君の眼に映るもの

青花

読切(脚本)

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〇教室の外
  『もう知らない!️!️』
  パシャリ。
  頬に食らった平手打ちと同じタイミングに響いたシャッター音。
郁弥「人が振られるとこ撮るなんて、だいぶ悪趣味だね?」
  一眼レフを片手にした君は、マズイ。とどデカく顔に書いて『違います!!』と右手と首をぶんぶん横に振る。
郁弥「・・・冗談。コイツだろ?」
  しばしば此処に現れる猫を指差す。
  君は分かり易く安堵した表情になったかと思えば『タイミングが悪く・・・』と申し訳なさそうにシュンとした顔になる。
郁弥「別に気にするな。勝手に向こうが付き合おうって言ってきたのに、イメージと違ったから俺は用済みらしい」
野良猫「・・・にゃおん」
郁弥「コイツも慰めてくれてるしね」
野良猫「なぁー」
  『・・・なんだか理不尽な話ですね。』君はむぅーっと眉間に皺を寄せながらも『イケメンは苦労しますね』と茶化す
郁弥「へぇ、俺のことイケメンって言ってくれるんだ?嬉しいな。・・・いつもコイツしか目に入ってないのに」
野良猫「・・・」
  !?
郁弥「やっぱり気付いてなかったんだ・・・」

〇教室の外
  ──初めて君を見かけた日
野良猫「にゃー」
郁弥「お、よく来たな、久しぶり」
  『あ、待って。逃げないで!!』
  『あぁー、失敗。逃げられちゃった』
  項垂れているかと思えば『わぁ!!』桜吹雪に気が付き、急にゴロンと仰向けになって桜越しの空にカメラを向けている。
  『綺麗。』満足げな顔をして起き上がり、サッと猫のように去っていった。
郁弥「変なヤツ」

〇大教室
  ──数日後、桜吹雪の空の写真がコンクールで賞を取った事がニュースになった。
郁弥「・・・この写真!?」
  何?お前誰が撮ったか知ってんの!?俺、写真部があったことも知らなかったわ。
郁弥「いや。綺麗だなと思って」
  らしくねー(笑)これ、どこなんだろうな?
郁弥「さあね。じゃーな」

〇学園内のベンチ
  『わぁ!!黒猫!?』
  
  『え、何か不吉・・・』
郁弥「お前も仲間だな」
野良猫「・・・」
  『見つけた!!君のおかげで良いのが撮れたんだ!』

〇教室の外
郁弥「何で、猫ばっかり追いかけてんの?」
  『・・・前にも、迷子になってた時に助けてくれた事があるの。良いコなところを他の人にも知ってもらいたいなって。』
郁弥「・・・」
  『まあ、だいぶ私の自己満足ですが・・・だからかどうも嫌われてるみたいで、、、』
郁弥「俺ら、見た目でどうこう言われてウンザリだからな?」
野良猫「なぁー」
  『やった!いい笑顔いただきました♪』
郁弥「オイ、勝手に撮るなよ!!肖像権侵害だ!!」
  『えー。ダメですか?可愛いのに。。。』
  コロコロ変わる君の表情の方が可愛いなんて思い始めている俺はおかしいのかもしれない。
郁弥「不意打ちばっか狙ってないで、これからは正面から来いよな」
野良猫「にゃー♪」

〇大教室
  ──数ヶ月後、めちゃくちゃ笑顔なイケメンと黒猫が戯れる写真が辺りを賑わせたそうです。
  終。

コメント

  • イケメンさんも野良の黒猫さんも、自然体の姿を切り取るのはなかなか大変そうですよね。警戒心も虚飾もない状態を撮れるということは、、、と考えると、キュンとしますね!

  • 黒猫ってだけで一般的には縁起が悪いと言われたりしますが、ラッキーを運んできてくれましたね。イケメンの彼も中身が思ってたのと違ったと振られたり、外見で決めつけがちな人もいますが、本質や中身をみれる人間こそが素敵な写真、瞬間を撮れるのでしょうね。

  • レンズ越しの世界は、本当の姿を写すと言いますしね。
    彼のいい笑顔が撮れたのは偶然かもしれませんが、それとも…何か別の力がはたらいたのかもしれません。

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