出逢い、見つめ合い…(脚本)
〇駅のホーム
舘古(たちふる)駅〜、舘古駅〜、お出口は右側です──
椎名 藍凛(しいな あいり)(もう着いちゃった・・・受験超緊張する 〜!)
扉が開き降車しようとした時だった──
サラリーマン「zzz・・・っ!? あ!! 降ります降りまーーーーーーす!!!!!!!!!!!!」
ドンッ!!!!
椎名 藍凛(しいな あいり)「きゃっ!」
サラリーマン「あ、すいません!!」
そう言って男は慌ててホームを駆けて行った
椎名 藍凛(しいな あいり)「イッターい・・・もう何なのよ・・・」
〇駅のホーム
すると視界の違和感でやっと自分の異変に気付いた
椎名 藍凛(しいな あいり)「メガネ・・・!! あれ? どこ!?」
私は手探りで必死にメガネを探した
そんな私を横目に人は動き続ける
当然だ。赤の他人に関わろうとする物好きなんてそうはいない
それどころか周りからは邪魔だの退けだのと罵倒すら聞こえてくる
椎名 藍凛(しいな あいり)「もう・・・やだ・・・」
これでは受験どころじゃない。もう家に帰りたい、そう思った
〇黒
君、ちょっと・・・!
〇駅のホーム
椎名 藍凛(しいな あいり)「え、ちょっ・・・!?」
誰かが急に私の腕を引いた
???「あんな所に居たら危ないよ?」
椎名 藍凛(しいな あいり)「す、すみません・・・でもメガネが・・・」
???「もしかして、これ・・・?」
そう言って優しく私の手をとり、そっと渡してくれた
椎名 藍凛(しいな あいり)「あ、多分・・・私の・・・」
椎名 藍凛(しいな あいり)「あ・・・」
渡されたメガネを覗いて見るとヒビが入っていた
椎名 藍凛(しいな あいり)「どうしよう・・・これから受験なのに・・・」
???「受験・・・もしかして近くの舘古大学?」
椎名 藍凛(しいな あいり)「は、はい・・・」
???「そっか・・・」
男性は一瞬考えこむと、どこから出したのか別のメガネを渡してくれた
???「ちょっとこれ、かけてみて?」
〇駅のホーム
さっきと違い視界がハッキリした
椎名 藍凛(しいな あいり)「あ・・・」
そして、目の前の男性から目が離せなくなった
直琉(すぐる)「・・・やっぱり度が合わないかな?」
椎名 藍凛(しいな あいり)「い、いえ! ちゃんと見えます!」
直琉(すぐる)「良かった〜〜!! 僕ので悪いんだけど、これで何とかなるかな?」
椎名 藍凛(しいな あいり)「え、でもそちらは大丈夫なんですか?」
直琉(すぐる)「大丈夫大丈夫。予備あるから」
家に戻る時間はなく、今新しいのを調達するのは難しかった
直琉(すぐる)「可愛い後輩のためだし全然気にしなくて良いから」
椎名 藍凛(しいな あいり)「もしかして舘古大学の先輩・・・?」
直琉(すぐる)「そうそう。これも何かのご縁ってやつかなw」
椎名 藍凛(しいな あいり)「な、なら・・・お言葉に甘えさせていただきます!」
椎名 藍凛(しいな あいり)「後でお礼したいんで連絡先教えて下さ──」
間もなく、3番線に電車が到着致します──
直琉(すぐる)「あっ! ゴメン、これ乗らないと!!」
椎名 藍凛(しいな あいり)「ちょ、メガネどうしたら・・・!?」
直琉(すぐる)「次大学で会った時で良いよ〜」
腕を振りながら去って行く先輩に、私も手を振りながら──
椎名 藍凛(しいな あいり)「まだ受かってないんですけど・・・」
〇黒
これが私と先輩の出逢いだった──
〇大教室
無事に会場へ到着し、試験開始までもうすぐ
緊張していた私は、何となく借りたメガネを見つめていた
椎名 藍凛(しいな あいり)(こうなったら絶対にここ受からなきゃ ・・・!)
椎名 藍凛(しいな あいり)(そういえばイケメン、だったよね・・・?)
さっき見惚れていた笑顔が浮かんだ
椎名 藍凛(しいな あいり)(って私何やってんだろ・・・集中しないと・・・!!)
椎名 藍凛(しいな あいり)「よし、頑張ろう・・・!」
〇黒
そうして私は無事に受験を終えて──
〇大学の広場
椎名 藍凛(しいな あいり)「そういえば先輩、何であの時助けてくれたんですか?」
直琉(すぐる)「え、普通助けてるでしょ? あんな状況だったし」
椎名 藍凛(しいな あいり)「でも周りは我関せずというか、傍観者効果? でしたっけ。だから先輩に手を引かれた時は本当に驚きましたw」
直琉(すぐる)「ま、まぁ危なかったし・・・ 一目惚れだったし・・・」
椎名 藍凛(しいな あいり)「え? 今何て言いました?」
直琉(すぐる)「いや、別に・・・」
ウソ。本当は聞こえていた
だって私もそうだったから・・・
直琉(すぐる)「そ、そういえば何でコンタクトにしちゃったの?」
椎名 藍凛(しいな あいり)「えっ!? その・・・入学ついでにイメチェン・・・なんてw 変、ですか?」
本当のことなんて言える訳が無い
直琉(すぐる)「いや、全然。可愛いです・・・」
椎名 藍凛(しいな あいり)「そ、そうですか・・・良かったです・・・」
直琉(すぐる)「・・・・・・」
椎名 藍凛(しいな あいり)「・・・・・・」
数秒間、私たちは見つめ合った
私が目を瞑ると先輩が優しく手を握ってくれた
キーンコーンカーンコーン──
直琉(すぐる)「やばっ!? 講義始まっちゃう!!」
椎名 藍凛(しいな あいり)「ほ、本当ですね!! 早く行かないと!!!!」
そう、本当の事なんて言えるわけがない
メガネ同士だとキスの時
邪魔だからなんて──
最後の一文にキュンとしました!ああ、なんて可愛い恋なんだ!
ちゃんと大学受かって、二人が結ばれて良かったです~😊初々しい恋がスタートするんだろうなぁ、とニマニマしてしまいました!
メガネの交換から始まるラブストーリー、新鮮で面白かったです!最後の表現も素敵です!
メガネって、かけてる人はないとめちゃ不便ですよね。
さらっと助けられる先輩って、中身までイケメンですよ!
コンタクトレンズにした理由がかわいかったです。