心が読めちゃう超能力者との恋

なー

心が読めちゃう超能力者との恋(脚本)

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〇学校の下駄箱
ユウキ(今日もソウタと話せるかな?)
ユウキ(なるべく自然に 余計なことは考えないで──)
ソウタ「ユウキ、おはよ! どうした、そんな真剣な顔して」
ユウキ「わっ!? そ、ソウタっ!? お、おお・・・おはよっ!」
ユウキ(私のばかっ! これじゃあ自然どころか 不自然すぎるよ・・・!)
ソウタ「あはは、急に声掛けたから驚かせちゃったかな?」
ユウキ(そりゃあもう、心臓が口から飛び出るかと思いましたよ!)
ソウタ「ごめん、ごめん」
ユウキ(また、心の中を読まれてるっていうの──!?)
  ソウタは射るように、ユウキの目をまっすぐ見据える。
ユウキ(いやだ、私が──って絶対にバレたくない)
ユウキ(考えろ、とにかく違うことを考えろ! 例えばそう、パンが食べたいとか・・・!)
ソウタ「・・・ん? やっぱりなんかあったのか?」
ユウキ「あっ、いやその──なんでもないっ!」
  ソウタの視線から逃れようと、ユウキは一目散に駆けだした。

〇学校の廊下
ユウキ(ああ〜もう、絶対変なヤツって思われた! 朝から憂鬱だなあ・・・)
  ユウキはがらり、と勢いよくドアを開くと
  まっすぐに自身の席に向かった。

〇教室の教壇
ユウキ(はあ、こんなつもりじゃなかったのに)
ユウキ(私は、至って普通の恋愛がしたいだけなのに・・・)
ユウキ(だめだ〜考えるとネガティブ思考になるのが私の悪い癖だな)
ユウキ(もうすぐ先生が来る時間だし 集中集中・・・!)

〇学校の廊下
  ──そして、休み時間。
  廊下に出たユウキを、ソウタが呼び止めた。
ソウタ「おーい、ユウキ!」
ユウキ(ソウタだ! どうしよ〜、気マズすぎる・・・)
ユウキ(さっきは咄嗟に逃げちゃったし── とにかく、ちゃんと謝ろう)
ユウキ「さっきは急に逃げだしたりして 本当にごめん!」
ソウタ「ああ、それは別に気にしてないよ」
ユウキ「そ、そう・・・?」
ユウキ(よかった、本当に気に障ってないみたい・・・)
ソウタ「それよりさ、最近お前元気ないよな?」
ユウキ「へっ? そ、そんなことないけど・・・?」
ソウタ「ユウキ、嘘つくの下手すぎ・・・ 明らかに最近上の空じゃん」
ユウキ「いやいや、ソウタが心読めすぎるだけだって!」
ソウタ「・・・そっか、俺には話したくないか」
ユウキ(それはズルくない!? そんな子犬みたいな目で見られたら・・・!)
ユウキ(──いいや、その手には絶っ対に乗らない!)
ユウキ(パンを思い浮かべろ・・・ よし、クロワッサン・・・今日のお昼ご飯はクロワッサン──)
ソウタ「あの・・・さ、俺ってそんなに食欲湧く顔してる?」
ユウキ(んんっ!? 顔を見る度にパン食べたいって考えまくってたから勘違いがあらぬ方向に・・・!)
ユウキ(最悪だ〜。これで“変なヤツ確定”じゃん ははは・・・)
ユウキ「ちょっ、そんな目で見ないでったら──」
ソウタ「ってかさ。俺は“ユウキがなにを考えてるのか当てた”のに、お前全く驚かないのな」
ユウキ「・・・分かってたもん。 ソウタが人の心を読めること」
ユウキ(私がソウタのこと──ってことも、分かってるくせに)
ソウタ「そっか・・・ユウキにはバレてたか」
ソウタ「なるべく心を読まないように、人と話すときは昼飯何にしようかな〜とか 余計なことばかり考えるようにしてて・・・」
ソウタ「ははっ、お前と一緒だな」
ユウキ(ぐっ、食べ物のことばかり考えてたの 完全にバレてる。恥ずかしすぎるよ・・・)
ユウキ(もう、何もかも読まれてるんなら あとは吹っ切れるのみ・・・っ!)
ユウキ「私がソウタのことが好きだって、分かってたんでしょ?」
ソウタ「は? それってどういう──」
ユウキ(う、嘘ッ! 読まれてなかった・・・!? 超能力にも鈍感とかあるの!?)
ユウキ「ああ〜なんでもない! こっちの話ッ!」
ソウタ「この“超能力”っていうの? 恋愛のことについては全くダメなんだよ」
ソウタ「なんだか中途半端で俺らしいよな・・・ あはは・・・」
ユウキ(じゃ、じゃあ 私は、自分から好きなのバラしちゃったってこと・・・?)
ソウタ「お、おいユウキ!」
  ソウタは、その場でへたりこんでしまったユウキを優しく支えた。
ユウキ「好き・・・なの」
ユウキ(ずっと、前から──)
ソウタ「へっ? ゆ、ユウキ・・・?」
ユウキ(支えてもらったままになってるから、ソウタの鼓動が直に伝わってくる・・・)
ユウキ(少しはドキドキしてくれてるのかな?)
ソウタ「・・・っ!」
ユウキ(ねえ、読めてるんでしょ? なら答えてよ・・・)
ユウキ(ソウタは、私のこと──)
ソウタ「ッ、好き、だよ・・・!」
ユウキ「──ッ!」
ソウタ「俺だって、ずっと前から好きだよ・・・」
ソウタ「心が読めるなんて知られたら絶対引かれる。だから、必死に読まないようにって・・・」
ユウキ「ソウタ・・・」
ソウタ「でも、恋愛に関しては どっちにしろ読めなかったみたいだ」
ユウキ「・・・大丈夫。心を読まれてるかもって気づいてたけど、それでも私はソウタが好きなんだから」
ソウタ「ユウキ・・・ありがとう」
ソウタ「でも、俺の顔を見る度 『クロワッサン』って唱えるのは もうやめてな?」
ユウキ「も、もう、ソウタのばか〜っ!」
ユウキ「・・・・・・」
ユウキ(でも、そんな底抜けに明るいソウタのことが・・・ やっぱり私は──、だよ)
ソウタ「・・・?」
ユウキ(・・・えへへ。 やっぱり、読めてないのかな?)
ソウタ「ははっ。で、読めてないって何が?」
ユウキ(ん〜、何だろうね? ・・・てか、ソウタ。心を読んで会話するのやめよ?)
ソウタ「いやいや、そういうユウキこそ楽しんでるだろ」
ユウキ(ふふっ、バレたか)
ユウキ(少女マンガのような、ドキドキする展開なんてなくてもいいから)
ユウキ「ただ普通の恋愛をしてみたい、なんて思ってたけど」
ユウキ(楽しめるんなら、これだって私にとっては“普通”だよね?)
ユウキ(ねえ、ソウタ)
ソウタ「・・・なんだ?」
ユウキ(これからも私達らしく、楽しい(恋の)駆け引きしようね?)
ソウタ「・・・おう!」

コメント

  • 彼の超能力は、恋愛には効かないという点がもどかしくもあり、状況を面白くしている、と思いました!また、ヒロインちゃんの心の声が可愛いな、と思いました!素敵な作品ありがとうございました!

  • 好きな人が心を読めちゃうって、なんだかドキドキしますね。
    気をそらそうとして、食べ物のことばかり考えるユウキちゃんもかわいかったです。

  • 楽しく可愛い恋愛模様に、ニマニマしながら拝読させていただきました😊
    心が読めるのに鈍感で、お日さまみたいな彼の可愛さにキュンでした❤「俺の顔見てクロワッサン~」のくだりには、どんだけ鈍感なんだよ!と思わずツッコんでしまいました~(笑)
    少し小悪魔な彼女と鈍感な彼が、これから素敵な恋を育んでいけますように✨

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