地味女と歩くのは(以下省略)(脚本)
〇シックなバー
元カレ「好きな娘ができたんだ だから俺とは別れてくれ」
やっぱりな
と思った
元カレ「会社の後輩なんだけど お前と違って若くて可愛くて」
それ
私に言う必要ある?
元カレ「お前みたいに辛気臭い女とは違うんだよ」
元カレ「正直お前と一緒にいるとさ 俺の格が下がるんだよな」
いいよ、別れよう
こんな女といてもつまんないもんね
もう連絡してこないでね
元カレ「するわけねーだろ お前のその自意識過剰なとこも 気に入らなかったんだ」
〇黒
大人しそうに見えるから
何でも言うことを聞くと思われるのだろう
私に声をかけてくる男は皆
初めのうちは優しい
だけど自分の意見を言うと嫌な顔をされる
私にだって自分の意思がある
ただ対等に付き合って欲しいだけなのに・・・
だからもう恋愛なんていいやって
そう思っていた
〇都会のカフェ
サトシ「ご注文の品をお持ちしました」
ありがとう
サトシ「『ルワンダ中央銀行総裁日記』ですか いい本ですね」
え、はい
サトシ「すみません 急に話しかけちゃって」
サトシ「いつも本を読んでらっしゃいますよね」
ええ、まあ
一人ですから
サトシ「僕も今その本を読んでるんです 古い本だけど面白いですよね」
はあ、ええ・・・
この時の私は
露骨に迷惑そうな顔をしていたと思う
サトシ「あ、すみません いきなり話しかけられてもご迷惑でしたよね つい・・・」
〇黒
それからもサトシ君は
ちょくちょく私に話しかけてきた
初めのうちは煩わしさもあった
だけど話をしているうちに
私たちは気が合うんだと分かってきて
一緒に食事をするような間柄になった
〇たこ焼き屋の店内
サトシ君はお父さんを亡くしているので
なるべく学費の安い大学に入って
奨学金で通っているそうだ
来春から公務員だが
今は奨学金返済の足しにしようと
バイトをしているので
いつも安い店でゴメンと謝られた
私は社会人だから奢ろうかって言っても
そういうのは嫌なのだという
サトシ君てさあ
サトシ「ん?」
何が楽しくてこんなオバさんと一緒にいるの
サトシ「は? オレ22でミユキさん28じゃん」
サトシ「そんなに変わんねーでしょ」
私が大学生のとき
サトシ君まだ中学生だったんだよ
サトシ「4月からはどっちも社会人じゃん ミユキさんて物事を悪い方に考えすぎじゃ?」
自分で言うのもアレだけど
地味〜な見た目だし可愛くないよね
サトシ「うん、まあ 地味だよね」
でしょ?
自分でも分かってるけど変えられないし
サトシ「んー、でも 地味と可愛いは両立するでしょ」
えっ、ばっ・・・
何言ってんの
サトシ「ミユキさんは何でも悪い方に 考えすぎじゃない?」
サトシ「オレはただミユキさんといるのが楽しいから そうしてるだけだよ」
長い人生で染みついちゃったことだから
そうそう簡単にはなおらないの!
〇黒
サトシ君とは
時々食事をするだけの関係が続いた
私は二人の関係について
確認するのが怖かった
そう
私はサトシ君に恋をしてしまっていたのだ
しかしそんな関係にも終わりがやってきた
あの男が私たちの前に現れたことによって
〇ファミリーレストランの店内
元カレ「久しぶりだな」
何か用?
元カレ「ここを通りがかったら 偶然お前を見かけてさ」
元カレ「ところで・・・コイツ 誰?」
あなたには関係ないでしょ
元カレ「もう一度チャンスをやる 俺のところに戻ってこいよ」
あなたにはカノジョがいるんでしょ
会社の後輩でしたっけ?
元カレ「アイツ、男がいやがったんだ」
それじゃ完全にあなたの空回りってこと?
自意識過剰だったのはどっちかしら
元カレ「随分偉そうな口をきくようになったな」
サトシ「おい やめろ」
元カレ「何だよ」
サトシ「オレ、この人と付き合ってるんだけど」
元カレ「お前 こんなガキに乗り換えたのかよ」
サトシ「オレのことはどうでもいいだろ」
サトシ「ミユキが嫌がってるだろ さっさと失せろよ」
元カレ「チッ、後悔すんなよ!」
サトシ「ひえー ビビったあ〜」
サトシ「殴りかかってきたら どうしようかと思ったよ」
サトシ「マジでああいう捨て台詞吐く人 いるんだね」
大丈夫?
サトシ「うん へーきへーき」
ところで・・・あの
さっき付き合ってるって
サトシ「あーごめん つい咄嗟に」
ごめん、じゃなくても
・・・いいんだけど
サトシ「ちょうどいいや そのことなんだけど」
〇ファミリーレストランの店内
サトシ「オレ、働き出したら 今みたいに時間が取れなくなると思う」
もう会えない・・・ってコト?
サトシ「何でこの流れでそうなるの?」
公務員だって言ってたから
早く帰れるのかなって
だけど私と会いたくなくて
忙しいって言ってるのかと
サトシ「いや いきなり深夜までの残業はないだろうけど 忙しくはなると思う」
部署にもよるんでしょうけど
市役所ってそんなに残業あるの?
サトシ「市役所じゃないよ?」
ああ
23区内なら区役所か
サトシ「金融庁だけど・・・」
き、金融庁?
サトシ君て実はエリート?
中央省庁って
東大出身の人ばっかりじゃないの?
サトシ「オレも東大生だけど?」
聞いてないよ
サトシ「え?学費が安いとこって言ったじゃん」
だからって東大とは思わないでしょ
サトシ「とにかくそういうことだから 今ほど会えなくはなるけど」
サトシ「オレから離れないでほしい 付き合ってくれないかな」
私なんかじゃ駄目だと思ってた
サトシ「えー?」
サトシ「んー・・・よく考えてみたけど 確かに駄目かも」
やっぱり・・・
サトシ「駄目だね ミユキさんじゃないと」
・・・!
サトシ「でも、オレの話を最後まで聞く前に ネガティブな方向に解釈するクセは 直して欲しいかな」
そんなのいつになるか分かんないよ
サトシ「じゃあ オレたち 長い付き合いになりそうだね」
END
いやぁ~これはいい話でした😆❗何で言えばいいか分かりませんがリアルだしさらに何の抵抗もなく受け入れられるキュンでした😄
「楽しいから一緒にいる」恋に落ちる理由って、そんな簡単なことなんだなぁと改めて思いました(^^)
一緒にいてしっくりくる、そういう関係って素敵だなぁと。
この二人、仲良くほんわかお付き合いしていそうですね。ヒロインがいつかポジティブな思考になりますように😊
カワイイ年下くんですね〜。しかも、東大生でしたか。読んでいて、ニヤケました。元カレのだメンズ感最高です。