読切(脚本)
〇見晴らしのいい公園
日差しも心地よく、風も気持ちいい日
公園にもいつもより多くの人が訪れていた
とある大学のサークル”クローバー見つけ隊”
もサークル活動をしにこの公園に来ていた
と言ってもサークルと呼べるほどの人数はいなく、たった二人で活動しているが──
翔太「せんぱい! これそうじゃないすかっ!」
あなた「どれどれ・・・」
あなた「これは三つ葉が切れて四つ葉に見えるクローバーだね・・・」
翔太「そうですか・・・」
翔太「てか、これだけ探しても無いんだから ここには四つ葉はないんじゃないですね・・・」
あなた「いや、ここにあると四つ葉占いには出ていたから絶対にある!」
翔太「そうですか? って言うか、その四つ葉占いっていうのも信じれるものなんですか〜?」
翔太が苦言をこぼすのも当然。
ここに四つ葉のクローバーを探しに来てから三時間が経とうとしていた・・・
翔太(じゃあ・・・)
翔太「せんぱい! もう十二時だし俺、せんぱいの分も弁当作ってきたんで休憩がてらお昼にしましょう!」
あなた「私の分も・・・?」
翔太「そうです! たっぷり愛情込めて作ってきたんで、美味しいと思います!」
翔太「それに、こんなにいい天気だし、せっかくのせんぱいと公園デートだからもっとせんぱいと話したりしたいです!」
あなた「そうだね・・・お昼にしようか!」
あなた「でも・・・これはデートじゃなくてサークル活動だからね!」
翔太「確かにサークル活動だけど、俺はせんぱいとデートだって思ってます!」
あなた「サークル活動してくれるならまぁそれでも良いけど・・・」
ぼそっ
あなた「私も翔太といるの楽しいし・・・」
翔太「せんぱい・・・!」
翔太「嬉しいです!」
翔太「俺もせんぱいのこと大好きだし、せんぱいも俺のこと思ってくれてるってことはつまり両思いですねっ!」
あなた「ちょっと飛躍しすぎ! 翔太のことは好きだけど”まだ”付き合うとか考えてないから!」
翔太「俺、付き合うとかは言ってないのにせんぱいはもうこの先のこと考えてるんですね〜! それに”まだ”ってことは──」
あなた「別にそんなんじゃないから!!」
あなた「もうっ!!」
あなた「翔太が作って来てくれたお弁当でお昼にしよ!」
翔太「分かりました・・・今はここまでにしといてあげます!」
翔太(まぁ、そうやって誤魔化しちゃうところも可愛いっすけど・・・)
〇山の展望台(鍵無し)
あなた「ふぅー、美味しかったー!」
あなた「翔太、私の分まで作ってきてくれてありがとう!ご馳走様!」
翔太「お粗末様です!」
翔太「せんぱいが美味しそうに食べてくれて作った甲斐がありました!」
あなた「本当に美味しかったからまた作って欲しいなー!」
翔太「せんぱいのお願いなら何でも聞きます!」
翔太「でも、次こそは正真正銘のデートの時がいいな・・・」
翔太「俺、せんぱいのことあの時から──」
〇病院の入口
翔太(『激しい運動はもうしないでください』か・・・)
翔太(まぁ俺が庇ったことであいつは今もサッカー続けられてるし後悔はしてないけど・・・)
翔太(もうすぐ三年生になるから『来年も頑張ろう!』って思ってたのに怪我で引退か・・・)
翔太「まじどうしよう──」
翔太の視界で何かが動く
翔太「えっ、何?」
翔太(って・・・人!?)
あなた「やっと見つけた〜! 四つ葉のクローバー!」
女性が立ち上がり、気づく──
あなた「あっ・・・えっと、こんにちは?」
翔太「え・・・こんにちは・・・」
翔太(なんかどこかで見たことあるような・・・)
あなた「これ・・・四つ葉のクローバー えっと、今見つけたので良かったらどうぞ?」
翔太(あっ!思い出した! 四つ葉に取り憑かれた女って呼ばれてる一個上の先輩だ・・・)
翔太(でも、いきなり四つ葉のクローバーくれるってなんで・・・?)
翔太「いや、大丈──」
あなた「四つ葉のクローバーは『幸運』って言う意味があって・・・」
あなた「貴方にきっと幸せが訪れると思います! 良かったらどうぞ!」
翔太(押しが強いな、 まぁ、いらなかったら後で捨てればいいか・・・)
翔太「じゃあ、貰います・・・ ありがとうございます・・・」
あなた「あなたに幸運が訪れますように! では!」
翔太(なんだ今の笑顔・・・)
翔太「可愛い・・・」
それから俺はクローバーのおかげか、幸運が続いて充実した日々を過ごしていたけど
〇山の展望台(鍵無し)
翔太「せんぱいのこと頭から離れなかった」
翔太「だからせんぱいのこと知ってる人に聞いて追いかけて来ました!」
あなた「そうだったんだね・・・」
あなた「あの時、翔太が今にも消えそうな感じだったから放って置けないと思って──」
翔太「そんな風に優しいせんぱいが大好きっす!」
翔太「もちろん、最初のきっかけももちろんあるけどせんぱいと一緒に過ごしたりしてせんぱいのことが大好きになりました!」
翔太「俺と付き合ってくれないですか・・・?」
あなた「うん、私もさっき”まだ”って言ったけど翔太のこと好きだよ。 私で良かったらお願いします・・・」
翔太「えっ!まじっ!?やったー!!」
翔太が手を握る
あなた「ちょっ、ちょっと!」
翔太「四つ葉のクローバーを見つけるのも大変な確率だけど──」
翔太「八十億の一の確率でせんぱいに出会えた俺って幸運!」
多くの人にとっては、小さいかもしれないけれど、それは彼らにとっての大きな幸せなのかもしれないと思うと、優しい気持ちになる事が出来ました。また、サークルの名前が可愛かったです!素敵な物語ありがとうございました!
四つ葉のクローバーの幸せ説って単なる迷信だとは思うけど、やっぱり見つけた時は嬉しいものですよね。純粋な先輩の気持ちは、クローバー以上に彼を幸せにしてくれて、なにか本物感がありますね。
クローバー見つけ隊、可愛いサークル名だなぁ、と思っていたのですが、彼が入部したのにはそういう経緯があったのですね!
とても可愛らしい物語でした😊
四つ葉のクローバーが繋いでくれた二人の幸せが、ずっと続きますように🍀✨