記憶蘇る(脚本)
〇まっすぐの廊下
(チャイムの音)キーンコーンカーンコーン
先生「みんなさよなら〜気をつけて帰ってね!」
ナオト「先生、さようなら!」
カズ「さようなら〜!」
〇学校の裏門
シュン「おっす!」
カズ「よっし!揃ったな!帰ろか!」
黒猫「・・・ミャオ」
カズ「・・・何だ今の!?」
ナオト「・・・!?」
シュン「!?」
〇渋谷駅前
カズは渋谷で育った小学生。
今日もいつもの帰り道を、
いつものメンツと歩いていた。
ナオト「今日は何して遊ぶ〜?」
カズ「この広い渋谷でかくれんぼするのはどう? 楽しそうじゃない?」
シュン「こんな広くて、人が沢山いるのに見つけられっこないよ。」
カズ「やってみなきゃ分かんないだろ! やろやろ!」
3人はかくれんぼをすることにした。
じゃんけんぽん✊✌️🖐
ナオト「✊」
カズ「✊」
シュン「✌️」
シュン「鬼だ〜。。」
シュン「3分後に探すね!! い〜ち、に〜、さ〜ん・・・」
〇センター街
カズ「どこに隠れようかな」
黒猫「・・・ミャオ」
〇ビルの裏
カズはセンター街の路地裏に隠れた。
カズ「ここならバレなさそうだ!!」
カズ「さっきの不思議な風だ。」
(キョロキョロ)
カズは周りを見渡した。
黒猫「・・・ミャオ」
カズ「さっきの!!!」
カズ「ちょ、ちょっと待って!!」
シュン「み〜つけた」
カズ「!?」
シュン「意外と見つけられるもんなんだな」
カズ「・・・今さ、 あっ、やっぱ何でもない」
ナオト「じゃ、そろそろ暗くなりそうだし帰ろっか」
カズ「う、うん」
シュン「じゃまた明日〜」
ナオト「バイバイ!」
カズ「う、うん。・・・また明日」
〇美容院
カズは渋谷にあるお母さんの仕事場に着いた。
学校終わって、友達と遊んで、
お母さんのお店で仕事が終わるのを待つ。
いつものカズの流れだ。
(カランカラン)
カズ「ただいま」
カズのママ「おかえり、カズ!」
(カランカラン)
カズのママ「いらっしゃいま・・・」
・・・・・・
カズのママ「・・・あれ、誰もいないわ」
〇シンプルな玄関
カズのママ「おかしいわね・・・」
カズ「────!?」
カズ「あっ!さっきの猫!」
カズ「ちょっと待って!」
カズ「お母さん!ちょっと出る!」
〇センター街
カズは走って猫を追いかけた。
今度は見逃すまいと必死で追いかけた。
黒猫「ニャオ・・・」
猫は急いでいない。
カズをチラチラ見ながら、
こっちにおいでと呼んでいるように見えた。
〇ハチ公前
(キョロキョロ)
カズ「あれ、どこだ」
見失ってしまった・・・
段ボールがゴソゴソ動いている
カズは恐る恐る近づいた
仔犬「ワン」
小さな仔犬がいた。
仔犬「ワン!ワン!」
仔犬はカズに懐いてる。
カズは小さな仔犬を抱きかかえた。
初めて会ったはずの仔犬。
なぜか懐かしい眼差し。
なぜか懐かしい温もり。
カズが眼を閉じた途端全ての記憶が蘇る。
カズ「ハチ・・・」
仔犬「ワン」
カズ「何度も生まれ変わって、 何度も僕をこの場所で待っててくれていたんだね」
カズ「ハチ・・・」
ハチの温かい体から伝わる熱が
小さなカズの手に伝わった。
ハチの心の声が全てカズには分かった
〇ハチ公前
隣をおじいさんと白い犬が通り過ぎた。
カズとハチは同時に目が合った。
カズ「昔の僕たちのようだね」
仔犬「ワン!」
さっきの猫がこっちを見ている。
カズには黒猫が微笑んでいるように見えた。
カズ「あの猫は僕たちを再び会わせるお手伝いをしてくれたんだね」
1925年・・・
飼い主が大好きだったハチ・・・
飼い主の死後も約10年に渡って、
渋谷駅前で帰りを待ち続けたハチ。
やっと会えたハチと上野先生・・・
97年越しの再会だった。
カズ「ハチ、ずっと待っててくれたんだね」
完
素敵なお話でした。
長い年月を経て、やっと再び巡り会えた二人がすごくよかったです。
猫ちゃんのナビゲートもいいですよね。
雰囲気が出て、神秘的な感じがしました。
私たちは皆気づいてないだけで、この2人のように生まれ変わってまた大切な存在に再び会って、時間を重ねているのかもしれませんね。再会と気づけてよかったです。心があたたかくなりました。
忠犬ハチ公の話を思い出し心から切ないなと、お互いに精一杯の愛情を注ぎ注がれ過ごした日々だったのだと思いました。今を大切にしようと思う物語でした。