prologue +1(脚本)
〇事務所
事務所に着くと、色はさっそく奥の部屋(所長室)に行ってしまった。
「すぐ終わるから、待っててね」が無かったら帰っていたところだろう。
残されて暇な俺は時間つぶしにと自席に座り、
すぐ横に手を伸ばすとあるロッカー・・・の上に並ぶファイル型アルバムを手に取った。
これはまぁ『ロケハン集』みたいなものだ。
山に行った時の写真。海の写真。山荘のコテージ。森のキャンプ地。船のクルージング。
ウェイ系企業でよく見かける「アットホームな社員旅行」みたいな響きだが
まさかこれらが全部、心霊スポットや曰く付きだなんて、世も複雑である。
本当は、任された事務作業なんかもあるけど・・・・・・
ちょっとくらいは休んでもね。と思っていたところでドアが開いた。
所長に呼び出されていた色が戻って来る。
界瀬「おー、話、終わったか」
藍鶴色「うん。まぁね」
色は右手をひょいと上げ、ケーキの箱を見せてきた。
藍鶴色「これ、リュージさんたちから。さっき会ったんだ」
界瀬「お。やったー。今から休憩する?」
色は颯爽と書類の方に向かう。
藍鶴色「いや。先に片付けよう。俺も手伝う」
〇事務所
改めて説明しよう。
特異能力科は、何故か会社事務所にある。
超能力者はそもそも数が少ないし、未解決事件も毎日多発しないので
暇な時などには外部には未公開の捜査資料関係の整理
、事務作業なんかもこなすのだった。
わかったよ、と俺も片付けに加わる。
界瀬「えーっと? こっちが空の契約書で、こっちが・・・・・・」
先輩に運んどいて、と言われた書類を仕分けていると、
藍鶴色「これを、分ければいいの?」
色は、俺を無視して、
ケーキを冷蔵庫に。
それから箱から半分書類を抱えて机に乗せる。
界瀬「はい。これ見て」
俺がぐったりしながらも、
一応貰っている指示書を渡すと、彼はてきぱきと動き出した。
藍鶴色「うわ。なんか量、多くない?」
界瀬「そうなんだよ。聞いてくれよ」
界瀬「これ、実はリュージさんが頼んだやつらしいんだ」
彼は刑事だ。
グレーがかった黒髪は斜めに整えていて、なかなか紳士的な刑事さん。
理由あって別部署の癖に、よく此処に来て居る。
んで。「調査に出掛けるらしいので、代わりにやっておいてくれ」と
いうことがよくあるんだけど。
データが途中までの紙と画面の文字しか無くてね。
営業さんは向こうからもらったデータを差し替えて調合と思っていたんだろうなぁ
わけあって無理だと判断。
先方のデータはめちゃくちゃなのでテキスト取りしか出来ない。
それどころかテキスト打たなあかん部分もある、と。今こそGoogle翻訳活用かな?
界瀬「と・・・・・・」
藍鶴色「また、かぁ」
無理矢理、余所から撮った写真の文字を差し替えしてでも、
使いたい資料が頻繁にあるらしい。
再びドアが開き、細身の男性が入って来た。
所長「ちょっと、いいかな」
この事務所の所長――――
特異能力科、特殊未解決事件対策本部・事務所所長
英賀仁郎(えいが じんろう)。
界瀬「どうしたんですか」
所長「せっかくだ。界瀬君とも、話がしたくてね」
目尻に皺を作りながら、穏やかに微笑む彼。
界瀬(話?)
所長「さ、行こう、行こう」
界瀬「えぇっ」
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