いつか二人の二重奏(脚本)
〇古い大学
佐藤唯(やっとこの時が来た)
佐藤唯「高校時代練習の鬼になってやっと入学出来たエリートが入れる難関音楽大学、」
佐藤唯「ここできっと私は夢に向かってやり遂げて見せる!」
音大生「ねぇあなた、もしかして入学試験2位の佐藤さん?もし良かったら私達のサークルに入って!」
音大生「いやいや、俺達のチームに!」
佐藤唯「ごめんなさい!もうサークルは決まってまーす」
すかさずその場を逃げ出した
〇渡り廊下
佐藤唯「逃げ切れた」
「きゃー!神堂さーーん!」
佐藤唯「あれは」
そう、私は試験で2位、ということは1位がいる。そいつが・・・
神堂司(しんどうつかさ)
音楽界で彼を知らない人はいない、幼少時代から賞を総ナメ、音楽界のプリンスと言われている。
私は神堂が苦手だ、
あっちは生まれ持った才能、こっちは練習して掴んだ実力だもん。負けられない!
神堂司「お! 佐藤じゃん!こんなところで何してるんだよ」
何故か、いつも会うとからかってくる。
こういうところも苦手だ
佐藤唯「別にこれから入りたいサークルがあるから見に行くだけ」
神堂司「俺もなんだ 一緒にサークル棟まで行こうぜ」
佐藤唯「好きにすれば」
〇大教室
佐藤唯「もしかしてあんたも?」
神堂司「俺もここに用があるの」
佐藤唯(嘘でしょ)
福山琴音「あれ?君たちは?」
佐藤唯「すみません 私このサークルに入りたいんです」
神堂司「俺もです」
福山琴音「あれあれ? もしかして今回の入学試験1位と2位の二人じゃない?」
佐藤唯「まぁ、はい」
福山琴音「すご~い! これで私達のサークルも安泰ね」
佐藤唯「ちょっとあんた!なんでここなの?」
神堂司「ここの教師に教わりたくてね」
真壁「うん?お前たちは・・・」
福山琴音「真壁先生!新人2人が入ってきました。 しかも1位と2位です!」
佐藤唯「宜しくお願いします」
真壁「ほう王子様がここにね」
神堂司「どうも」
真壁「二人の楽器は何だ?」
神堂司「俺はヴァイオリン」
佐藤唯「わ、私もヴァイオリンです」
神堂司「!!!」
神堂司「へぇ〜」
真壁「それじゃ二人の実力を見たいから ちょっと演奏してくれ 曲は自由でいいぞ」
佐藤唯「!!」
真壁「それじゃまずお嬢ちゃんからいこうか!」
佐藤唯「は、はい!」
〇大教室
ガヤ、ガヤ、ガヤ
佐藤唯(人が増えてきた)
真壁「それじゃ始めてくれ!」
佐藤唯「は、はい」
佐藤唯「♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪〜〜〜 ♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪〜〜〜 ♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪〜〜〜」
音大生(うわ〜音がいい!)
音大生(音の表現が正確だ)
佐藤唯「ふぅ〜」
佐藤唯「ありがとうございました」
パチパチパチ(拍手)
真壁「ありがとう、 次は神堂頼む!」
神堂司「♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪〜〜〜 ♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪〜〜〜 ♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪〜〜〜」
佐藤唯(え!?)
(す、凄い!)
福山琴音(ってかこの曲、佐藤さんと同じ曲! 同じなのに違う曲に聞こえる)
佐藤唯(す、すごい やっぱり私はあいつが苦手だ)
神堂司「ありがとうございます」
うぉーーー!
パチパチパチパチパチパチ(拍手)
真壁「二人ともありがとう 二人の入団を歓迎しよう これからも宜しくな」
真壁「さっそくなんだが、夏にコンクールがある それでだな、ヴァイオリンの席を二人のどっちか出てもらう」
佐藤唯「え!」
真壁「そのため、3週間後オーディンをする! 曲は本番にする曲な!これをやってもらう」
佐藤唯(う、嘘〜!!)
〇古い大学
放課後
神堂司「おい、佐藤!」
佐藤唯「な、何よ」
神堂司「どうして、ヴァイオリンなんだ」
佐藤唯「え?」
神堂司「俺の実力ぐらい知ってるだろ いつも周りは俺と一緒の楽器しない 俺と一緒に比べられるからだ、なのにどうしてお前は?」
佐藤唯「死んじゃったお婆ちゃんの約束なの いつか大きなコンサートホールで私のヴァイオリンを聴かせてあげるからねって」
佐藤唯「だから王子様やプリンスだか知らないけど負けられないの!」
神堂司「理由はどうあれ、逃げないで立ち向かったのは褒めてやるよ だが、俺も譲ることは出来ないからオーディション覚悟しろよ」
佐藤唯「負けない!」
〇店の入口
2週間後の楽器店
佐藤唯「マスターいつも調整ありがとう」
マスター「いいってことよ そういえばあの神堂司と勝負するんだって」
佐藤唯「う、うん」
マスター「そっか、でも唯ちゃんなら大丈夫だよ 天国で先生も見てる だから、プリンスに唯ちゃんの本気見せてやれ!」
マスターはお婆ちゃんの音楽の生徒だった
だから小さい時から知り合いで時々ヴァイオリンのメンテナンスをしてくれる
佐藤唯「ありがとうマスター!」
マスター「ところで弦は替えなくて大丈夫か?」
佐藤唯「うん、今いい音が出てるからこのままでいいかなって」
マスター「そっか、オーディション頑張れよ!」
〇大教室
オーディション当日
控室
佐藤唯「よし本番前に調整しとくか」
ギィ‥‥パチン
佐藤唯「え?」
神堂司「おい、そろそろ本番だぞ」
佐藤唯「ぐすん(泣)」
神堂司「おいどうした?」
佐藤唯「弦が切れちゃった」
神堂司「お前それより手から血が出てるぞ」
佐藤唯「嘘、気づかなかった」
神堂司「ちょっと手を貸せ、怪我の具合みてやる」
佐藤唯「大丈夫だよ、それよりヴァイオリンが」
神堂司「ヴァイオリンより演奏者のお前が弾けなかったら意味ないだろ!」
佐藤唯(ドキッ!)
佐藤唯「ご、ごめん」
彼は私の手を握って治療してくれた時
なんかすごいドキドキしてしまった
神堂司「よし大丈夫だな」
佐藤唯「あ、ありがとう」
佐藤唯「治療上手いんだね」
神堂司「ガキの時ヴァイオリンの先生に教えてもらったんだ 俺もこのくらい大丈夫だって言ったら」
神堂司「楽器は修理すれば良いけど人間はちょっとした怪我でもう音楽が出来なくなってしまうんだよって言われたんだ」
佐藤唯「え?それって」
昔私も子供のころ言われたような気がした
神堂司「それよりオーディション行くぞ 怪我してるからって手加減しねぇーぞ」
佐藤唯「わ、私だって負けない」
〇劇場の舞台
真壁(本当は二人とも合格したいけど オーディションしてお互いうまくなろうとする)
真壁(先生、二人の教え子はとても大きくなりましたよ)
聴いてみたいね
「いつかふたりの二重奏」を
fin
お互いに好きなものには一直線で、だからこそ理解者になり得る者同士なのかな、と思いながら物語を読んでました!青春の爽やかさもあり、スカッとしたキュンがありました!
素敵な作品ありがとうございます!
お互いをよく見ているライバル同士の2人だから、恋愛関係にも発展しやすいのかもしれませんね。
音楽経験者なのかな?と思う丁寧な描写でした。
ふとした瞬間の恋の始まりって、良いテーマですね!
すごく青春してて読んでてキュンキュンしました!
バイオリンの音が聞こえてくるような感じです。
二人ともがんばってますよね。応援したくなります!