要注意人物

いろ

読切(脚本)

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〇大教室
  ここは、YJ大学 工学部 の教室──
如月彩「空いてる席は・・・っと」
???「はははははは! な・・・なんやそれ、ほんま──」
クラスメイト「──で、最後にこれをこうすると・・・」
???「ぎゃはははははは!!も・・・もうやめてぇ、おもろすぎて、腹筋ばきばきになるう!」
如月彩(・・・はぁ、うちの学部の男の子たち、いつもゲラゲラ笑ってるけど)
如月彩(何がそんなに楽しいんだろう・・・)
高倉奏斗「ぎゃっはっはっはっ! はぁ、あかん──」
高倉奏斗「──自分、笑いの天才とちゃう?ほんっまに・・・涙出てきたわ」
クラスメイト「そう?なんか関西人の奏斗に笑いで褒められると、嬉しいなぁ」
高倉奏斗「いやぁ、俺、基本そない甘くないんやで?」
高倉奏斗「笑いに関しては、地元のプライドもあるしな!」
クラスメイト「・・・でも、その割にはゲラだよね、奏斗。 すーぐ笑ってツボって目が細くなって──」
高倉奏斗「ほんまに。笑いすぎて、目がまるで『線で描いた』みたいに細くなってもた・・・」
高倉奏斗「・・・って、そうやないねん!これは遺伝や!俺の両親に謝れぃ!」
「ぎゃははははは!」
如月彩(はぁ・・・くだんない)
如月彩(特に、あの関西弁のやつ)
如月彩(コミュ力高いから、周りに人が絶えない様子だけど──)
如月彩(──笑ってばかりで、本性がまるで見えなくて怪しい)
如月彩「(彼は、『要注意人物』だわ)」

〇綺麗な図書館
  学内 図書館にて──
如月彩(えーっと、探してる本は・・・っと──)
如月彩「(向かいの机で本を読んでいるのは、例の『要注意人物』だ!)」
如月彩「・・・」
如月彩(あ、あは、あはは・・・独りで図書室に来るようなやつじゃないと思ってたから、つい驚いちゃった)
如月彩(にしても、すごく熱心に読み込んでるな)
如月彩(こんな一面もあるんだ・・・意外だな)
如月彩「・・・」
如月彩「はっ!」
如月彩(さ・・・さっさとレポートの参考文献見つけて出よう!)

〇公園のベンチ
  キャンパス内のベンチにて──
???「ぎゃっはっはっは!なるほどな・・・この展開は予想できへんかったなぁ」
???「おもろいなぁ、この作者の小説は。 ハズレないもん」
如月彩(あれ?独り言いいながらベンチで本読んでるのは・・・)
高倉奏斗「はっ!」
如月彩「!?(急に大きな声出して何!?)」
高倉奏斗「つい没頭してしまった、いま何時や? スマホ・・・スマホ──」
如月彩「・・・」
如月彩「16時だよ」
高倉奏斗「えっ?き、如月さん!?」
如月彩「(あれ?あたしいま、無意識に彼に喋りかけちゃった・・・ど、どうして)」
高倉奏斗「あっ、あの・・・おおきに」
如月彩「えっ?」
高倉奏斗「時間、教えてくれて」
高倉奏斗「助かったわぁ。あと30分読めるぞぉ」
如月彩「要注意j・・・じゃなくて」
高倉奏斗(よ・・・要注意?)
如月彩(名前なんだっけ)
如月彩「その、あんた・・・今日すごく熱心にその本読んでるみたいだけど、小説?」
高倉奏斗「あ・・・っあ〜!あぁ、せやで。 ほれ!」
如月彩「っ!この小説は──」
高倉奏斗「ストップ!ネタバレ禁止や! まだあと3分の1残っとるんやから!」
如月彩「あ、あぁ。うん勿論・・・だけど、私がこの小説読んだことあるって知ってたの?」
高倉奏斗「知っとるで。 ほら、貸し出しカード。 如月さんの名前あったから」
高倉奏斗「ちなみに、俺の名前はこの一番下な。 『たかくら かなと』って読むんや」
如月彩(高倉奏斗か。さっき名前が出てこなくて、とっさに『あんた』って言っちゃった・・・)
高倉奏斗「ん?なんか顔赤いけど、どうかした?」
如月彩「え?いや、なんでもないよ!気にしないで」
高倉奏斗(か・・・かわええ(キュン))
如月彩「た!高倉くんは! その・・・小説とかよく読むの?」
高倉奏斗「ん?あぁ、わりと読むで。 特にこの作者、よう俺のツボついてくんねん」
如月彩「わかる! あたしもこの人の作品大好きで、出版されてるものは全部読んだよ。 短編集も長編作も、使われてる言葉が綺麗で・・・」
高倉奏斗「──ははっ。 如月さんって、ほんまにガチ勢なんやなぁ」
如月彩「あ、その・・・ごめん、あたしばっかり(まずい、つい食い気味に喋ってしまった。引かれたかな?)」
高倉奏斗「・・・ええなぁ」
如月彩「え?」
高倉奏斗「そういう、夢中になれる趣味があるん。 ええなぁ」
如月彩「そ、そうかな? でも、高倉くんだって、今日図書館にいる時からずっと読んでて──」
高倉奏斗「えっ!?気づいてたん? 声かけてくれれば良かったのに」
如月彩「いや、まあ、あたしはあたしで忙しかったから・・・ってか、そんなことより──」
如月彩「──あと30分しか時間ないんでしょ?読書の邪魔してごめんね。また今度・・・」
高倉奏斗「──待って」
如月彩「・・・?」
高倉奏斗「気遣ってくれてありがとう。 でも俺・・・」
高倉奏斗「今は・・・この小説の続きより、如月さんのことが気になる!」
如月彩「!?」
高倉奏斗「初めてみる如月さんがたくさんおって、 もっといろんなこと知りたいって思った」
高倉奏斗「せやから──」
高倉奏斗「残りの時間、もう少し俺とのお喋りに付き合ってくれへん?」
如月彩(・・・)
如月彩「うん、まぁ、あたしでよければ」
高倉奏斗「わぁ〜〜い! 嬉しいわぁ!大学入ってからトップレベルで嬉しい!」
如月彩「それは言い過ぎでしょ」
高倉奏斗「ほんまやって! なぁ如月さん、最近家帰ったら何やりよんの? やっぱ読書? それとも他にも好きなことあるん?」
如月彩「・・・ふふふ」
高倉奏斗「え?どしてわろてん?」
如月彩「高倉くん、さっきから質問が止まらないなと思って」
高倉奏斗「あっ、すまん・・・俺も如月さんと同じやなぁ」
如月彩「あたしと、同じ?」
高倉奏斗「せや。夢中なもんの話になると、早口になって止まらんくなる。へへへ」
如月彩「──!?」
如月彩(まったくもう・・・! やーっぱり、彼には注意が必要ね。 だけど、でも──)
如月彩(──これから少しずつお互いの本当の姿を知っていけたら良いな)
  奏斗、彩、素敵なキャンパスライフを!
  ──END──

コメント

  • 要注意人物がである彼の、底抜けに明るい所にキュンときました。二人の今後のキャンパスライフに幸あれ!!素敵な物語ありがとうございました!

  • 気になるってことは、それがいい方向にもいくんですよね!
    まず関心がないと興味を持てませんからね。
    そんな感じでかわいいお話でした!二人とも違った意味でかわいかったです。

  • 先入観をいい意味で覆されて、要注意人物から要注目の彼になりましたね! 小説を読み込んでいるだけあって、残りの時間を・・・とアプローチできる彼は素敵です。二人の好奇心は止まらないですね!!

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