それもアリかな(脚本)
〇一戸建て
私には夢がある
それは幼馴染の男の子と恋に落ちること
〇一戸建て
でも、その夢は叶わない
何故なら私には──
〇教室
マキナ「エイリ、おはよ」
エイリ「おーっす」
彼とは高校3年間同じクラスだった。
マキナ「今日は1人なんて珍しいね。いつも一緒にいる子は?」
エイリ「あいつ、彼女が出来たんだと」
マキナ「へぇ、おめでたいね!」
エイリ「運命だなんだ惚気話ばっかだから、彼女の所に置いてきた」
マキナ「そうなんだ」
エイリ「マキナは、運命とかやっぱ憧れる?」
マキナ「私?」
マキナ「うーん、運命かはわからないけど、憧れならあったな」
エイリ「へぇ、どんな?」
マキナ「幼馴染と恋をすること!」
エイリ「幼馴染と?」
マキナ「そう!」
〇女の子の部屋
お互いが行き慣れた部屋で一緒に遊んだり
〇明るいリビング
いつか子どもが出来たら、幼い頃の話をしたり
〇教室
マキナ「あっ、あと制服デートも!」
マキナ「って、うちは私服だしこれは普通のデートか」
マキナ「まぁそれ以前に、私、幼馴染がいないの」
マキナ「だから、どの夢も憧れでしかない」
エイリ「・・・」
マキナ「高校生で知り合っても、それはもう幼馴染って感じじゃないでしょ?」
マキナ「今はただの彼氏募集中のJKよ」
エイリ「──そっか」
マキナ「エイリは?」
エイリ「内緒」
マキナ「えー!ズルい!」
マキナ「教えてよー」
エイリ「いつか、な」
〇教室
〇一戸建て
〇女の子の部屋
マキナ「ふーっ。いいお湯だった」
マキナ「あれ、エイリから連絡だ!なんだろう?」
〇黄色(ダーク)
エイリ「よかったら明日、一緒に学校行かね?」
エイリ「あーっ、ほら。俺、今一緒に行く人居なくて寂しいから、よかったら」
エイリ「なんて」
〇女の子の部屋
マキナ「えっ、珍しいなぁ」
マキナ「でも、私としても朝から賑やかで嬉しいな」
マキナ「『もちろんだよ😊』・・・と」
マキナ「あっ、早速返信きた!」
マキナ「って、家まで迎えにきてくれるの!?」
マキナ「前にも何度か送ってもらった事はあったけど、確か逆方向なんだよなぁ」
マキナ「遠いのに大丈夫かな?」
〇学生の一人部屋
エイリ「きたっ!!!」
エイリ「えーっと」
エイリ「『それって迷惑にならない?』って」
エイリ「俺がそうしたいんだから迷惑なわけないだろ!?」
エイリ「流石に最初から部屋に行くのはハードル高いし」
エイリ「家から一緒に行くのが幼馴染っぽいって思ったけど」
エイリ「難しいなぁ」
エイリ「でも、明日から一緒に行けるのか」
エイリ「──嬉しいな」
〇女の子の部屋
翌日
マキナ「よしっと」
〇家の階段
〇飾りの多い玄関
マキナ「行ってきまーす」
〇一戸建て
エイリ「よっ」
マキナ「おはよ!」
マキナ「てかごめん!待たせちゃった?」
エイリ「いや、5分前だよ」
エイリ「俺が早く来ちゃっただけ」
マキナ「チャイム押したり連絡くれたら良かったのに!ごめんね」
エイリ「俺が勝手にやってることなのにそんなこと出来ねーよ」
エイリ「ほら、行こうぜ」
マキナ(さり気なく車道側歩いてくれてる)
〇教室
エイリ「そういや、友だちから映画のチケット貰ったんだけど」
エイリ「良かったら一緒に行かね?」
マキナ(あれ?この映画って、前に私がみたいっていってたやつと同じだ)
マキナ(嬉しいけど、いつも男の子同士で行くのが多いのにどうしたんだろう?)
マキナ(──流石に、私の考えすぎだよね?)
エイリ「・・・都合悪そうか?」
マキナ「ううん!行きたいな!」
エイリ「よかった!」
エイリ「じゃあまた連絡するな」
マキナ「うん!」
〇一戸建て
デート当日
〇映画館の座席
〇テーブル席
〇公園のベンチ
マキナ「今日はありがとう」
エイリ「俺の方こそありがとな」
マキナ(やっぱりちゃんと確かめよう)
マキナ(もしも当たってたら、彼がこれからも無理しちゃうかも知れない)
マキナ「私の勘違いや自惚れだったらごめんね」
マキナ「あのチケット、本当は貰い物じゃなかったんじゃない?」
エイリ「何で?」
マキナ「いつもなら他の子誘ってるだろうし」
マキナ「何より、この間話したこととタイミングが合いすぎてるなと思って」
マキナ「朝に迎えにきてくれるのも、そうなのかなとか」
エイリ「なんだ、バレてたか」
エイリ「あーあ。カッコつかねーなぁ、俺」
マキナ「ごめん!私が余計なこと言ったから」
エイリ「違うよ」
エイリ「俺がやりたかったんだ。マキナが謝る事じゃないから」
エイリ「俺は今更、幼馴染にはなれないけど」
エイリ「少しでもそれっぽい事出来たらなって思ってた」
エイリ「でも、逆に付き合わせちゃったな。ごめん」
マキナ「そんなこと──」
〇公園のベンチ
〇公園のベンチ
マキナ(えっ、急に雨が)
エイリ「風邪ひいたらやばいし、帰ろっか」
〇一戸建て
マキナ「・・・」
マキナ「送ってくれてありがと」
エイリ「どういたしまして」
エイリ「じゃー、またな」
マキナ(今日のこともっと詳しく聞きたかったけど、やっぱり自惚れなのかな)
マキナ(エイリ、教えてよ)
マキナ(私、あなたとなら幼馴染じゃなくても──)
〇黒
ダダダダダっ
〇一戸建て
マキナ(えっ)
マキナ「あれって」
エイリ「マキナ!!!」
マキナ「エイリ・・・?」
マキナ「ど、どうしたの?」
マキナ(体中びしょびしょだし、何かあったのかな)
エイリ「はぁっ、はぁっ・・・忘れ物した」
マキナ「大変! 何忘れたの?」
エイリ「お前への告白」
マキナ「──えっ?」
エイリ「俺じゃあ、マキナの憧れの相手にはなれない」
エイリ「もっと早く出会えてたら良かったんだろうって、何度も思った」
エイリ「でも今は」
エイリ「自分勝手だけど、幼馴染以上にお前の恋人になりたいと思ってる」
マキナ「えっ」
マキナ「それって」
エイリ「マキナのことが好きです。一目惚れでした。俺と付き合ってくれませんか?」
マキナ「はい。私も好きです。よろしくお願いします」
エイリ「よろしくお願いします」
〇一戸建て
〇一戸建て
〇明るいリビング
──それから数年後
マキナ「──ってことがあってね、それがパパとママのきっかけよ」
エイリ「あの後、制服っぽい服着てデートしたしな」
ゆのか「へーっ」
マキナ(テレビの結婚特集を見て、私たちの出会いも気になったなんて)
マキナ(こうやって少しずつ大きくなっていくのね)
ゆのか「・・・ねぇ、ママ」
マキナ「どうしたの?」
ゆのか「でも、けっきょくそれって、ママのユメはかなってないんじゃないの?」
マキナ「確かにパパは幼馴染じゃないね」
マキナ「でもね」
〇一戸建て
〇明るいリビング
マキナ「あの日からもう、パパと結婚することがママの夢になったの」
マキナ「幼馴染と結婚することよりも、そっちの方が大切だった」
マキナ「それにこんなに可愛い娘も生まれて、ママはとっても幸せよ」
ゆのか「そうなんだね」
ゆのか「パパのユメは?」
エイリ「パパの夢は、出会った時から」
エイリ「何十年経っても、手を繋いでママの隣を歩くこと」
エイリ「それ以外思いつかなかった」
ゆのか「パパのゆめは今もずっとかなってるんだね」
ゆのか「えへへっ、ほんとうになかよしさんだね」
「うんっ」
〇一戸建て
憧れは、いつでも
マキナ「上書きできるんだ」
おいおい、妄想に嫉妬するとか……可愛い男子めッ!!
キュンキュンさせて頂きました😆
幼馴染みの憧れ、ありますよね😁なるほど、上書きできるんですね‼️
優しい彼の行動がとっても素敵でした✨
上書きしました、思い出しました。恋バナのバトンリレーは、幸せですねー。遠慮して、距離感かあって、思い出しきゅんの時間をいただき感謝。