「動物喫茶もふもふ」の秘密

久望 蜜

エピソード1(脚本)

「動物喫茶もふもふ」の秘密

久望 蜜

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〇店の入口
カズミ「何かバイトでも始めようかな・・・・・・。 あ、このお店バイト募集してる! 『動物喫茶もふもふ』?」
犬「ワン!」
カズミ「あれ? どうしたの? 迷子?」
犬「ワンワン!」
カズミ「い、いつの間にか囲まれている!? しかも、何か獲物を狙う目をしているような・・・・・・」
???「おーい、君らどこ行くん? 急に走るなって、いつも行っとるやないか!」
カズミ(わあ、すごいイケメン!)
オーナー「っと、すんまへん。 ウチの犬どもがえらい迷惑かけて・・・・・・」
カズミ「いえ、こちらこそ!」
オーナー「うん? 君・・・・・・ああ、なるほど。 そういうことか・・・・・・」
カズミ(な、何!? 何かすごい見られてるんだけど!!)
オーナー「君、ウチの店でバイトしてみいひん? ここなんやけど」
カズミ「へ? まあ今ちょうどバイト募集の貼り紙見てましたけど・・・・・・」
オーナー「ホンマ? ならお茶でも飲んでいかん?」
カズミ「はあ・・・・・・」
オーナー(この子はいいエサになりそうやな・・・・・・)

〇シックなカフェ
カズミ「わあ、中にも動物がいっぱい! カワイイ!」
オーナー「ウチの店は動物とふれあえるのがウリなんや。条件が合えば、譲渡もしとる。 あと、薬品も扱ってはいるけど、それはおいおいな」
カズミ(薬品? ペットの薬とかかな?)
オーナー「正直、他の動物カフェよりはラクやと思うよ? この子たち、エサいらんし」
カズミ「は? まさか虐待・・・・・・」
オーナー「あ、ちゃうちゃう! この子たちは──」
和泉「邪魔するわね。 頼んでいた薬、できたかしら?」
オーナー「いらっしゃいませ、和泉さま! できておりますよ」
カズミ(変わり身早っ! 営業モードだ・・・・・・)
和泉「あと、新しい使い魔もお願いできる?」
オーナー「ええ、大丈夫ですよ。 この子なんてどうです?」
犬「よろしくワン!」
カズミ「犬がしゃべった!?」
和泉「あら、新人さん? 魔力量が多そうね」
カズミ「あの、ええと・・・・・・」
オーナー「カズミさん、ここの動物たちは皆んな、使い魔なんですよ」
カズミ「使い魔?」
オーナー「魔術で使役する動物たちです。 使い魔は食べものではなく、主の魔力を食べます」
オーナー「ただ、この子たちにはまだ主がいません。 そこで、お店に来たお客さんの魔力を吸収させてもらっています」
和泉「普通の人間からも微弱ながら魔力は出ているからね。 客からお金をとりつつ魔力も搾取するなんて、食えないオーナーでしょ?」
オーナー「和泉さま、それは些か口がお悪いかと・・・・・・。 カズミさん、ここでは他にも魔術関連の道具をたくさんとり扱っています」
カズミ「はあ・・・・・・」
カズミ(何? この状況・・・・・・魔術なんてホントにあるの?)
和泉「ちょうどいいわ。 地下も見せてもらえるかしら?」
オーナー「はい、もちろんです。地下にあるのは、表に出せないような魔術道具をおいてあります。 カズミさんもどうぞ」

〇研究所の中
オーナー「ここが地下室です」
カズミ(見なれないものばっかり。 これ、ミイラ? まさか本物なわけないよね? 考えないでおこう・・・・・・)
カズミ(あ、この瓶何だろ。すごくキレイ。 その横には何故かおいしそうなケーキがおいてあるけど・・・・・・)
和泉「マンドラゴラの粉末を切らしていたのだったわ。 あと、何か掘りだしものはあるかしら?」
オーナー「それでしたら、人魚の涙などどうです?」
和泉「いいわね。それもいただくわ。 お会計は────」
カズミ(き、聞きなれない単語が飛びかっている・・・・・・)
カズミ(つい来ちゃったけど、早く帰ったほうがよさそう。 まさか、とって喰われるわけではないと思うけど・・・・・・)
和泉「さて、じゃあわたしは用がすんだから帰るわね。 お嬢さんはゆっくり見ていきなさいな」
カズミ「はい・・・・・・」
カズミ(いや、わたしも帰りたいんだけど)
和泉「そうそう、魔力は使い魔たちに吸われすぎないようにね。 死んでしまうから。それじゃあね」
カズミ「へ?」
カズミ(あ、いけない! 瓶の中身をケーキにぶちまけちゃった! いや、それよりも不穏な言葉を残して帰らないでよ、お姉さん!!)
オーナー「やれやれ・・・・・・。 そない怯えんでも、大丈夫や。そのために、魔力量の多い君をスカウトしたんやから」
カズミ「それって、わたしはエサってことですよね? やっぱり、帰りま──」
カズミ(何? 後ろからすごい音が・・・・・・)
ケーキ「ケー!」
カズミ「え? さっきのケーキが巨大化してる? どうして?」
ケーキ「ケーキー!!」
カズミ「ダメだ、逃げきれない・・・・・・潰される・・・・・・!」
カズミ「ん・・・・・・あれ、痛くない?」
オーナー「う・・・・・・」
カズミ「オーナー! わたしを庇ってくれたんですか!? 血が出てる・・・・・・! どうしよう、わたしのせいで・・・・・・」
オーナー「何もあらへん、かすり傷や。 それより、君は無事か?」
カズミ「はい・・・・・・」
オーナー「君、ケーキに入れよ思ておいてあった惚れ薬の瓶に、触ったやろ?」
カズミ「すみません・・・・・・。 アレって惚れ薬だったんですか・・・・・・」
オーナー「薬は用法用量を守って使わなあかんで?」
カズミ「いや、それより、あのケーキどうするんです!?」
オーナー「マミー! 頼むで!」
カズミ「キャー! ミイラが動いた!?」
ケーキ「キー・・・・・・」
カズミ「あ、ケーキがもとの大きさに戻った・・・・・・」
オーナー「助かったわ。ありがとさん」
カズミ「オーナーもありがとうございました。 でも、何でさっき、わたしを庇ってくれたんですか?」
オーナー「そりゃ、僕にとってカズミちゃんは大切な存在なんやから、当然やろ」
カズミ(それって・・・・・・)
オーナー「君の魔力量があれば、使い魔どもが食いっぱぐれんやんか」
カズミ(あ、やっぱりそういう意味か・・・・・・)

コメント

  • これからここで働く事になるヒロインちゃんと食えない店主の様々な攻防戦が始まりそうな予感のする作品でした!ファンタジー要素が全体のスパイスになっていて、とても面白かったです!素敵な物語、ありがとうございました!

  • 会話中心なのでテンポ良く、サクサク読めました。関西弁のオーナーさんは、やり手ですね〜。
    続きが見たくなりました😆

  • タイトルがかわいいと思って読みましたが、ただのかわいいもふもふ動物喫茶じゃありませんでしたね…。オーナーがいかにもなイケメンでカッコいい、だけじゃないところに魅力を感じます。彼女はこの後どうなっていくんでしょうか…

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