それでも俺は、編(脚本)
〇安アパートの台所
○安アパートの一室。
向かい合った男達。
関西弁の怒声がドアの外まで響いている。
男1「『・・・なあ、何とか言うてや!』」
男1「『さっきから俺しか喋ってへんやん!』」
男2「『・・・・・・』」
男1、怒り疲れたように肩を落として溜息を吐く。
男1「『・・・許す、全部許すから』」
男1「『俺がやったプレゼント、その日のうちにフリマアプリで高額転売したんも、」
男1「俺へのプレゼントがフリマアプリで買うた中古やったんも、」
男1「しかも超値切って送料込み851円やったのも!』」
男1「『全部・・・全部許すから・・・・・・』」
男1「『頼む・・・別れるなんて言わんといてくれ・・・』」
男2「『・・・・・・』」
男2「『ごめん・・・』」
男1「・・・・・・」
男1、暫し静かに涙しているも不意に男2を壁ドンして、
男2「『・・・・・・ッ』」
〇花模様3
○咲き乱れる薔薇の数々
男1「ちゃうやろ?お前が言うてええのは、「分かりました」だけやで?」
男2「・・・・・・」
男2「・・・・・・」
男2「・・・・・・はい」
〇教室の教壇
俐人(りひと)「いやいやいや、なんで壁ドン? え、バラ?え・・・?」
放課後の空き教室
朗読用の原稿を片手に岬俐人(みさき りひと)は声を上げた。
俐人(りひと)「いきなりの壁ドンで全部解決してるんだけど・・・って悠、聞いてる?」
俐人(りひと)「おーい、悠、聞いてんの?」
悠、と呼び掛けられた男子は、どこか上の空で宙を眺めている。
俐人が手を振ってみても、気付く様子は全くない。
俐人はぐいと距離を詰め、悠の顔を覗き込む。
ようやく俐人に気付いた藤宮悠(ふじみや ゆう)は、あまりの距離の近さにのけ反り、椅子から転げ落ちた。
~ッ・・・・・・す、すみません!!!!
俐人(りひと)「なんでそっちが謝ってんの。悠、大丈夫?」
伸ばされた手を控えめに握って、悠は体を起こし椅子に座り直した。
俐人(りひと)「ぼんやりしてなんか悩み事?」
俐人(りひと)「俺で良ければ聞くよ? ほら、親し過ぎない方が話しやすいこととかあるだろうし」
悩みを打ち明けるか否か────
悠には、一般人(パンピー)にうっかり腐バレした以上に恥ずかしいことなどないように思われた
じ、実は・・・・・・
〇黒
〇教室の教壇
俐人(りひと)「・・・成る程。 『キュンとする話コンテスト』ってやつに応募したいけど、何を書いても男同士の話になるってことね」
は、はい・・・。
中でも古(いにしえ)のBLが好きなので、どの話も岬くんに提出した練習台本の様な仕上がりに・・・・・・
俐人(りひと)「・・・・・・ふは、なんだ、良かった」
いやいや、全然良くないですって。
もう締め切りまで1日もないんですよ。
夢への第一歩なのにあーほんとしんど・・・
俐人(りひと)「ごめんごめん、あの『寡黙な一匹狼藤宮』はいつもこういうこと考えてたんだなって思ったらつい」
なんですかその恥ずかしすぎる通り名は・・・
俐人(りひと)「・・・ときに藤宮くん、こんな言葉をご存知かな?」
俐人(りひと)「ご飯がなければあんこを食べれば良いじゃない。 甘い物の後にはしょっぱいものが食べたくなりますわね」
・・・マリーアントワネット・・・・・・?
俐人(りひと)「いや、俺が今適度に考えた。 要するに、男同士の話だからとか男女だからとか拘る必要ないんじゃないのってこと」
俐人(りひと)「悠って学校で話してるとこ全然見たことなかったけどさ、何時間も話し続けられるくらいBL?が好きで、」
俐人(りひと)「きっとさ、悠にしか書けないことがどこかにあるよ」
俐人(りひと)「んで、それに俺が声を当てられたら最高!」
・・・そんなストレートに言われたら、流石に照れますね
俐人(りひと)「そーそーその調子! で、流石に一人で二役は厳しいからせめて一人芝居の本にしてくれない?」
それはそれ、これはこれ。
いまどき歌って踊れるは当たり前、ラップとか一人二役とかゲームとか配信とか出来ないと
俐人(りひと)「ま、マジか〜」
BLストーリーを描写する腐男子、が身をもって体験するBLに発展しそうな展開、、読んでいて楽しくなりますねw ステキな切り口ですね!
寡黙なタイプの悠君の心を開かせ利人君、二人とも夢を追ってる最中で上手く協力し合えるといいですね。二人になにか特別な関係が生まれそうな気配もします!
彼の言う通り、壁ドンで全て解決してるところがおもしろかったです。笑
でも、腐男子なら好きなものって言うとBLになりますよね。
まずは自分が書いてて楽しいものが一番かと思います。