッキーとか思っちゃってるんだよな・・・。
・・・マジで俺、ダサ過ぎだろ。
え・・・待って。何よ?それ。
これはまさか、世にいう『ツンデレ』ってヤツでは?
私と話す時、いつも以上に顔が険しかったから、嫌われてるのかと思ってた。
・・・振り幅、ヤバい。
碧「ありがと、日向君。 でも、大丈夫だよ!」
ぐぬぬ、そう来たか。
でもこのチャンス、逃してなるもんか!
日向「大丈夫、じゃねぇよ。 これから、帰るとこなんだろ? 暇だし、俺が送ってやる」
暇だし、じゃねぇだろ。
心配だから、送らせてとか・・・もっと他にいい言葉があっただろ、俺!
って、いかんいかん。
ただでさえ顔が怖いと、言われがちなのだ。
笑え、俺!少しでも、印象をあげねば!
〇雑居ビル
日向「ほら、行こう? 俺絶対に、送り狼になったりしないからさ!」
ありがたいけれど・・・なぁんだ。
ホントに、送ってくれるだけなのか・・・。
って、『なんだ』じゃなーい!
ちょっとガッカリしてるんじゃないわよ、私!
碧「ありがと、日向君。 じゃあ、お願いしちゃおっかな」
日向「おう、任せとけ! んじゃ、行こっか?」
確かに、送り狼になんてならないよ?
・・・今は、まだ。
今は、まだ!?
日向「どうした?碧ちゃん。 早く来ないと、置いてくぞ!」
ヤバ。
碧ちゃん、何?その、キョトン顔。
・・・碧ちゃん、マジで可愛過ぎ!
めっちゃ、好き!!!
あぁ、ホント付き合いたい!!!
可愛くは、ないと思うけど。
・・・でも『付き合いたい』には、激しく同意!!
彼の心の中の声と、表面とのギャップに悶えました!
碧ちゃんの特殊能力あってこそですね!だからこそ、お似合いの二人では無いのかと思います!素敵な物語ありがとうございました!
碧ちゃんの特別な能力わけてほしい〜。彼の実際の行動と心の中のツンデレのギャップが大きすぎて、可愛いと思いながら、男の人って実際こんなだったりするのかなと想像を楽しめました。
二人ともめちゃかわいいですね!
彼のツンデレぶりがまたたまらなくいいです!
こんな内心を知ってまったら、キュンキュンが止まりませんよね。
「まだ」ってところ、すごくよかったです!