いいえ、うぉ〜か〜です。

アマリモノ

エピソード(脚本)

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アマリモノ

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〇線路沿いの道

〇広い公園
かける「よ、よお」
かける「おい!挨拶くらいしろよっ」
かける「大人げねーぞ」
葵「どうも!」
かける「たくよー 朝から気分悪いぜ」
葵「この時間にここを走らなければいいでしょ!」
かける「俺は!」
かける「この時間!」
かける「ここを通るのが好きなの!」
かける「朝の習慣なわけ」
かける「あ!」
かける「なるほどね〜」
かける「お前俺に未練があるんだな?」
かける「だから未だにここを朝ランしてるわけだ」
かける「大人気ないんじゃなくて、甘えん坊だったのね」
葵「私が今もここを走るのは!」
葵「私のお気に入りのコースだから!」
葵「だいたい朝の習慣って言ったって」
葵「あんた二日酔いとか徹夜でゲームしたとかで」
葵「やったりやらなかったりだったじゃん」
かける「そ、それは!」
かける「元々そういうスケジュールで」
かける「その日は二日酔いなのが予定通りだったというか」
葵「あんた」
葵「変わらないね」
葵「さよなら!」
かける「なんだよ・・・」
かける「別れたからって、あそこまで冷たくしなくてもいいじゃん」

〇古いアパート
  翌週
かける「なぜ翌週まで飛ぶのかというと」
かける「あいつのひでえ態度にへこんだとか」
かける「遊んでて朝起きられなかったとかいうわけじゃない」
かける「俺は多忙なのだ!」
「さぁ、いくぞ!」

〇広い公園
かける「ふー」
かける「・・・つ、疲れたなぁ」
かける「ちょっとだけ休憩していくかぁ」
かける(はやく来すぎたか?)

〇広い公園
かける「こねえ!!」
かける「とうとうコース変えちまったのかな」
かける「あ!」

〇住宅地の坂道

〇広い公園
かける「んだよ〜!やっぱ俺に会いたいんじゃん〜!」
かける「っ!」

〇住宅地の坂道

〇広い公園
かける「男・・・?」
かける「マジかよ」
かける「は、ははっ」
かける「あほらし」
かける「なに執着してんだか らしくねえ」
かける「帰ろ」

〇黒背景

〇広い公園
満「どうしました? キョロキョロと」
葵「え!」
葵「なんでもないっ」
満「そうですか」
葵(あいつがいたら、また絡んできそうなんだよなー)
葵(まぁ先週も見なかったし大丈夫でしょ)
葵(てか相変わらず口だけね)
葵(ちょっとでもよりを戻したいのかと思った)
満「アハハ」
満「さっきから落ち着かないですね」
葵「なんでもないってば」
満「ならいいんです」
葵(いかんな 私はもう次の恋に進むって決めたんだ)
満「明日は別のルートに出てみませんか」
満「川沿いの公園で景色が綺麗なんです」
葵「い、いい考えね!」
満「では是非そうしましょう」

〇古いアパート
  数ヶ月後

〇古いアパートの部屋
翠「じゃアタシ出勤するね」
かける「ほーい」
翠「お金はここにあるから」
翠「ちゃんとご飯食べなきゃダメよ〜」
かける「わかってまーす」
かける「いってらしゃ」
かける「ぐぅ」
翠「かわいい♡」
翠「また来るからね!」
かける(俺、このままダメになってしまいそう)

〇古いアパートの部屋
  葵は口うるさかったよなぁ
葵「ちょっと!今バイトの時間じゃなかった?」
かける「・・・んー?」
葵「起きろやっ!」
かける「ふ、布団〜っ!?」
葵「バイト!!」
かける「辞めちゃった♡」
葵「なっ!?」
かける「だってシフトの融通きかねんだもんっ」
かける「こっちは飛び込みのオーディションにも出なきゃいけないって言ってんのにさぁ」
かける「俺の本業はあくまで俳優」
かける「夢を追うのが一番大事なんだよ」
葵「そりゃ分かるけど」
葵「じゃあすぐにもうちょっと理解のある職場探さないと」
かける「そだな!」
かける「明日朝イチで調べるわ」
葵「いまやらんかッ!」
かける「わ!」
かける「分かったよ・・・」
葵「全くっ」
葵「しょーがないやつじゃ!」

〇テーブル席
葵(・・・ろくな思い出じゃなかったなあ)
葵(でもなんでかな)
葵(最近よくあいつのこと思い出しちゃう)

〇広い公園
  もう半年は会ってないのにね

〇テーブル席
満「葵さぁ」
満「また上の空じゃん」
葵「ご、ごめんなさい」
満「僕の話聞いてた?」
葵「えっと」
満「はぁ」
満「もういい 不愉快だ」
満「帰る!」
満「飯がまずくなった」
葵「ま、待って!」
葵「ごめんって 海外旅行の事考えてただけだよっ」
満「なんだ、そういうこと」
満「どこにしようか」
満「楽しみだなぁ ローマ市内とか走ってみたいよね」
葵(満くんはいつもこうだ)
葵(今のは私が話を聞いてなかったのが悪いんだけど)
葵(たまに息がつまりそうになる)

〇住宅地の坂道
  かけるはもっと分かりやすかったなぁ
葵「なにあんたこんな朝はやくに」
かける「俺も走ろっかなってさ」
葵「私と一緒に?」
葵「夜勤明けじゃん」
葵「寝てなよ」
かける「なんかさ」
かける「めちゃくちゃ葵と一緒にいたい気分なんだよね!」
かける「夜勤シフトのバイトに入ってから あんま2人で話せてないしさ」
かける「寂しいんだよね」
かける「だからバイト明け、寝る前に一緒に走ろうかと」
かける「ダメかな?」
葵「いいよ、並走しよ」
かける「やった♡」
かける「これ、2人の習慣にしようぜ!」

〇古いアパートの部屋
かける「って言ってたんだよなぁ」
かける「それを俺がサボり始めちゃって」
かける「夜勤もすぐに辞めちゃってほぼ無職に」
かける「それでとうとう愛想尽かされちゃったんだ」
かける「なんか葵に会いたくなってきた」
かける「なら会いに行くしかねえじゃん!」

〇黒背景

〇広い公園
葵「なんとなく来てしまった」
葵「ヤなやつだな私」
葵「今は満くんと付き合ってるのにさ」
???「その通りだな」
満「様子がおかしいと思って尾けてみたら」
満「君ってすぐ人を傷つけるよね」
満「ここ、元彼との思い出の場所なんだろ」
葵「そんなんじゃないって」
満「嘘だッ!?」
満「ずっとそいつの事を考えていた癖に!」
葵「痛っ!」
満「クズだったんだろ?忘れろよ!」
葵「やだ・・・やめてっ・・・」
満「離すもんか」
満「土下座しろ」
満「別れるなんて言わないよな?」
満「君が反省するなら許してやるからさ」

〇住宅街
かける(葵が男に捕まってる!?)
かける(なんか俺のことも貶されてるみたいだ)
かける(ああ 確かに俺はクズだよ)
かける「だけどなあ!」

〇広い公園
葵「離せよっ!」
満「痛ッ!!」
葵「確かにかけるはッ!」
葵「金もたかるし!」
葵「夢ばっか見てるヒモ野郎だけど!」
葵「人を暴力で思い通りにしようとするほど!」
葵「ロクデナシじゃなかったよ!」
かける「お、おい!」
葵「かける!?」
かける「この辺でやめとけって」
満「うう」
満「ぎ、逆ギレかよ!?」
満「やっぱりずっと二股だったんじゃないか!」
葵「ち、違うわよ!?」
満「もういいっ!」
満「このビッチがっ!」
葵「満くん・・・」
かける「フられてどんまい☆」
葵「軽っ!!」
かける「あんま気にすんなよ」
かける「お前が言うように」
かける「力づくで女を屈服させようとする男なんて、論外だろ」
かける「まぁお前は10倍やり返してたけどな」
かける「俺がカッコよく撃退してやろうと思ったのによ」
葵「なんでこんなとこにいんのよ」
かける「そっちこそ」
葵「私はただ散歩してただけよ」
かける「そっか」
かける「俺はお前に会いたくなった」
かける「それでいつもの道を走ってたら、お前を見かけてさ」
葵「な、なによそれ」
かける「顔が見れて嬉しかったよ」
かける「それじゃな」

〇水玉2
  あ、あのさ

〇空
  数日後

〇広い公園
葵「ちょっと早く来すぎちゃったかな」
葵「まあストレッチでもして待ってればすぐ来るでしょ」
葵「2人で走るのは久しぶりだもんね」

〇広い公園
葵「お、遅い・・・!」
葵「さてはアイツ、また寝坊してるな?」
葵「しょーがないやつじゃ!」
葵「ま、あの自然体に惚れたんだからね」
葵「私がシッカリするしかないワケよ」
葵「迎えに行ってやるか!」

〇古いアパート

〇古いアパートの部屋
かける「ぐぅぐぅ・・・」
かける「スゴい湿ってんじ・・・むにゃむにゃ」

〇空
  なに他の女と寝てんだァ!?
  今度という今度こそ!
  もう知らん!!!

〇古いアパート
  葵は、健全なランナーである以上に
  生粋のだめんずうぉ〜か〜なのであった
かける「ま、待ってくれっ!?誤解なんだって!!」

〇水玉2
  葵は、きっとまた彼を許すことになる
  しかし
  葵が甘やかす限り
  かけるはずっと成長しないのである

〇黒背景
  イケメンは
  たまにすれ違う位がちょうどいい?
  おわり

コメント

  • タイトルの意味が分かったとき、「そういうことか」と膝を打ちすぎて痛めました。葵は「ランナー」なのにダメンズ「ウォーカー」なんですね。追いついたのに引き離され、また追いつきそうなのに離れたりと、二人が人生の並走者になるにはまだまだ時間がかかりそう。でも微笑ましいカップルだなあ。

  • こんなに相性が良い2人なのに、すり合わせてお互いが向上していくきっかけを見逃してしまっているようで残念でなりません。好きという気持ちを大事にして、どうか一歩前に進んでほしいです!

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