トンネル様

吉良吉良浪漫

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〇山間の集落
  ここは山の奥の片田舎の村

〇山奥のトンネル
  ここにはかつて、街へと続く
  唯一の道をつなぐトンネルがあった
  しかし、今はほかの道が作られ、
  このトンネルは使われなくなっていた

〇山奥のトンネル
小太郎「・・・・・・トンネルだ」
小太郎「はじめて見た」
小太郎「なんのトンネルなんだろう」
少女「・・・・・・」
小太郎「トンネルのまえにだれかいる」
小太郎「なにしてるんだろう」
小太郎「・・・・・・あそびにさそってみよう」
小太郎「こんにちは!」
少女「・・・・・・こんにちは」
小太郎「なにしてるの?」
少女「なにもしてない」
小太郎「え、なんで!?」
少女「なんでって」
少女「やることがないから・・・・・・」
小太郎「そんなことないよ!」
小太郎「だってこのむらにはいろいろなたのしいものがあるんだから!」
小太郎「山のけものみちでしょ?」
小太郎「どんぐりの木に・・・・・・」
小太郎「あ、田んぼにザリガニとかもいるよ!」
少女「・・・・・・」
小太郎「しらないならボクがおしえてあげるよ!」
小太郎「だから、いっしょにいこ?」
少女「・・・・・・」
少女「・・・・・・うん」

〇田園風景
小太郎「ほらみて!」
小太郎「ここにはたくさんいきものがいるんだ!」
少女「ほんとだ」
小太郎「ドジョウだろ?アメンボだろ?」
小太郎「あ、ほら!」
小太郎「あそこにタガメがいるよ!」
少女「いるね」
小太郎「・・・・・・もしかして」
小太郎「あんまりたのしくない?」
少女「ううん、たのしいよ」
小太郎「ほんと!?」
小太郎「よかった~」
小太郎「ほかにもたのしいところはもっとたくさんあるんだ!」
小太郎「いこ!」
少女「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少女「・・・・・・」

〇森の中
小太郎「ここはやまのもりだよ!」
小太郎「ほんとはおばあちゃんにきちゃだめっていわれてるけど・・・・・・」
小太郎「おもしろいものがいろいろたくさんあるし・・・・・・」
小太郎「ひろいからいろいろなことができるんだ!」
小太郎「おにごっこしよ!」
少女「・・・・・・いいよ」
小太郎「じゃあぼくがおにね!」
小太郎「いくよ!」
「~10分後~」
小太郎「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
小太郎「ぜんぜんおいつけない・・・・・・」
少女「・・・・・・ごめん」
小太郎「なんであやまるの!」
小太郎「あんなはやくはしれるなんてすごいよ!」
少女「・・・・・・ん」
小太郎「ボクもまだまだだね」
小太郎「つぎはなにしよっか?」
少女「・・・・・・」

〇農村
小太郎「あ~たのしかった」
少女「うん、たのしかった」
小太郎「ほんとに!?」
少女「うん」
小太郎「そっか!」
小太郎「たのしんでくれてよかった!」
少女「つぎはなにをするの?」
小太郎「まだあそびたいんだけど・・・・・・」
小太郎「もうひがくれるからかえらなきゃ」
少女「そっか・・・・・・」
小太郎「またあしたあそぼ!」
少女「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少女「うん、またあした」
小太郎「またあした!」
少女「・・・・・・」

〇農村

〇山奥のトンネル
小太郎「きたよ~!」
小太郎「あそぼ~!」
「・・・・・・」
小太郎「あれ?」
小太郎「お~い!」
小太郎「あそぼー!」
「・・・・・・」
小太郎「・・・・・・いないの?」

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル
小太郎「きたよ~!」
「・・・・・・」
小太郎「・・・・・・」
小太郎「・・・・・・」

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル
小太郎「・・・・・・」
小太郎「・・・・・・」

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル

〇山奥のトンネル
小太郎「・・・・・・どこいっちゃったの」

〇寂れた村
小太郎「・・・・・・」
おばあちゃん「小太郎?」
おばあちゃん「どうしたんだいそんな顔して」
小太郎「・・・・・・おばあちゃん」
おばあちゃん「そんな顔してたら幸せが逃げちまうよ」
おばあちゃん「それともなんだい?」
おばあちゃん「好きな子にフラれでもしたのかい?」
小太郎「うぅ・・・・・・」
おばあちゃん「・・・・・・あれ、当たり?」

〇寂れた村
おばあちゃん「そうかい」
おばあちゃん「一緒に遊んだ子がいなくなったと」
小太郎「うん・・・・・・」
小太郎「やくそくしたんだ、またあそぼって」
小太郎「でもあえなくて」
小太郎「いなくて・・・・・・」
おばあちゃん「それはもしかしたら トンネル様かもしれないね」
小太郎「トンネルさま?」
おばあちゃん「トンネルの前で会ったんだろ?」
おばあちゃん「なら間違いないよ」
小太郎「トンネルさまって?」
おばあちゃん「守り神様だよ」

〇山奥のトンネル
  あのトンネルは昔、
  街へと続く唯一の道でね
  それはそれは大切にしていたもんさ
  年に一度に捧げものをしたりしてね
  いつからか、人の姿で神様が出てくるようになった
  かわいらしい女の子の姿でね
  村の皆がかわいがっていた
  ある日、一人の男が神様をトンネルから連れ出してみたんだ
  そしたら神様は姿を見せなくなったんだ
  神様の怒りに触れたとして男は処刑された
  それから五十年ほど経った頃
  神様がまた姿を見せるようになった
  でもその頃にはすでに街へ行く新しい道ができていてね
  トンネルはもう使われなくなっていて
  誰もかれも神様のことなんて忘れてしまっていたんだ

〇寂れた村
おばあちゃん「昔はみんなありがたがっていたのにね」
小太郎「じゃあ、ぼくがトンネルのそとにつれてったから」
小太郎「だからあの子はまた消えちゃったの?」
おばあちゃん「そうだね」
小太郎「ぼく・・・・・・」
おばあちゃん「でも悲しまなくていいんだよ」
小太郎「え?」
おばあちゃん「きっと、トンネル様も楽しかったはずだよ」
おばあちゃん「久しぶりに誰かと遊べて」
おばあちゃん「ね?」
小太郎「でも・・・・・・でも・・・・・・」
小太郎「うわぁぁぁん」
おばあちゃん「よしよし」
おばあちゃん「大丈夫大丈夫」
おばあちゃん「きっと、また会えるからね」
おばあちゃん「大丈夫」

〇山奥のトンネル
  ~数年後~
小太郎「やっとここまで来た」
小太郎「トンネルを利用した新たな物流ルート」
小太郎「これが完成すればこのトンネルはまた人の行き来がある場所になるはず」
小太郎「・・・・・・」
小太郎「・・・・・・」
小太郎「きっとまた会える」
小太郎「そのときはきっと」
小太郎「前よりもにぎやかに!!」
  終わり

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