一緒に渋谷に行きたかったんだ

たーそん

エピソード1(脚本)

一緒に渋谷に行きたかったんだ

たーそん

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〇渋谷のスクランブル交差点
晴斗(はると)「わぁ! 渋谷のスクランブル交差点って、こんなに広いんだ!」
漣(れん)「おい、あんまり離れるなよ」
晴斗(はると)「ごめん、ごめん。 離れないから安心して」

〇テレビスタジオ
ニュースキャスター「昨日未明、女子高校生が自宅の一室で何者かに殺害されているのが発見されました」
ニュースキャスター「犯人はいまだ特定されておらず、現在捜索中との事です」

〇渋谷駅前
晴斗(はると)「へぇ。ニュースとか映るんだぁ」
漣(れん)「それで渋谷まで来たけど、どこに行くんだ?」
晴斗(はると)「え~っと、何も決めてない!」
漣(れん)「は?」
晴斗(はると)「いいじゃん! 色々見て回ろうよ!」
漣(れん)「全くお前は・・・・・・まぁ、いいか」
女子「ねぇねぇ、そこの君、お茶しない?」
漣(れん)「・・・・・・えっ」
晴斗(はると)「えぇ?! 歩いてただけなのに、お茶に誘われちゃったよ!」
晴斗(はると)「東京すごい!」
女子「あのぉ・・・・・・?」
漣(れん)「す、すみません。俺たちこれから行く所あるので・・・・・・」
晴斗(はると)「えへへ、そうなんです。すみません」
女子「あ、待って!」
晴斗(はると)「・・・・・・」
漣(れん)「しつこいです」
女子「ご、ごめんなさい・・・・・・」
晴斗(はると)「・・・・・・あ! いい感じのお店あるよ!」
晴斗(はると)「しかも、タピオカだって! 飲んでみたかったんだよね~。入ろ入ろ!」
漣(れん)「おい、 引っ張るな!」
晴斗(はると)「えへへ!」
漣(れん)「全く・・・・・・」

〇テーブル席
晴斗(はると)「すみませぇん!  タピオカミルクティー2つ!  あとこのケーキも2つ!」
ウェイトレス「え? か、かしこまりました!」
漣(れん)「変なテンションで店員さんに絡むなよ。 可愛そうだろ」
「漣はお母さんみたいだよね!」
晴斗(はると)「・・・・・・本当のお母さんになってくれればいいのにな」
漣(れん)「ははっ。こんな手のかかる子、お断りだね」
晴斗(はると)「そんなこと言って、いつも助けてくれるくせに」
晴斗(はると)「ふふ、大好き」
漣(れん)「まったく、調子の良いやつ・・・・・・」
  数分後
「ん~! このケーキ美味しい!」
漣(れん)「・・・・・・!」
晴斗(はると)「どうしたの?」
晴斗(はると)「あ、タピオカ初めて?  漣は流行に疎いもんね」
漣(れん)「・・・・・・疎くて悪かったな」
漣(れん)「タピオカってこんなに柔らかくて美味しんだな・・・・・・知らなかったよ」
晴斗(はると)「ふふ、昔一緒にケーキ食べた時も同じような顔してたよね」
晴斗(はると)「・・・・・・本当、可愛いだから(小声)」
漣(れん)「おい、聞こえてるぞ。 子ども扱いするの、やめろ」
晴斗(はると)「えへへ、ごめんごめん」

〇店の入口
晴斗(はると)「はぁ。おなか一杯になっちゃったね」
漣(れん)「それで、次はどこ行くんだ?」
漣(れん)「どこか思いついたって、さっき言ってたけど」
晴斗(はると)「そうそう! とっておきの場所思い出したんだ! こっち!」
漣(れん)「だから、引っ張るなって!」

〇SHIBUYA SKY
漣(れん)「すっかり夕方になったな」
晴斗(はると)「ごめん!  まさか、入場チケットが必要だなんて思ってなくて!」
晴斗(はると)「こんなに人気だったとは・・・・・・ さすが渋谷・・・・・・」
漣(れん)「確かに、チケット買うのに並んだのも驚いたし」
漣(れん)「20分しか居られないのも驚きだよな」
晴斗(はると)「ね、本当ビックリだよ」
漣(れん)「まぁ、見晴らしが良いし、人気なのも分かる」
漣(れん)「それに、ありがとうな、晴斗」
晴斗(はると)「え?」
漣(れん)「本当は俺の為に考えてくれてたんだろ?」
漣(れん)「由紀に予定すっぽかされた俺の為にさ」
漣(れん)「昨日から連絡がつかなくて、何か嫌われるような事したかな・・・・・・」
晴斗(はると)「由紀ってやつ、本当勝手だよな」
晴斗(はると)「こんなに良い男との約束をすっぽかすなんて」
晴斗(はると)「俺なら、絶対そんな事しないのに・・・・・・」
晴斗(はると)「よし、俺が明日ガツンと言ってやるよ!」
警察官「そこの君」
晴斗(はると)「え?」
漣(れん)「?!」
警察官「君、白沢晴斗くんだね?」
晴斗(はると)「そ、そうですけど?」
  ざわざわと周りが気づき始め、様子を伺っていた。
漣(れん)「お前、何かしでかしたのか?」
晴斗(はると)「いやいや、そんな警察にお世話になるような事するわけないし!」
警察官「・・・・・・誰と話してるんだ?」
晴斗(はると)「誰って・・・・・・隣にいる、漣にだけど・・・・・・」
警察官「漣? まさか、木島漣くんのことか?」
晴斗(はると)「え、はい・・・・・・」
漣(れん)「?」
警察官「君に逮捕状が出ている・・・・・・ 女子校生殺害事件、増田由紀さん殺害の容疑者の」
晴斗(はると)「え?!」
警察官「それと、木島漣くんも行方不明だ」
晴斗(はると)「嘘だ! だって、漣とは今日1日 一緒にいたのに!」
警察官「君、まさか・・・・・・」
  晴斗は、大きなリュックをぎゅっと抱きしめた
晴斗(はると)「だって、だって・・・・・・漣がいけないんだ!」
晴斗(はると)「勝手に彼女なんか作って・・・・・・、 俺が一番だって言ってくれていたのに!!」
晴斗(はると)「だから、あの女がいなくなれば、また俺のところに戻ってくれると思ってたのに・・・・・・!」
晴斗(はると)「でも、女を殺したのがバレちゃって・・・・・・くそ!」
晴斗(はると)「どうしてこう間が悪いんだ! どいつもこいつも!!」
  警官が晴斗に銃を構えた
警察官「バッグを下ろして手を挙げなさい!」

〇血まみれの部屋
  昨日未明
漣(れん)「信じられない・・・・・・! この、人殺し!!!」
晴斗(はると)「そんな、だって・・・・・・元はと言えば漣がいけないんだよ?」
晴斗(はると)「俺がいるのに、他の女なんかと・・・・・・」
晴斗(はると)「俺を一番だって言ったくせに!」
漣(れん)「意味わかんねぇよ! お前としゃべったことねぇし!!」
漣(れん)「いつもジロジロ見やがって!  気持ち悪いんだよ!!」
晴斗(はると)「な、なんでそんなウソつくの・・・・・・?」
漣(れん)「くそ、頭イカれてやがる・・・・・・! 今すぐ110番に・・・・・・!!」
晴斗(はると)「・・・・・・じゃない」
漣(れん)「くそ、スマホどこだ?」
晴斗(はると)「お前なんか、漣じゃない!! 漣を返せ!」
  晴斗は、由紀に刺した刃物で漣を刺した。
漣(れん)「うぐっ!」
晴斗(はると)「漣! 漣!! 漣、どこ?!!」
  晴斗は、ぐさぐさと何度も刺した。
漣(れん)「・・・・・・」
  晴斗は、動かなくなった漣を抱きしめた。
晴斗(はると)「・・・・・・えへへ、 これでずっと一緒だね」

〇SHIBUYA SKY
晴斗(はると)「やめて! 離して!!」
  警察官が晴斗のバッグを奪った。中には・・・・・・
警察官「うっ・・・・・・」
晴斗(はると)「漣!!! 漣を返して!!!」

コメント

  • 読み終わった後でタイトルを見て怖さが倍増しました。リュックの中身が!「一緒に渋谷に来ていたつもり」ではなくて、本当に一緒に渋谷に来てたんだ~。ナンパ女性や喫茶店のウエイトレスの不自然な反応も一人しかいないことの伏線でしたね。何よりも怖いのは晴斗と漣はそもそも知り合いですらなく、一方的な妄想だったことです。細かいところまで抜かりない叙述トリックと構成、お見事でした。

  • なんか「ヒッ!」って声出しちゃいました。
    序盤はほのぼのしてたのに急展開のホラーに!
    女性のことはなんとなく思いましたが、まさか彼まで…!

  • 最初は微笑ましい場面でしたが、所々、女性の怪訝な顔が出てきてなんか変だなと思いました。最後は殺人場面でやっとホラーっぽくなりました。

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