読切(脚本)
〇改札口前
俺は彼女の名前を呼んだ。
浦原くん「待って!」
浦原くん「すまん、ええっと久しぶり、やな。 同窓会以来やから、三年ぶりってところか」
浦原くん「逃げんなって、同じ新幹線に乗るんやろ。 まだ時間あるし、ちょっと話さんか?」
浦原くん「お前も帰省するんやろ?・・・やっぱり」
浦原くん「確かに大型連休やけど、まさか同じ日の同じ新幹線に乗るとは思わんかったな」
浦原くん「そんなん修学旅行以来や。 って、なんか懐かしいな」
浦原くん「で、お前は今何しとん?うん、うん」
浦原くん「へぇ、昔のお前からじゃ想像出来ひんような事しとるやんけ」
浦原くん「東京の荒波で別人になったみたいやな?」
浦原くん「あぁ、怒んなって、冗談や、冗談! 良い意味で変わったんやな、って思うただけや」
浦原くん「俺?俺も男前になったろ? まぁ俺も、男を磨いたっちゅうワケや」
浦原くん「「色々あったん?」って、聞きたいんか?」
浦原くん「そう、お前と別れてからの話。 ・・・そんな、ちっともおもろないで」
〇駅のホーム
浦原くん「まぁ、お前と喧嘩別れして、散々な毎日やった」
浦原くん「異動で変な上司にあたるわ、知らん男に付きまとわれるわ、携帯や財布を失くすわ、オレオレ詐欺の電話が掛かってくるわ・・・」
浦原くん「「なかなかおもろい経験しとるやんけ」って?」
浦原くん「せやろ?笑えるくらいツイてないやろ? まぁその辺はまだマシな方やけどな」
浦原くん「何より大変やったのは、その話を聞いてくれる相手がおらへん」
浦原くん「いや聞いてくれへんっちゅう事はあらへん。 ただ、大変やったな、って同情されるだけや」
浦原くん「誰かさんみたいに喝入れるじゃじゃ馬は、お前以外にいんかった」
浦原くん「ちゃうねん、貶してるわけやあらへんて。 ・・・まぁそれはアレや、言葉のあやってヤツや、知らんけど」
浦原くん「ああ、ほら、高校ん時。 体育祭の玉入れのアレ倒してドベ取った後」
浦原くん「お前も覚えとるやろ? クラスメイトから非難轟々でさ」
浦原くん「ヘラヘラ笑ってたけど、あの時の俺、結構へこんで」
浦原くん「そんな時「アホみたいな顔して勝てるんやったら、みんなアンタみたいな顔だらけや!」って」
浦原くん「お前、その時まで猫かぶっていたからさ、あの喝でクラスメイトみんな驚いて、笑ってたやんか」
浦原くん「アレが無かったら、切り替えられへんまま、他の競技もドベになるところやったわ」
〇駅のホーム
浦原くん「・・・って、なんや、照れてるんか?」
浦原くん「「気づいたら口から出とっただけ」?」
浦原くん「「そんなしょうもないこと忘れてくれ」?」
浦原くん「別に恥ずかしがることないやろ」
浦原くん「まぁでも、そんな恥ずかしがる姿も悪ないな」
浦原くん「その照れてる可愛い顔、こっち見して?」
浦原くん「なんで怒んねん!褒めたろ今! お前の怒るポイントだけはほんまに分からへんわ」
浦原くん「ん?「もう一度可愛いって言うて」・・・?」
浦原くん「可愛いのはさっきの顔だけや。二度は言わへん」
浦原くん((あぁ、ちゃうねん。言いたいことは、こんな事やない))
浦原くん((もっとちゃんと、素直にならな・・・))
浦原くん「もうじき新幹線来るけど。 俺は自由席。・・・お前も?」
浦原くん「なぁ、隣、座らへん? お前の話、もうちょい聞かせてや」
浦原くん「そうやな、ま、そうなる運命やったってことで」
浦原くん「諦めてや?」
浦原くん((ここからが本番や))
浦原くん((覚悟しとれよ・・・!))
関西弁特有の愛らしさ、ヒロインに対しての、じゃじゃ馬という言い方が良いなって思いました!この後の会話を是非聞いてみたくなるような作品でした!
素敵な物語、ありがとうございました!
彼の、話しながらドキドキしているのが伝わってきました。
この後新幹線でどんな話をしたんだろうな、って気になります。
好きな人の前でかわいくなってしまうのっていいですね。
彼すごくかわいいです。
このあとの新幹線での二人の会話、気になります!
たまたま再会したのに、向こうはこちらのことをめちゃくちゃ覚えてる…設定にキュンでした❤