人型イケメン御守りに御用心

イチ

人型イケメン御守りに御用心(脚本)

人型イケメン御守りに御用心

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〇レトロ
  私には両親がいない
  私が生まれてすぐに事故で死んだとのこと
  そのせいか、私は人を好きになりやすく
  私を愛する祖父はそれを心配していた
  祖父は自称天才?ロボット科学者で、ある日、私を呼び出した──

〇研究開発室
八十吉「チコ!」
チコ「なによ、学校行く前に!」
八十吉「ワシはお前の事が心配でならん!」
チコ「そんなことより、なんでそんなに若いのよ! 気持ち悪い!」
八十吉「化学じゃ! 化学でどんなことでも可能になるのじゃ!」
八十吉「お前は惚れやすい!」
チコ「余計なお世話よ!」
八十吉「だからお前に御守りをつける!」
チコ「御守り!?」
チコ「化学からほど遠いわね!」
八十吉「人型イケメン御守り、守人(もりと)君だ!」
守人「ちーす」
チコ「なによ、コイツ」
八十吉「人型御守りじゃ!」
チコ「人型?」
守人「御守りッスー」
八十吉「今はチャラいモードじゃ!」
チコ「なによそれ!」
八十吉「守人君がお前にたかるゴミ虫から守ってくれるのじゃ!」
チコ「言い方悪いわね!」
八十吉「先生方にはワシから説明しておるから、一緒に学校に行くのじゃ!」
チコ「嘘でしょ!?」
守人「しゃす」
  そうして、私は守人と登校した

〇お嬢様学校
チコ「あんま近づかないでよ」
守人「むり」
ナツオ「おはよう、チコ君」
チコ「生徒会長!」
チコ「お、おはようございます!」
ナツオ「君が僕に惚れていると噂を聞いたのだが?」
チコ「は、はい、それは──」
守人「ないッス、ないッス」
守人「チコには俺がいるッスから」
チコ「ちょ、ちょっと!」
ナツオ「何?嘘だったのか!?」
守人「フライングエイプリルフールッスよー」
ナツオ「なんだそれは!知らない言葉だな! 急いで勉強せねば!」
ナツオ「失礼!」
チコ「なによ! 先輩驚いて行っちゃったじゃない!」
チコ「それにその態度!」
守人「じゃ、モード変更する?」
チコ「あ、そっか、チャラいモードのせいね! モード変更してよ!」
守人「んじゃキス」
チコ「は?」
守人「チコのキスでモード変更する仕様なの」
チコ「マジか、八十吉!」
チコ(・・・キスなんかしたことないけど、まあ ロボットと唇合わせるだけなら)
守人「ん」
チコ「何!? 私からするの!?」
守人「・・・」
チコ「やればいんでしょ!」
チコ「・・・」
  チュッ
チコ「な、なによ、今のキュンは!?」
守人「どーかした? お姫様」
チコ「お姫様!?」
守人「王子様モードですよ チコ」
チコ「ドキッとするから・・・ その、呼び捨てやめてよね」
守人「じゃあチコ姫、僕の手をとって? 教室までエスコートしよう」
チコ「チコ姫って・・・ あんた、私の教室知らないでしょ?」
オージ「これはこれは、チコ君。 おはよう」
チコ「オージ先輩」
オージ「今週末、我が家で舞踏会を開くのだが、私の大切な人として招待していいかな?」
チコ「大切な人? も、もちろん──」
守人「あなたもチコ姫の王子様ですか?」
チコ「あのねー、オージ先輩はあんたみたいにモードじゃなくて、正真正銘の名家の生まれなのよ!」
オージ「はて、貴殿は?」
守人「私は、チコ姫を御守りする者」
守人「時には剣になり盾となって」
守人「近づく者たちを遠ざけるのです」
守人「でもそれは、私がチコの1番近くにいたいからかも知れない──」
オージ「な、なんとチコ君にそのような方がいたとは」
オージ「失敬する」
チコ「ちょっと! オージ先輩まで逃げちゃったじゃない!」
守人「姫を守る王子様は2人いらないだろ?」
チコ「もお、恥ずかしい事言わないでよ!」
女子高生A「あのー、もしかして守人君?」
守人「これはこれはリトルプリンセス」
守人「チコ姫の教室を教えてくれるかな」
女子高生A「は、はい 2階の2-Aですッ!」
守人「ありがとう」
守人「チコ、行こう」
チコ「ちょ、なんなのよ守人ー」
女子高生A「すごーい、本物?」

〇階段の踊り場
チコ「ちょっと別モードにしてよ! なんかドキドキしちゃうから」
守人「じゃあ、キス」
チコ「はぁ〜」
守人「はい」
チコ「このまま逃げようかしら」
守人「早くしないと暴走モードになっちゃうよ」
チコ「・・・」
  チュッ
チコ「また来た!キュン!」
守人「おい、グズグスすんなよチコ」
チコ「な、なによ今度のモードは!?」
守人「オラオラモード」
チコ「やな予感ー」
守人「早く来いよ」
チコ「ちょ、手、繋がないでよ!」

〇教室
チコ「ねぇ、どいてよ! 前見えないじゃない!」
守人「チコは俺だけ見とけ」
チコ「ちょっと、変なこと言わないで」
チコ「ロボット好きになったらどーすんのよ!」
ミュージ「おはよ、チコ」
チコ「ミュージ、おはよー」
ミュージ「てか、その目で見んなし照れんだろ」
ミュージ「ん、なにそいつ?」
守人「てめぇこそ、なんだ」
守人「チコっつったか?」
守人「俺以外に呼び捨てさせんな、チコ」
ミュージ「はぁー?」
ミュージ「家族にも呼び捨てされんだろ」
守人「あったま悪りぃなぁ、だから俺ら家族になんだろーがよ」
チコ「ちょっと何、勝手な事!?」
ミュージ「はっ?恥ずかしくねーのかよ」
守人「俺以外にチコを幸せにされてたまるかよ」
ミュージ「は?チコ、そいつ大丈夫か? やってらんねーわ」
チコ「もー、なんなの」
チコ「私、帰る!」
守人「待てよ、チコ!」

〇研究開発室
チコ「ちょっと! あのロボットなんとかしてよ!」
八十吉「ロボットじゃと?」
チコ「守人よ!」
八十吉「あー、守人君はロボットじゃないぞ」
チコ「え?」
八十吉「今流行りのカメレオン俳優さんじゃ」
チコ「えっ!?人間なの?」
八十吉「知らんかえ? 御前崎守人(おまえざきもりと)」
八十吉「通称、御守り」
チコ「えっ! 人型とか言ってたから・・・」
八十吉「人型じゃろ 御守りとしては」
チコ「ややこしいのよ!」
八十吉「ワシは守人君とインスタで気が合ってな」
チコ「そんなことやってんの!?」
八十吉「色んな相手に応じて対処してくれるかと オファーしてみたら受けてくれたんじゃわい」
八十吉「なにやら、守人君もチコのこと写真で気になってたようじゃが」
チコ「え?じゃあ、じゃあ・・・ あのキスでモード変更って何なの?」
八十吉「キス? そんなもんわしゃ知らん」
八十吉「ところで、守人君はどこじゃ?」
チコ「もぉ!知らないわよ!」
八十吉「おやおや」
八十吉「チコは惚れやすいが、 それ以上にモテるからのぉ」
八十吉「守人くんももしかしたら・・・」

〇女の子の一人部屋
チコ「何なのよ、もう」
守人「チコ」
チコ「何よ! 勝手に入ってこないでよ!」
守人「悪りぃ、でもお前を守らねーといけねーから」
チコ「嘘ばっかり!」
守人「・・・聞いたのか」
守人「なんかチコが勘違いしてるから、最初は冗談のつもりだったんだけど」
守人「キスされてから、キュンってきてさ」
チコ「どうして勝手に入ってくんのよー」
守人「だからゴメンって」
チコ「私の心に勝手に入ってこないでよー」
守人「・・・マジ?」
チコ「どうしよ、好きになっちゃったじゃない!」
守人「なんだよ、じゃあ両想いじゃん!」
チコ「私、惚れやすいんだもん! また他の人好きになっちゃうかも!」
守人「バカだな 誰も寄り付かねーように一生守ってやるよ」
チコ「ホント?」
守人「ずっとチコの1番近くにいるから」
守人「俺だけ見とけよ」
チコ「もー、何モードなのよ!」
守人「キスする?」
チコ「うん」
チコ「・・・キスしたら彼氏モード、になる?」
守人「・・・バカ」
守人「ただの彼氏だろ」
  チュッ
守人「やべ」
守人「暴走モードなりそ」
チコ「バカ」
  おわり

コメント

  • 守人くんがロボットではなく、、、いつも楽しく裏切られてます。自身のちょろさにちょっと反省してます。字数に余裕があるのでしたら暴走モードをぜひ(以下略)!

  • 守人くんすごいですね!てっきりロボットだと思い込んでました。
    でも、こんな恋人いたらいいですよね。
    私は最後の彼氏モードが好きです。笑

  • どの登場人物もキャラが立っていて、とても楽しく読ませていただきました!
    特にチコちゃんの同級生達が最高で、学校生活を覗きたくなりました😊

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