エピソード1(脚本)
〇駅の出入口
ニンニクのことで頭がいっぱいである。
大学生の大野は気がつくとラーメン二郎の最寄駅に立っていた。
ラーメン二郎とは関東で絶大な人気店であり、
濃厚な豚骨醤油味でボリュームのある麺と高く盛られたもやしベースのキャベツ入りヤサイ、
ブタと呼ばれる厚いチャーシューが特徴の中毒性のあるラーメンである。
そして、私のような「ラーメン二郎」の熱狂的なファンは「ジロリアン」と呼ばれている。
〇商店街
店に向かっている途中、前を歩く人たち全員が二郎を目指していると錯覚し、
私は自然と歩くペースが速くなっていた。
そして、黄色い看板の店にたどり着いた。
〇ラーメン屋
そこには既に20人ほど並んでいた。さすが人気店である。
緊急事態宣言下、お前ら外出自粛しろ!
って思っていたが、後ろに並んでいる人も私のことをそう思っているんだろうな。
後ろを振り向くと、スウェット姿の女性がいた。
1人である。20代で体型は普通である。
その風貌はジロリアンのそれではなかった。
私に勇気があれば話しかけていたが、そもそも会話禁止の張り紙がされていたのでそれを言い訳にした。
列の折り返しになるときに振り返ると彼女は黒烏龍茶を持っていた。
私より断然にジロリアンのそれに見えてきた。
〇ラーメン屋のカウンター
かれこれ30分ほど経って、店員に席を案内されて、やっと着席。ラーメンの食券をテーブルに置いた。
一方、彼女はカウンターの向かい側に着席していた。
席についてからは早かった。私のラーメンが出来上がり、店主にきかれる。
店主「ニンニク入れますか?」
大野「ニンニク」
と大きな声でコールした。
私の目の前に極上の一杯が置かれた。
ラーメン二郎にはルールがある。
「ニンニク入れますか?」と聞かれれたら次の4つのコールでトッピングを追加できる。
『ニンニク』
刻んだ生ニンニクをのせる。
『ヤサイ』
もやしベースのキャベツ入りヤサイを増やす。
『カラメ』
醤油ダレをヤサイの上から足し、味を濃くする。
『アブラ』
味付け背アブラをヤサイの上からのせる。
また、『マシ』『マシマシ』という
さらに量を多くするコールがあるがこの店では受け付けていない。
藤沢「ニンニクヤサイカラメアブラ」
フルコールが聞こえた。その彼女である。
完全にジロリアンのそれである。
私も自称ジロリアンとして、負けずに目の前のニンニク入りラーメンを無我夢中で食らいついた。
そして、完食して彼女より一足先に店を後にした。
〇ラーメン屋
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたら良かった
いたって純な心で 食べた味を思い出して
「美味しかった」とか無責任に話しかけられたらいいな
そう思っても無駄なのさ
大野「グッバイ」
それじゃ僕にとって二郎は何?
答えは分からない
分かりたくもないのさ
たった一つ確かなことがあるとすれば
大野「二郎は美味いんだ」
全体から、ラーメン二郎への愛が感じられました。最後の替え歌の部分も面白く、笑って読了することが出来ました!素敵な作品ありがとうございました!
ラーメン二郎には怖い印象を抱いていて、一度も行ったことがなかったのですが、お話を読んで、ちょっといいなと印象が変わりました!
でもきっと食べきれません!そこは確信してます!
オフダんときましたか。面白い。(っ.❛ ᴗ ❛.)っよければわたしのたたなる作品もみてください。またね。よろしくおねがいします