学年一位のご褒美

伊崎夢玖

2人きりの教室で…(脚本)

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橘颯太「先輩、今日はありがとうございます。 先輩もテスト勉強あるのに、俺につき合ってもらっちゃって・・・」
橘颯太「どうしても先輩に教えてもらいたくて・・・」
「別にいいよ。 私の方は大丈夫だから」
「それで、どこを教えてほしいの?」
橘颯太「ここなんですけど・・・」
「あぁ・・・ここね・・・ 私も苦労したところだよ」
橘颯太「先輩も苦労とかするんですか!?」
「あのね・・・ 私を何だと思ってるの? スーパーマンじゃ、あるまいし・・・」
橘颯太「だって・・・ 何でもそつなくこなすから、苦労とは縁遠い人だと思ってました」
「そんなわけないでしょ」
橘颯太「・・・すみませんでした」
「別に謝らなくていいよ。 怒ってないし。 気にしないで」
「それより、勉強しよう。 せっかくの時間がもったいないよ」
橘颯太「・・・ですね。 よろしくお願いします!」
「はい。 よろしくお願いされます。 で、ここはね・・・」
橘颯太「うん・・・ うん・・・ ・・・なるほど」
橘颯太「分かった! だから、ここをこうして・・・ こうして・・・ こう!」
橘颯太「合ってますか?」
「・・・ ・・・ ・・・正解っ!」
橘颯太「やったっ!」
「やればできるじゃん!」
橘颯太「先輩の教え方が上手なんですよ。 今まで全然分かんなかったのが嘘みたい」
「お世辞言っても、何も出ないよ?」
橘颯太「お世辞なんかじゃないです! マジですって!」
橘颯太「先輩が先生だったらいいのにな・・・」
「もし、私が先生だったら、どうなるの?」
橘颯太「毎回100点取るに決まってます!」
「えぇー!? 本当に!?」
橘颯太「本当です。 だって、点数低くて、かっこ悪いとか思われたくないですもん」
「じゃぁ、今回のテストも点数よくなきゃダメだよ? 私が教えたんだし・・・」
橘颯太「それって、100点ってこと?」
「あれ? もう弱気? さっきまでの威勢はどこに行ったのかな?」
橘颯太「分かりました。 俺だって、やればできるって証明しますよ!!」
「へぇー。 そんなこと言っちゃっていいんだ?」
橘颯太「いいですよ。 男に二言はありませんから」
橘颯太「次のテストで、学年一位取ります!!!!」
「いやいや・・・ごめん。 さっきのは冗談だって。 いきなり学年一位は無理じゃない?」
橘颯太「宣言したからには取り下げませんよ」
橘颯太「その代わりと言ってはなんですが、先輩にお願いがあって・・・」
「お願い?」
橘颯太「もし、学年一位取ったらデートしてください!!」
「デート!?」
橘颯太「ダメ・・・ですか・・・?」
「ダメじゃないけど・・・」
橘颯太「夏休みの間の一日だけでいいので、俺とデートしてください!! お願いします!!!!」
「・・・分かった。 いいよ。 学年一位になったら、デートしてあげる」
橘颯太「本当に?」
「うん。 今度は冗談じゃなく、本当だよ」
橘颯太「やった!! 俺、本気出しますから」
橘颯太「約束、忘れないでくださいね?」
「『学年一位になったら』だからね!!」
橘颯太「デート、楽しみにしてます」
「・・・私の話、全然聞いてないし・・・」

コメント

  • 甘酸っぱくてキュンキュンしました!
    好きな人に教えてもらうって、ドキドキして集中出来なさそうですが、そんなご褒美があったらがんばっちゃいますよね!

  • 素敵な異性の先輩に教えてもらったら、いいところを見せようとして頑張ってしまいますよね~ただし学年1位はハードル高すぎ!?もし2位だったとしたら先輩は「ダメ」って言うのかな?それとも…

  • こんな約束してもらったら、勉強がんばれちゃいますよね!勉強へのモチベーションには最高のご褒美だと思います。青春っていいですねー。

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