未知の先に何があるの

ちぇのあ

未知の先に何があるの(脚本)

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〇渋谷駅前
剣聖「ここは一体・・・?」
  陽射しと賑わいを見せる人の波。戸惑うが緊張の為か喉が渇く。
勇者「まずは落ち着いて、水源を探さないとな。」
錬金術師「あたしも魔導師も魔力が殆ど残っていないよ。」

〇雑居ビル
魔導師「ボクが見た限り、あの魔導装置から排出される円筒がこの世界の水源となっている!」
  赤いコカ・コーラと記載された円筒を四人で飲む。
  初めての喉越しは新鮮で身体が喜んでいる。
  未知は多いがこの世界の治安は安定している様だ。
  夜に集合を決め情報収集の為一度散会する。

〇エレベーターの前
勇者「建物を高く縦へ伸ばし、施設を多く連ねる発想には驚いた。」
錬金術師「何もかもが新鮮だね!案内図を見れば施設の綺麗な絵が載っていて、行きたいお店の目星は付いたよ♪」

〇宝石店
勇者「貴石屋か、こちらの世界にしか無い金属もあるね。」
錬金術師「このお店の後にも、行きたい所があるから、しっかりあたしを守って付いて来てね?」
勇者「錬金術師には敵わないなっ。」

〇結婚式場の階段
勇者「ここは・・・?」
錬金術師「ふふん、あたしは魔導師に負けないぐらい博識で努力家だからね。何とこちらの世界の想い人との結ばれ方を知っていたのさ!」
勇者「おいおい、こっち来たばかりなのにそんな相手がいるわけ・・・。」
錬金術師「えっ!?」
  錬金術師は頬を膨らませて勇者に甘え・・・勇者を成敗した。

〇ゲームセンター
  一方その頃魔導師は・・・
魔導師「むむ、此処には恐ろしく強いエネルギーの集合体を感じる・・・!ボクには理解る!」
  彼女はゲームセンターを訪れていた。
魔導師「あっ!画面に閉じ込められた山賊がボクに話しかけている!?」
魔導師「えっボクに打撃を加えてみろ?だって?」
魔導師「そんな・・・こんな公然の場で被虐趣味をボクに押し付けるなんて・・・。」
  顔を赤らめる乙女の優しい打撃では山賊の被虐趣味を満足させる事は出来なかった。

〇カラオケボックス
魔導師「なんだ、この筐体は・・・?」
  彼女はカラオケ屋に来ていた。
魔導師「なるほど、この個室で待機して徒党を組み冒険へ出ると言うのか!良いだろう!ボクに不可能は無い!」
  その後、店員さんに優しく利用方法を教えてもらい彼女は頬を赤らめつつ、自然の中を冒険する曲を可愛らしく歌うのだった。

〇大樹の下
  一方その頃剣聖は・・・?
剣聖「心の安らぎを求めていたら、自然と此処に行きついた・・・。」
  大きな公園に着いていた。時期としてはまだ寒く花片が色鮮やかになる時が恋しい。
剣聖「この樹の下で鍛錬するとしよう。」
  流麗な重心移動、立ち居振る舞い、華奢であるに関わらず整った容姿、彼女の魅力に公園の人は増える。
  しかし彼女の集中力は決して乱れず途切れない。
剣聖「元の世界に戻れるか定かでは無いが、この樹の様に我等は耐え忍び、温かな陽射しを探し求めこの世界に大輪を咲かせて見せる。」

〇渋谷駅前
  それぞれがそれぞれのやり方でこの渋谷での生き方を模索し時は更けていく。
  夜になり四人が集う。
勇者「皆良い顔になったな。」
錬金術師「成果は上々、明るい未来が勇者とあたしを待ってるよ♪」
勇者「おま、ストレートだろ!」
錬金術師「えー、おまえは俺が守る!って言ったのは噓だったのかなー?かなかなぁ~?」
勇者「うっ・・・。」
魔導師「まったく、まだ春じゃないのに此処だけ到来しちゃってるよ~。」
魔導師「ボクも漠然とだけど、この渋谷での生き方を考えたよ。 これまでの使命から解放されて、ずっとやりたかった事をやる事に決めた!」
魔導師「ボク自身がこの街を練り歩いた話を書いてボク自身がこの街で使った魔法も小説にして話を書くんだ!」
剣聖「皆この短い時間に深く考えてきたのだな。」
剣聖「私は剣技を生かし、皆の食い扶持分は稼げる大名へ仕官致す。スポーツソリューションの剣術大会の代表として活躍する予定だ。」
勇者「俺は元の世界でもこの世界でも、考え方の基礎は変わらない。笑顔を作り続ける為に勇者として動く。」
勇者「剣聖の紹介で東急エージェンシーさんに出店する錬金術師の貴石屋と結婚式場を手伝い、彼女と結婚もする。」
勇者「俺には絵心があるから、魔導師の小説を絵本や紙芝居にして魔導師の活躍をより広く伝わる様にする。」
勇者「剣聖には稽古として俺が付く。大会の応援にも行く。」
魔導師「勇者らしいね。良い意味で一貫していて頼もしいよ♪」
魔導師「結婚式場の展示施設やショールームで僕の天候を操る鮮やかな魔法で空を虹色に輝かせてあげる!」
魔導師「貴石をより輝かせる魔法だってあるんだ!お店の繁盛は約束されたも同然だよっ♪」

〇渋谷のスクランブル交差点
剣聖「魔導師が言う様に頼もしい限りだ。」
剣聖「元の世界では駆り出され恋愛する暇も無かったようだが、こちらでは思う存分青春するが良い。」
剣聖「婚姻の速度が我の剣速や魔導師の流星群召喚よりも早くて良い意味で驚いてはいるがな。」
錬金術師「ありがとね♪もー皆ちゃかしすぎだってー!」
錬金術師「善は急げって言うよね。」
錬金術師「あたしが錬金した透き渡った蒼穹の様で、穢れを知らない未知の先にある様な青海色のアクアマリンをあたしの薬指に付けて?♪」
勇者「あ・・・あぁ。 これから皆でがんば・・・。」
魔導師「ちーがーうー!」
剣聖「否。」
勇者「ずっと好きだった・・・。 何にも無い俺だけど・・・ずっと一緒にいてくれ。」
錬金術師「うん・・・ずっと一緒だよ♪」
  とある渋谷の夜に彼女達の祝福を受けながら、淡く甘い誓いを二人は立てるのだった。

コメント

  • この人達、わりと簡単に順応しててすごいと思いました!
    でもそれくらいの度胸がないと、勇者のパーティーなんてつとまりませんよね。
    すごくポジティブで、読んでて楽しい気分になりました。

  • 異世界の人たちの立ち位置で現代日本を見たら、という切り口が楽しいですね。
    ポジティブで適応能力が高すぎな登場人物たちが生き生きとしてますね。

  • 異世界の彼らがこの世界の渋谷で順応するところが面白い。カラオケ屋で店員から使用方法を聞くところ笑った。彼らはポジティブなんだね。

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