スキンシップ過多な雪丸先輩は私にだけ触れない

鳥谷綾斗🎩🦉(たまに風花ユク❄️)

読切(脚本)

スキンシップ過多な雪丸先輩は私にだけ触れない

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〇シックなカフェ
雪丸先輩「ホットソイラテのお客様、お待たせしましたー」
女性客「はい、私です❤️」
雪丸先輩「いつもこの時間に来てくれますよね。 どうもありがとう。 気をつけていってらっしゃい!」
  雪丸(ゆきまる)先輩はニカっと白い歯を見せて、女性客とハイタッチした。
女性客「ありがとうございます〜❤️」
亜愛((すごい・・・雪丸先輩、朝っぱらからOLのお姉さんをメロメロにしてる))
亜愛((そりゃこんな超絶イケメンが気さくにハイタッチとかしてきたら、ヤバいよね))
  私、春海(はるうみ)亜愛(あめ)がバイトする駅前のカフェには、名物店員さんがいる。
  雪丸冬弥(とうや)さん。
  華やかな顔立ちとモデルみたいなスタイル、誰からも好かれる文句なしのイケメンだ。
  さらに、雪丸先輩にはふたつの特徴がある。
雪丸先輩「お。山口、手が早くなったな。えらいぞー」
  新人バイトの山口くんの頭をぽんぽんする先輩。
山口「はわわ・・・」
亜愛((山口くんの顔、真っ赤になっちゃった・・・))
  そう。雪丸先輩はスキンシップ過多なのだ。
  気さくに気軽に、ハイタッチや肩ポン頭ポンをする。
  もちろん、失礼にならないように配慮して。
亜愛((でも・・・))
亜愛((雪丸先輩は、私には・・・))
店長「みんな! ピークタイム来るわよ!」
  店長の一声で場が引き締まる。
  朝の通勤ラッシュに合わせて、お客さんが殺到する時間帯だ。
  案の定、すぐに店内は大忙し。
雪丸先輩「お待たせしました、アメリカンです」
雪丸先輩「山口、そっちは俺に任せて向こうを手伝ってやって」
雪丸先輩「いつもありがとう。仕事、がんばってね」
  そんな中でも、雪丸先輩はキラキラ笑顔を崩さず、時にハイタッチをして仕事をこなす。
亜愛((かっこいいなぁ・・・))
  30分後、なんとか無事にピークタイムを終えられた。
雪丸先輩「お疲れーみんな!」
雪丸先輩「山口、大活躍だったな、えらいぞ!」
  先輩が他のバイトの子たちと順番にハイタッチする。
  でも、
雪丸先輩「あ・・・」
  私の順番になった途端、
  先輩の表情が陰って、手を下ろした。
亜愛「!!」
亜愛((まただ・・・))
亜愛((また、私だけ、ハイタッチしてくれなかった・・・))
  雪丸先輩のもうひとつの特徴。
  それは、私にだけ、触ろうとしないこと。
  ハイタッチも頭ポンポンも、私は一度だってされたことない。
  他の人にはするのに・・・
雪丸先輩「俺、外の掃除してくるね」
  明らかに私を避けるようにして、外に出ていった。

〇シックなカフェ
店長「亜愛ちゃん。もう上がっていいわよ」
亜愛「はい、お疲れ様でした」
亜愛((はあ・・・))
亜愛((雪丸先輩は、どうして私だけ避けるんだろう))
亜愛((ひょっとして私・・・))
亜愛「(嫌われてる・・・?)」
  暗い想像にめまいがする。
  だって私は、先輩のこと・・・・・・

〇店の休憩室
  ガチャッとドアを開けて、休憩室に入ると、
雪丸先輩「あ、亜愛ちゃん・・・」
亜愛「雪丸先輩・・・」
亜愛((どうしよう、いきなり出くわすなんて))
雪丸先輩「もう上がり?」
亜愛「は、はい」
雪丸先輩「そっか・・・お疲れ様」
  先輩がそっぽを向く。
バイトの女の子「雪丸せんぱーい、お疲れ様ですっ⭐️」
  奥の更衣室から、別の女子バイトの子が出てきた。
雪丸先輩「お疲れ様。また明日ね」
バイトの女の子「はーい❤️」
  先輩が、その子とハイタッチをする。
  それを目の当たりにして、私は・・・・・・
亜愛「せ、先輩は!」
亜愛「私のこと、嫌いなんですか!」
  二人きりになった途端、つい吐き出してしまった。
雪丸先輩「えっ!?」
雪丸先輩「いや、そんなことは・・・」
亜愛「だったら、なんで・・・」
亜愛「私だけ、触れてくれないんですか!」
亜愛((あーもう、言葉のチョイス、すごくヘン))
亜愛((きっと先輩に変な子って思われる))
亜愛「私だって・・・」
亜愛「先輩とハイタッチ、したいのに・・・」
亜愛((もう我慢できない))
亜愛((だって、私))
亜愛((雪丸先輩のこと、好きなんだもん・・・))
  ボロボロと涙がこぼれる。私、かっこわるい。
  先輩は苦しげに答えた。
雪丸先輩「・・・触れられないよ、亜愛ちゃんには」
亜愛「!!」
  その答えに思わず顔を上げる、と──
亜愛「へ・・・?」
亜愛「(先輩の顔・・・・・・)」
亜愛「(いちごみたいに、耳まで真っ赤・・・)」
雪丸先輩「そんな気軽に触れられないんだよ・・・」
雪丸先輩「だって、亜愛ちゃんは」
雪丸先輩「その・・・」
雪丸先輩「可愛い、から」
雪丸先輩「可愛すぎて、・・・ムリ」
  雪丸先輩は、大きな手で顔を覆った。
  私の涙は、引っ込んでしまった。
亜愛((それって・・・))
亜愛((どういう意味、なんです・・・?))
雪丸先輩「だから、今は・・・」
雪丸先輩「これが限界、かな」
  雪丸先輩が手を差し出す。
  すんなりと伸びた指が綺麗な、だけどゴツゴツしている、男の人の手。
亜愛((触れても、いいの?))
  私はそっと、その手に自分の手を重ねた。
亜愛((あったかい・・・))

〇店の休憩室
雪丸先輩「ごめん、亜愛ちゃん」
雪丸先輩「俺、心臓破裂しそう・・・」
亜愛「わ、私も・・・です」
  他の人にはスキンシップ過多な雪丸先輩は、
  私にだけ、軽い気持ちで触れられない。

コメント

  • めちゃくちゃ甘酸っぱい!
    確かに好きな人とか憧れの人って触れたいけど触れられない…そのもどかしい気持ちがひしひしと伝わってきました!

  • 私もシャイなので、好きすぎると触れられない彼の気持ちが手にとるように共感できます。そして女の子側の気持ちもよくわかる。以前お付き合いさせて頂いていた彼が、付き合う前にハグしてくれたのですが、1秒未満の、ハグとはいえないような肩に触れたのみで、(え、今の何?私嫌われてるっ?)て思ったのを思い出しました。読んでいてキュンキュンしました。

  • 好きだからこそ気軽に話したり、ましてや触ることすらできない。その気持ちはよーく分かります。好きな人の前では緊張しますもの。

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