20 船の運ぶモノ(脚本)
〇綺麗な港町
マリリンがミスリルから落ちた同時刻──
イスランド本島から、予定より半日ほど遅れてドミニクの軍船が出航した
〇海
その軍船の甲板に立つドミニクに、一人の老人が声をかけた
ドゥランノ「済まんね、将軍 私の我が儘で出航が遅れた」
ドミニク将軍「いえ、聖樹教の大枝祭(だいしさい)であるドゥランノ殿のご助力をいただけるのならば、半日遅れる以上の価値があります」
ドゥランノ「そう仰っていただけて、胸のつかえが取れた気分ですな」
ドミニク将軍「しかし、ドゥランノ殿ご自身が前線にいらっしゃるとは・・・」
ドゥランノ「なぁにぃ、ご心配には及びませんとも」
ドゥランノ「私には、『勇者』がついていますからね」
ドミニク将軍「お連れになられた、あの若者達の中に、あの伝承の『勇者』が居ると?」
ドゥランノ「おっと・・・まだ正式な任命には至っておりませんでした コレは私の勇み足ですな」
ドミニクの視線の先、軍船の甲板には10人の若者達が居た
その若者達には共通する特徴があった
白銀の髪を持つか──
青い眼を持つか──
そのどちらをも持つ者かだ
ドミニク将軍(サートゥーヤ大枝祭亡き後、彼の勢力の切り崩しに成功したそうだが・・・その中に勇者候補が居たのか?)
ドミニク将軍(だとしたら、おそらくはあの子・・・ デュナやアデライーデとはまた違うが、纏う気配が他とは一線を画す)
ドゥランノ「うふふっ、気になりますかな?」
ドミニク将軍「ええ、それはもう・・・」
ドミニク将軍「私が幼き日に遠目に見た先代勇者、ブレイザー様、その後継の者が居るとなると・・・」
ドミニク将軍「何やら、子供の時分を思い出す様な面映ゆさも感じてしまうものですが・・・気になりますよ」
ドゥランノ「うふふ、私から言い出しておいて申し訳ないですが、正式な任命もまだですのでね・・・」
ドゥランノ「時が来るまでは伏せさせて貰いますよ」
ドミニク将軍「分かりました・・・私も詮索は致しません その時が来るのを楽しみにしておきます」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)