やーしぶ暮らし!

ぷちり

やーしぶ暮らし!(脚本)

やーしぶ暮らし!

ぷちり

今すぐ読む

やーしぶ暮らし!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇改札口
  ────ガコンッ
奏太(かなた)「わっ、めんどくさ・・・」
真琴(まこと)「おおっ!? 初手トラップを仕掛けてくるなんて さすが渋谷!!!」
奏太(かなた)「お前ホント、ポジティブだな・・・」
奏太(かなた)「ほら、あっちでチャージするぞ」
真琴(まこと)「はーい」

〇渋谷駅前
真琴(まこと)「ふぁ〜!! やっと息が吸えるっ!」
奏太(かなた)「電車降りても、人が多いな・・・」
  山手線に乗ること約一時間。
  俺たち兄妹は、初めて渋谷に降り立った。
  妹の真琴(まこと)に頼まれて、
  第一志望の学校の下見に来たのだ。
  頼まれた──というよりは
  無理矢理、引っ張り出されたのだが。
真琴(まこと)「わっ!お兄ちゃん見て見て!」
真琴(まこと)「スマホガン見で突っ立ってる人が多すぎて せっかくのハチ公が見えない!!」
奏太(かなた)「あの犬の石像か・・・ 想像してたサイズの半分くらいだな」
奏太(かなた)「そんなに見たいなら、肩車でもするか?」
真琴(まこと)「えっ! い、いらないっ!!」
奏太(かなた)「ったく、賑やかなんだから・・・」
  真琴は3つ離れた妹で、
  明るくて賑やかで小さくてそそっかしくて
  とにかく目を離すことができない。
  もう高校生になるのだから、
  ちょっとくらいはお淑やかになっても
  いいと思ったりもするんだが。
  振り回されながら、ずっと見続けている
  俺の気持ちも汲んでほしいところだ。
奏太(かなた)「・・・で、ハチ公は見れたのか?」
真琴(まこと)「人の隙間から なんとか、ちょぉっとだけ・・・」
奏太(かなた)「結構な執念だな・・・」
奏太(かなた)「で、どの方向に行くんだ?」
真琴(まこと)「フフン、事前調査はバッチリなのだよ というわけで、あっちだー!」
奏太(かなた)「・・・高校生か・・・」

〇渋谷の雑踏
真琴(まこと)「・・・っとと、 まずは交差点を渡るんだっけ」
奏太(かなた)「恐ろしいくらい人がいるな」
真琴(まこと)「横断歩道もおっき〜い!」
奏太(かなた)「何に対して、そんなに テンションが上がるんだ・・・?」
真琴(まこと)「ん〜と、 人が行き交うのがロマンティックで 楽しいとか?」
奏太(かなた)「ロマン・・・?」
真琴(まこと)「すれ違うだけかもしれないけど、 もしかしたら何か関わりが生まれたり することもあるよね、っていう」
真琴(まこと)「そんな感じっ」
奏太(かなた)「なるほどねぇ・・・」

〇渋谷駅前
真琴(まこと)「あっ! 巨大スクリーン!!」
真琴(まこと)「すごいすごい!おっきい!! 新曲ランキング流れてる!!」
真琴(まこと)「でも、ちょっと爆音すぎるなぁ・・・」
奏太(かなた)「そこは気にするのか・・・」
真琴(まこと)「まーでも、知らない音楽とか 聴こえたら楽しそう!」
奏太(かなた)「切り替え速ッ」
奏太(かなた)「んで、行きたい所あるんだろ?」
真琴(まこと)「あるあるっ! 初めての経験しちゃうぞ〜!」

〇カウンター席
真琴(まこと)「わはーっ!! 憧れの渋谷スイーツっ!!」
奏太(かなた)「合格の前祝い、だからな」
真琴(まこと)「!!」
奏太(かなた)「よ〜く味わって、 喜びを噛み締めて食べるんだぞ?」
真琴(まこと)「ほぇ・・・」
真琴(まこと)「うん、わかった」

〇渋谷のスクランブル交差点
真琴(まこと)「フッ・・・ これでもう渋谷はコンプリートしたね」
奏太(かなた)「駅出て交差点渡っただけ、だけどな」
奏太(かなた)「で、肝心の学校は?」
真琴(まこと)「あ、うんっ あっちだよ!」
奏太(かなた)「落ち着きは足りないけど、 ああいうとこはしっかりしてるんだよなぁ」
奏太(かなた)「ホント、俺と似てない」

〇大学の広場
奏太(かなた)「・・・・・・広っ」
真琴(まこと)「おお〜!! 写真で見てたけど、やっぱりキレイっ!」
奏太(かなた)「これは、かなり羨ましい・・・」
真琴(まこと)「ふふ〜ん♪ 私の明晰な頭脳に嫉妬してくれたまえっ!」
奏太(かなた)「それは合格ってから言おうな」
奏太(かなた)「ま、そもそも父さんたちにも 感謝しろよ」
奏太(かなた)「俺も同じだけど」
真琴(まこと)「・・・・・・」
真琴(まこと)「・・・うん」

〇渋谷駅前
真琴(まこと)「は〜! すっかり渋谷を満喫したねぇ」
奏太(かなた)「ま、当初の目的は達成 ってところか」
奏太(かなた)「ま、もし合格したら寮に入るんだし、 もうちょっとだけでも落ち着いて 行動しろよ」
真琴(まこと)「・・・寮?」
奏太(かなた)「え、お前の受ける高校 寮あるんだろ?」
奏太(かなた)「家からそこそこ遠いし、 そこ入るんじゃ・・・」
真琴(まこと)「私、家から通うよ?」
奏太(かなた)「えっ!?」
真琴(まこと)「お兄ちゃんの受ける大学も 渋谷でしょ?」
真琴(まこと)「今日みたいに、お兄ちゃんと電車に乗って 一緒に学校行くんだよ!」
奏太(かなた)「一緒に・・・!?」
真琴(まこと)「そうだよっ」
真琴(まこと)「毎日、お兄ちゃんと通学して〜 毎日、渋谷スイーツおごってもらうんだっ♪」
奏太(かなた)「お目当てはソレかい・・・」
真琴(まこと)「ふふんっ♪」

〇改札口
  ────ピッ
真琴(まこと)「おぉっ!! オートチャージ便利すぎるっ!!」
奏太(かなた)「お前、ホントいい性格してるな・・・」
奏太(かなた)「んじゃ、行くぞっ」
真琴(まこと)「うぃっす!!」
  やーしぶ暮らし!
  
  START!

コメント

  • こんな可愛くて無邪気で、しかも少し危なっかしい感じもある妹さん、ほっておけないお兄さんの気持ちがわかる気がします。しかも、「お兄ちゃんとこれからもいつも一緒っ」て言葉にして甘えてくれる妹は兄冥利につきるでしょうね。

  • こんな可愛い兄妹いるんですね。二人のやりとり聞いているだけで嫌な事忘れてしまえるくらい心地よかったです。春から是非二人で一緒に通学して新生活エンジョイしてほしいです。

  • 楽しい兄弟だなぁって思いました。仲良くていいですね。
    妹さんの根っから明るいところとか好きです!
    何気な渋谷の街が、テーマパークみたいに感じられるんです。

コメントをもっと見る(5件)

ページTOPへ