近藤勇のM-1挑戦記〜M-1のMは壬生浪のM!〜

わらやま

読切(脚本)

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〇空っぽの部屋
  M-1予選
  1回戦会場
  続いては、結成一年目。所属フリー。
  エントリーNO.5133
  『シン新撰組』です。
沖田 康司「どもーー!! シン新撰組の沖田でぇす!!」
近藤 勇「俺は新撰組局長!! 近藤勇だ!!」
沖田 康司「い、いやぁ。 ごめんなさいね。近藤さん声がデカくて・・・」
沖田 康司「ところで、近藤さん。 僕ね、今YouTuberやってるんですけど、活動に限界を感じてて。相談に乗ってくれますかね?」
近藤 勇「ほかならぬ沖田の頼みだ。 申すがよい!!」
沖田 康司「あ、ありがとうございます・・・ 僕音楽系YouTuberなんですけどね、なかなか人気が出なくて・・・」
沖田 康司「やっぱり作ってる楽曲が全体的に暗いからなのかなぁと思って、『曲調』を変えた方がいいかなぁって──」
近藤 勇「なに!? 局長を変えるだと!? 沖田!!貴様俺に対して謀反を起こす気か!?」
沖田 康司「ち、違いますよぉ。 局長じゃなくて、曲調、曲の調子のことですよぉ・・・」
沖田 康司「でもですね。 曲調変えようにも僕の持ってる機材がしょぼいんで新しい機材が欲しいのに金がないんですよね・・・」
近藤 勇「うむ! では、強力な後ろ盾の用意が急務であろう!!」
近藤 勇「かつて我らが新撰組は京都守護職であった会津藩藩主『松平 容保』殿に手厚い支援をいただき、新撰組の名と活躍の場を賜った」
近藤 勇「その後も資金については、『佐藤 彦五郎』や多くの商家から募ったものよ!!」
沖田 康司「い、いやー、僕に後ろ盾なんて難しいんじゃないですかねぇ。何も持ってないですし・・・」
近藤 勇「なあに、簡単なことよ!! 金を出さねば殺す!!と言えばよいのだ!!」
近藤 勇「貴様も『芹沢 鴨』のようになりたいのか!?と脅せば金を出さぬ奴はおらぬわ!!」
沖田 康司「バ、バイオレンスすぎますよ。 そんなのバレたら炎上するじゃないですか!」
近藤 勇「おう沖田!! お前は人一倍炎上に気をつけた方がよいな!!」
近藤 勇「なにせ肺を患っており、 炎症を起こしている身だからなぁ!! ワッハッハ!!」
沖田 康司「ハハハ・・・。 気をつけますね」
沖田 康司「やっぱり僕が人気YouTuberになるなんて無理なんですかねぇ?」
近藤 勇「いや、可能だ!! 同業の者を全員殺せばな!!」
沖田 康司「いや、解決策それだけなんですか!! もういいですよ!! おしまいにさせていただきます」
  な、なんだったんだ!?
  今のコンビは・・・!?

〇大会議室
沖田 康司「近藤さんお疲れ様でした」
近藤 勇「おう、沖田!! これが漫才というものなのだな。 なかなかに昂ったぞ!! 他流派との交流仕合を思い出したわ!!」
沖田 康司「そ、そうですか・・・ それは良かった。 (ちょっと昂りすぎだったけど)」
近藤 勇「この調子であれば、この『えむわん』なる催しの頂きをとることも容易であろう」
沖田 康司「い、いやー、どうですかねぇ・・・。 まあでも近藤さんの漫才の上達ぶりには目を見張りますけど」
沖田 康司「とても少し前まで江戸時代にいた人間とは誰も思いませんよ」
近藤 勇「ハッハッハ!! そうかそうか!! 今となっては懐かしいわ!!」

〇古風な和室
  数ヶ月前・・・
沖田 総司「ゴホッ、ゴホッ!!」
近藤 勇「総司!!総司!! 大丈夫か!?」
沖田 総司「こ、近藤さん。 僕はもう・・・駄目そうです」
近藤 勇「何を甘ったれたことを!! 貴様それでも一番隊組長か!?」
沖田 総司「ふふ、厳しいですね。 近藤さんは・・・。 でも分かるんです。自分がもう──長くないことくらいは・・・」
近藤 勇「総司・・・!!」
沖田 総司「近藤さん 僕らは正義の名の下に多くの命を奪いました。これはその報いなんだと思います」
沖田 総司「次にこの世に生まれ落ちた際には、 人々を笑顔にする生業を2人でやれるといいですね・・・」
近藤 勇「な、何を言っておる!! 総司!!死ぬな!! ん!?」
近藤 勇「ぐ、ぐはぁ なにや・・・つ・・・」
浪人「ぐへへ!! 新撰組の近藤、沖田とあろう者らが隙だらけだぜぇ。 これで薩長からの報酬1000両はワシのもんよぉ!!」
近藤 勇「な、ぐぐ、や、やめろ、総司を殺すな・・・ ぬ、ぬ、力が入らぬ・・・。 む、無念・・・」

〇黒背景
近藤 勇「総司・・・。 すまんな、救えなくて・・・」
近藤 勇「お前が言うように次の世では恨みを買うような稼業から足を洗うのもよいかもな」
近藤 勇「どうやら、俺にもお迎えが来たようだ!! 痛みもない・・・。 だが、彼岸とはかくも騒がしいものなのか!?」
近藤 勇「ん!?」

〇繁華な通り
近藤 勇「な、な、ここは一体どこだ!?」
近藤 勇「夜だというのにこの明るさと活気!! 吉原か!? 俺は先刻まで京都にいたのだぞ!!ありえぬ!! そもそも俺は死んだはずだ」
近藤 勇「む、なんだ!?」
借金取り「なぁなぁ沖田さんよぉ。 早く金返してくんねーかなぁ!?」
沖田 康司「い、いや!? そんなの僕知らないですよ」
借金取り「知らねーつってもねぇ。 あんたの逃げた相方さんとの契約の保証人欄にはあんたの名前とハンコがあるんでねぇ」
沖田 康司「だから、僕は知らないんですよ!! 相方の芹沢が勝手に僕の印鑑を盗んでやっただけで!! そんなの無効ですよ!!」
借金取り「じゃかしいわ!! 理屈こねおってからに。 あんたの名前で契約がされてるって事実があるんじゃい」
借金取り「利子含めて500万円!! あんたに返してもらうからのぉ!!」
沖田 康司「そ、そんなぁ。 無理ですよぉ・・・」
近藤 勇「あ、あれは奇怪な格好をしているが総司!? 奴も生きていたのか!? そして俺を切った浪人ではないか!?」
近藤 勇「総司は丸腰だ!!助けねば」
近藤 勇「貴様!!総司から離れろ!!」
借金取り「な、なんだぁ!!オッさん!! 時代劇みたいな格好しやがって!!」
近藤 勇「問答無用よ!!」
借金取り「ヒ、ヒィッ!? なんなんだよコイツ!? 頭がおかしいぜ!?」
借金取り「おい沖田! わけわかんねぇ奴雇いやがって!! だがなぁ!! 500万円は絶対回収するからなぁ!!」
近藤 勇「フン、小物が囀るわ・・・」
沖田 康司「あ、あのぉ 助けてくれてありがとうございます・・・」
近藤 勇「なんだ総司よ 俺と貴様の仲であろう。当たり前よ!!」
沖田 康司「い、いやぁ・・・ 僕ら初対面ですよ・・・ね?」
近藤 勇「な、何を言っておる!! 貴様は新撰組一番隊組長『沖田 総司』であろうが!?」
沖田 康司「し、新撰組!? 何を言ってるんですか!? 僕は『沖田 康司』。ただの芸人ですよ・・・」
近藤 勇「な、他人の空似だと言うのか!? バカな!?」
沖田 康司「そもそもあなたは誰なんですか!?」
近藤 勇「俺は新撰組局長の近藤勇だ!!」
沖田 康司「いやいやあり得ないでしょ!! 近藤勇はとうの昔に亡くなってますよ!?」
近藤 勇「な、なんだと!? 俺はこうして生きているぞ!!」
沖田 康司「と、とにかくココではなんなんで、一旦僕の家に来てもらえますか?」

〇学生の一人部屋
沖田 康司「──てなわけです」
近藤 勇「なるほどな。今は元号が令和。 俺の生きていた世から100年以上経ち、幕府も滅んだと」
近藤 勇「で、貴様は総司ではなく康司で、 新撰組には何の縁もないと・・・」
沖田 康司「僕も俄かには信じがたいですが、近藤さんは時を越えてこの時代に来たんだと思います」
近藤 勇「まことに奇怪な経験をした。 だが、命があるだけよかったのかもしれん」
沖田 康司「でも、近藤さん。 これからどうするんですか? 帰る手立てを探そうにも手掛かりも何もないんですよね?」
近藤 勇「うむ、そうだな・・・。 それに先の歴史の話が真であれば、 新撰組は無くなり、俺も処刑に会う身。 帰ったところで・・・」
沖田 康司「・・・良かったら、ここで僕と暮らしますか? 一緒に暮らしてた相方が蒸発して、部屋も空いているんで!!」
近藤 勇「なぬ、まことか!?総司!? すまぬがそれはありがたいぞ!!」
沖田 康司「総司じゃないですってば・・・。 ただ、その代わりというわけではないんですが──」
近藤 勇「む、なんだ!? 暗殺でも剣術指南でも請け負うぞ!!」
沖田 康司「僕とコンビを組んでM-1優勝を目指していただけませんか!!」
近藤 勇「こんび?えむわん? なんなのだ?それは?」
沖田 康司「あ、ああ!すいません。 順を追って説明します」
沖田 康司「M-1というのは、漫才・・・2人で行う落語みたいなもので競って勝敗を決めるコンテ・・・仕合です」
沖田 康司「そこで優勝すると一人当たり500万円賞金としてもらえるんで、僕の負わされた借金も返せるんです」
沖田 康司「受付期限は明日までで・・・ 相方に逃げられちゃったんで、僕も近藤さんしか頼る人がいないんです」
近藤 勇「ぬ、ぬぅ。 この俺が見世物となるだと・・・!!」
沖田 康司「や、やっぱり無理ですかね・・・?」
近藤 勇(だが、頼らねば、この令和の世での暮らしもままならぬ以上、恩は返したい・・・)
近藤 勇「なあ、総司。 その『えむわん』なるものは・・・ 見物客は笑顔になるのか!?幸せになるのか!?」
沖田 康司「総司じゃないですって・・・。 もちろんですよ!! 日本一の笑いの祭典ですから!!」
近藤 勇(これも運命か・・・。 総司・・・貴様の最後の望み・・・。 果たそう!!)
近藤 勇「ヨシ、分かった!! 俺は『えむわん』なるものの頂きを目指すぞ」
沖田 康司「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!!」
沖田 康司「では、エントリーしておきますね。 コンビ名は・・・」
近藤 勇「それは勿論沖田と近藤で組むのだ!! 選択の余地はない!! しん、新撰組だろ!! (ムッ、つっかえてしまった)」
沖田 康司「シン新撰組ですか──!! いいじゃないですか!! 今時な響きですし!!それにしましょう!!」
近藤 勇「おお、うむ、まあよいか、それで──」
沖田 康司「よろしくお願いします。 M-1優勝目指して頑張りましょう!! では、早速今日からネタ合わせしましょう」
近藤 勇「おうよ、大船に乗ったつもりでおれよ!! ところでネタとはなんだ?」
沖田 康司「あ、まずそこからですよね」

〇大会議室
沖田 康司「初めて会った時は漫才もネタも知らなかったですもんね・・・」
近藤 勇「だが、あの日からの特訓で俺も漫才がなんたるかをだいぶ分かってきたぞ!!」
近藤 勇「お前のおかげだ総司!!」
沖田 康司「(また間違えてる) はぁ、ただですね、大変言いにくいんですが・・・」
沖田 康司「このままだと僕ら多分敗退します・・・」
近藤 勇「な、なぜだぁ!?」
沖田 康司「いや、もしかしたらさっきの一回戦くらいは物珍しさで通るかもしれないですけど。 多分二回戦は無理です・・・」
近藤 勇「俺の至極の新撰組のボケが詰まっておるのだぞ!!」
沖田 康司「だ、だからですよぉ!! 近藤さんの考えたネタは全体的に血生臭過ぎるんです!!」
近藤 勇「!?」
沖田 康司「殺すとか脅すとか多すぎるんですよ!! あと、肺炎をイジるとか御法度もいいところです!!」
近藤 勇「そ、そんな・・・ 総司や土方は俺の話には腹を抱えて笑っておったぞ・・・」
沖田 康司「(そりゃ、その2人ならそうでしょうよ) 現代の価値観に合わないんですよ・・・。 今のトレンドは誰も傷つけない笑いなんで」
近藤 勇「傷つけない笑い・・・だと」
沖田 康司「イジる笑いとか馬鹿にする笑いは、面白いとは思いますが、その事で傷ついたり笑えない人がどうしても出てしまうんです・・・」
近藤 勇「そ、そうなのか・・・ 考えた事もなかったぞ・・・」
近藤 勇「俺が人を傷つけてしまう・・・か。 生まれ変わったつもりで臨んでいたが、 結局は新撰組の頃と同じ過ちを繰り返しておったか」
近藤 勇「たしかに思い返すと先の漫才の折も、 見届け人の者達は引きつった面持ちであったように思う・・・」
沖田 康司「近藤さんに気を遣って指摘しなかった僕も悪いんです・・・。 もう一回ネタを再構築しましょう!!」
近藤 勇「う、うむ・・・ すまんが少し1人にさせてくれ」

〇オフィスの廊下
近藤 勇(時代の変化か・・・)
近藤 勇(頭では分かっていたつもりであったが、 やはりいざ突きつけられると物悲しいものよ)
近藤 勇(だが、元々我ら新撰組も時代の変化に対応するため生まれた組織だったはずだ)
近藤 勇(ただ、さらなる時代の変化についていけず、 結果幕府への忠義を尽くし、滅んだ・・・)
近藤 勇(それが間違っていたとは思わぬが、 もっと他にやりようはあったのかもしれぬ)
近藤 勇(時流を読み迎合する・・・。 これは決して己を曲げる事ではない。 俺の信念は・・・総司の遺言を果たす事!!)
近藤 勇(人々を笑顔にすることよ!)

〇大会議室
近藤 勇「すまぬな康司! 色々と思い巡らせておった」
沖田 康司「(僕の名前・・・!!) 近藤さん! では、ネタの変更受け入れていただけるんですか!?」
近藤 勇「ああ! だが、俺はやはり令和の世の笑いというものはよく分からぬ」
近藤 勇「なので康司!! その点は指南のほどよろしく頼むぞ!!」
沖田 康司「もちろんです!! 頑張りましょう!!」

〇ファミリーレストランの店内
沖田 康司「この前も話しましたけど、今のネタだと殺すとか脅すとか攻撃的な言葉が多すぎるのでここは変更しましょう」
近藤 勇「おう!!心得た!!」
沖田 康司「あと、肺炎をイジるのではなく心配する形にしましょう」
近藤 勇「そうだな。 同様の病を持つ者が暗くなってはいかん」
沖田 康司「あと大変心苦しいのですが、松平容保の内容も変更で。残念ながらこの事情はそんなに現代では知名度高くないので・・・」
近藤 勇「松平殿・・・すまぬ」
沖田 康司「もっと新撰組関連で知名度のある人物を絡めましょう」
近藤 勇「となると土方かな・・・」
沖田 康司「あとやっぱりギャップですね。 強面の近藤さんが威圧的にボケてもある意味イメージ通りなので・・・」
沖田 康司「その点を意識してキャラも変えていきましょう!!」
近藤 勇「うむ!! ギャップ萌えという概念だな!!」
沖田 康司「なんでそれは知ってるんですか!?」
沖田 康司「そしてステージ衣装もその袴じゃなくて、 スーツにしましょう」
  2時間後──
沖田 康司「うん!!うん!! だいぶ良くなってきましたよ!! ん?」
沖田 康司「一回戦突破しました!!」
近藤 勇「ま、まことか!?」
沖田 康司「ホッとしました。 これで二回戦からはこのネタで臨めますね!!」
近藤 勇「ああ、康司!! 我ら新撰・・・いや・・・」
近藤 勇「シン新撰組の技前!! とくと見せつけてやろうではないか!!」
沖田 康司「ハイッ!!近藤さん!!」

〇空っぽの部屋
  M-1予選
  2回戦
沖田 康司「どうもぉぉ!! シン新撰組一番隊組長の沖田です!!」
近藤 勇「ご機嫌いかがでござるかぁ! シン新撰組の局長の近藤でぇーす!!」
近藤 勇「こんちゃんとでも呼んでくれ!!」
沖田 康司「いやいや局長!! 威厳なさすぎですよぉ!!」

〇ディベート会場(モニター無し)
  M-1予選
  3回戦
沖田 康司「ところで、近藤さん。 僕ね、今YouTuberやってるんですけど、活動に限界を感じてて。相談に乗ってくれますかね?」
近藤 勇「もちろん!! 部下の悩みを聞くのは上司の務めよ!!」
沖田 康司「やっぱり演奏してる楽曲が全体的に暗いからなのかなぁと思って、『曲調』を変えた方がいいかなぁって──」
近藤 勇「きょくちょうだけは変えんといて下さいよ」
沖田 康司「いやいや勘違いですよ!曲の調子の曲調ですよ! 局長は変えませんよ。 僕近藤さん大好きなんだから」
近藤 勇「沖田の作る楽曲の曲調好きなんだ!! だから変えなくていいぞ!!貫け!!」
沖田 康司「あ、別に勘違いじゃなかったんかい!! てか、僕のYouTube見てるんですか!! 上司に創作活動バレてるの恥ずかしっ!!」

〇大ホール
  M-1予選
  準々決勝
沖田 康司「それでも僕の持ってる機材がしょぼいんで新しい機材が欲しいんですよねぇ。 でもお金がないんですよ・・・」
近藤 勇「いやいやお金なら俺出すよ」
沖田 康司「ありがたいですけど、近藤さんそんなお金持ってないでしょ!!」
近藤 勇「大丈夫!! 長曽根虎徹を担保に借りるから」
沖田 康司「近藤さんの愛刀じゃないですか!? 大丈夫じゃないですよ!!駄目ですよ!!」
近藤 勇「最悪土方に借りる」
沖田 康司「駄目ですってば!!」
近藤 勇「俺沖田のYouTubeのファンだから、 スパチャだけじゃお布施したりないんだよー あ、『いさみん』って名前で視聴してます」
沖田 康司「『いさみん』ってやっぱり近藤さんだったんですか!?」

〇劇場の舞台
  M-1予選
  準決勝
近藤 勇「でも沖田が人気出てきたら古参ファンの俺としては少し寂しいかもしれん」
沖田 康司「古参て・・・ まあ人気出て視聴数が増えると、 アンチ対策とかもしなきゃですね」
近藤 勇「沖田・・・安心しろ! アンチには一人一人俺が人の道を説くから」
沖田 康司「いや怖すぎますよ!! 逆に炎上しますから!!」
近藤 勇「お前は肺を患っているんだぞ!! 炎上してはいかん!!」
沖田 康司「いや、肺炎と炎上関係ないじゃないですか!! しかも近藤さんのせいで炎上しそうなのに!!」
沖田 康司「ホントに近藤さんは天然なんだから・・・」
近藤 勇「うむ、いかにも俺は天然理心流宗家4代目!! 近藤勇だ!!」
沖田 康司「やかましいわ!! 終わらせてもらいます!!」

〇劇場の舞台
  では、決勝進出者を発表します。
  エントリーNO.・・・・・・。
  エントリーNO.・・・・・・。
(来い・・・来い!!)
  エントリーNO.5133
  
  『シン新撰組』!!
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
沖田 康司「や、やったー!!!! 僕たち決勝進出ですよ!!」
近藤 勇「いよいよ、最後の戦を残すのみだな!!康司!!」

〇大会議室
  M-1決勝当日
  控室
沖田 康司「いよいよここまで来ましたね」
近藤 勇「ああ・・・」
近藤 勇「流石に緊張するな・・・」
沖田 康司「ええ・・・」
近藤 勇「・・・康司、少しいいか?」
沖田 康司「な!?なんですか改まって!?」
近藤 勇「俺は新撰組として、多くの者を正義の名の下に殺めた」
近藤 勇「厳しい規律を作り、時には同じ新撰組の者も粛清した。 血に塗れた男だ・・・」
近藤 勇「そんな俺が漫才を通じて多くの人々を笑顔にすることが出来た。総司の遺言を叶えることが出来た」
近藤 勇「・・・かたじけない」
沖田 康司「・・・近藤さん」
沖田 康司「お礼を言いたいのは僕の方ですよ。 近藤さんがずっと努力してきたのを 隣で見てましたから」
沖田 康司「M-1優勝絶対勝ち取りましょうね!!」
近藤 勇(ふっ、心強いな。 まるで──)

〇城下町
  あの頃に戻ったかのようだ・・・。
  康司はきっと総司の生まれ変わりなのだろう
  転生した世でも沖田と戦えて・・・
  良かった──

〇大会議室
近藤 勇「無論だ!! 必ず優勝を勝ち取るぞ!!」
  では、続いてシン新撰組さん!!
  スタンバイお願いしまーす!!
近藤 勇「いざ、参る!!」
沖田 康司「近藤さん!!勇み足が過ぎますよ!!」
近藤 勇「ああ、すまぬ 少し昂ったわ!!」
沖田 康司「いえ、僕も正直昂っています!!」
沖田 康司「新撰組の名前を歴史にもう一度刻みましょう」
近藤 勇「おうよ!!」

コメント

  • ブッ飛んだ着想から漫才のネタ、熱いメインストーリーまで、よく練られていると感じました!
    漫才は序盤とキャラ変後で比較しながら見せているので、面白さがより際立ってますね
    キャラ変後の近藤さんが可愛くて、楽しかったです!👍

  • 漫才パートが面白いのに加えて、近藤勇のキャラが魅力的に描かれてて、物語の世界にグイグイ引き込まれました
    そしてラストの“優勝して新撰組の名を再び刻んでやるぞ”とする二人の姿に、読んでる自分の心もアツくなってしまいました
    すごく楽しめました!

  • 新撰組と漫才というまさかの組み合わせが面白かったです!
    近藤さんが二人の沖田との約束を果たそうと努力する姿がアツいです🥲
    歴史や漫才要素も抜かりないですね!本人が語る(笑)血生臭い新撰組ネタや「きょくちょう」ネタはツボでした🤣

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