甘い、先輩。

清澄 セイ

甘い、先輩。(脚本)

甘い、先輩。

清澄 セイ

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〇ネオン街
瀬尾孝介「ほら、大丈夫?ちゃんと僕に掴まって」
  同じ会社の憧れの先輩、瀬尾孝介さんと久しぶりに食事に行けるとあって、私はつい飲み過ぎてしまった。
私「うぅ・・・すいません先輩。迷惑かけちゃって」
瀬尾孝介「そんなのいいから。ほら、タクシー乗ろう?」
  そう言って優しく私の肩を支えてくれる。こんな時なのに、私の胸はドキンと高鳴った。
瀬尾孝介「僕の肩に寄りかかって、寝てていいよ。着いたら起こすから」
  瀬尾先輩は、いつだって優しい。だけど私が彼の特別じゃないことに、ズキンと胸が痛む。
私「すみません、お言葉に甘えます・・・」
瀬尾孝介「はい、どうぞ」
  先輩、あったかい。私はぎゅうっと目を瞑り、いつのまにか本当に眠ってしまった。

〇シンプルな一人暮らしの部屋
  ふと目を覚ますと、見覚えのない部屋が目の前に広がっている。それに、服も。
瀬尾孝介「あ、起きた?おはよう」
私「えっと・・・先輩?あの・・・」
瀬尾孝介「あぁ、ごめん。一人にするのが心配で、あのまま僕の部屋に連れてきたんだ。ビックリしたよね」
  ここは、先輩の部屋・・・もしかして、この着替えも先輩が・・・?
瀬尾孝介「え・・・?あ、それは違うからね?その時は君がちゃんと自分で着替えてたから!」
  照れたように慌てて否定する姿が、なんだか可愛い。
瀬尾孝介「朝ごはん用意したんだ。調子はどう?」
私「はい。おかげさまでもうすっかり」
瀬尾孝介「よかった。じゃあ、一緒に食べようか」
  嬉しそうに笑う瀬尾先輩に、私の胸はドキンと大きな音を立てた。

〇渋谷駅前
  幸い今日は土曜で、仕事は休み。瀬尾先輩に誘われて、私達は街へとやってきた。
瀬尾孝介「休みだし、やっぱり人多いね」
私「そ、そうですね(先輩にドキドキしちゃって、頭がついていかない!)」
瀬尾孝介「ほら。はぐれないように手、繋ごう?」
私「え・・・っ、あの・・・」
瀬尾孝介「ほーら、おいで」
  少しだけ強引にくいっと私の手を引く先輩。私の心臓が痛いくらいに高鳴ってる。
私「(こんなの、勘違いしちゃうよ)」
  繋がれた手が熱くて、胸がいっぱいになる。
瀬尾孝介「どうしたの?大丈夫?」
私「あ・・・はい。平気です」
瀬尾孝介「もっと側にきて、はぐれるといけないから」
私「は、はい」
瀬尾孝介「・・・可愛いなぁ、本当」
私「えっ?」
瀬尾孝介「いや?なんでも。ね、危ないからこっち」
  さりげなく人混みから私を庇ってくれる優しい先輩に、好きだという気持ちが益々大きくなる。
私「(女の子みんなに、こうなのかな・・・)」
  同時にそんな思いが浮かんできて、ふと泣きそうになった。

〇渋谷駅前
  ──今日一日、先輩と過ごした時間は凄く楽しくてあっという間。彼の彼女でも何でもない私は、この先を望めない。
瀬尾孝介「あのさ・・・」
私「は、はい」
瀬尾孝介「もしかして今日、楽しくなかった?」
私「え・・・?」
瀬尾孝介「デートだと思って浮かれてたのは僕だけ・・・かな」
私「先輩・・・」
瀬尾孝介「僕、色々強引だったよね。君の気持ちも考えずに・・・」
私「違うんです!私も今日、凄く楽しかったです。でも・・・先輩は皆に優しいから、勘違いしないようにって自分に言い聞かせて・・・」
  私の言葉に、先輩は目を見開いた。
瀬尾孝介「そんな風に思ってたの?ますますごめん。僕の言葉が、足りなかったんだね」
  先輩は私の手を掴むと、人気の少ない路地へぐいっと引いた。

〇入り組んだ路地裏
瀬尾孝介「ごめん、悲しい思いさせて。僕が優しくしたいのは、君だけだよ。嫌われたらと思うと怖くて、中々言い出せなかった」
私「瀬尾先輩・・・」
瀬尾孝介「まっすぐで頑張り屋の君が大好きだ。僕と付き合ってくれる?」
私「はい・・・もちろんです」
  私が答えると、先輩は本当に嬉しそうにはにかんだ。
瀬尾孝介「君のこと、大切にする」
  先輩はそう言って、私の体を優しく抱き寄せた。

〇シンプルな一人暮らしの部屋
私「せ、先輩・・・っ」
瀬尾孝介「んー?」
私「この体勢じゃ、ご飯食べられないですっ」
瀬尾孝介「でも離れたくないんだもん」
  先輩、子供みたい。めちゃくちゃ可愛い・・・!
瀬尾孝介「君が僕の彼女なんだって思うと、嬉しくて」
私「も、もう・・・っ」
瀬尾孝介「照れてる。かーわいい」
  甘ったるい声でそう言いながら体を擦り寄せる先輩の破壊力。心臓が破裂しそう。
瀬尾孝介「ねぇ、こっち向いて?」
私「せ、先輩・・・っ」
瀬尾孝介「まだ君の口から、好きって聞いてない」
私「え、えぇ・・・っ」
瀬尾孝介「僕のこと好きって、言って?」
私「改まって言うの、恥ずかしくて・・・」
瀬尾孝介「君の口から聞きたい、お願い」
  そんな目で見つめられたら、逆らえるわけない・・・
私「好き・・・孝介・・・」
瀬尾孝介「・・・っ」
私「先輩、顔赤い・・・」
瀬尾孝介「それはだって、君が名前呼びなんて不意打ちするから・・・」
  初めて見る、先輩の表情。彼女の私だけが見られる、特別な先輩。
私「ふふっ、可愛い・・・」
瀬尾孝介「あっ、言ったね?」
  先輩は顔を赤らめたまま、再び私をぎゅうっと抱き締める。
瀬尾孝介「覚悟しなよ?これからいっぱい、君のことドロドロになるまで甘やかしてあげるから」
  私の耳元でそう囁いて、先輩は私の唇に優しいキスを落とした。
瀬尾孝介「大好きだよ。僕の可愛い彼女サン」

コメント

  • やばいっす、興奮気味です。ピロートークは危険球 ♪
    キュンからギュンにパワーアーップ…いったん、落ち着こう。あ、とろけ注意報発令。

  • 告白後の先輩の怒涛のデレに、心臓を掴まれました!私ちゃんのテンパり具合も可愛らしかったです!とてもいい胸キュンでした!素敵な作品ありがとうございます!

  • 甘いラブストーリーいいですね!
    好きだった人からの好意って、信じられなくてドギマギしちゃいますよね。
    でも、そこからの甘さにキュンキュンしました。

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