渋谷やばすぎ≒しぶたにぴえん(脚本)
〇渋谷駅前
ノユ「うまーっ渋谷の空気」
ノユ「CO2濃厚よなー」
明日葉「ちょ ノユ 声 ボリュームっ」
明日葉「ここ渋谷!」
明日葉「島じゃないんだよ」
ノユ「明日葉ちゃん 見てあそこ」
ノユ「合戦かな 関ケ原かな」
〇渋谷の雑踏
明日葉「違うわね」
明日葉「あれはスクランブル交差点 合戦のはずないわ」
明日葉「なぜなら」
明日葉「スクランブル交差点の 横断人数は1日およそ30万人」
明日葉「一方 関ケ原の合戦は およそ西軍8万 東軍10万 計18万」
明日葉「遠く及ばないのよ」
明日葉「スクランブル交差点の30万にはね」
ノユ「明日葉ちゃんってさ」
ノユ「お勉強できるかも だけど」
ノユ「なんか残念」
ノユ「あ」
ノユ「ああっ!」
ノユ「明日葉ちゃん見て見て やっぱ合戦だよ!」
ノユ「ほらあそこ!」
ノユ「野武士 まじってる!」
明日葉「仮装でしょ」
明日葉「ハロウィンの聖地なの この交差点」
ノユ「え あれ 仮装のクオリティ? だいたい10月じゃないし」
ノユ「ちゃんと見て 明日葉ちゃん」
ノユ「あ 消えちゃった」
明日葉「ノユ ボリュームっ」
明日葉「ここ 島じゃないんだって!」
明日葉「ノユ 浮いちゃってるよ」
ノユ「島出身の何が悪いん? 明日葉ちゃん 島 好きじゃん らしくない!」
明日葉「ほら 青だよ わたろ」
ノユ「わたらんモイ」
ノユ「明日葉ちゃんなんか ”ぷい”だモイ!」
明日葉「どこいくの! 帰りの船の時間! 忘れないでね! 帰れなくなるよ!」
ノユ「明日葉ちゃんの優等生ーっ つまんなーっ」
ノユ「明日葉ちゃんのほうが 渋谷で浮いちゃうよーっ」
〇SHIBUYA109
明日葉(ついにきてしまった)
明日葉(”いちまるきゅん”)
明日葉(うう 入りがたし)
明日葉(コンビニも入ったことないのに)
明日葉(ノユがいてくれたら)
ノユ「明日葉ちゃんの優等生ーっ 明日葉ちゃん 渋谷で浮いてるモイ!」
明日葉「見てなさい ノユ」
明日葉「流行を着て」
明日葉「優等生を脱ぎ捨てる!」
〇アパレルショップ
明日葉「こんにちは」
islet 店長「え」
islet 店長「あら いらっしゃい」
islet 店長「ようこそ ”islet”へ」
islet 店長「ごゆっくり」
明日葉「はい!」
明日葉(か かわいい)
明日葉(ノユ 似あいそう)
明日葉(このスカートもいいなー)
明日葉(ノユ パンツばっかだし)
明日葉(なにしてんだ わたし)
islet 店長「渋谷 はじめて?」
明日葉「わ わかっちゃいますか」
islet 店長「ふふふ ”こんにちは”なんて 挨拶してくれるの めずらしいから」
明日葉「そうなんですね」
明日葉「島のくせで つい」
islet 店長「まあ 島から!」
islet 店長「おひとりで?」
明日葉「いえ 乗組み あっ」
明日葉「同級生と だったんですけど」
islet 店長「喧嘩 しちゃった?」
明日葉「それも わかっちゃいますか」
明日葉「その子 はしゃぐんですよ スクランブル交差点で」
明日葉「田舎まるだしで つい」
islet 店長「わかりみ~っ」
islet 店長「わたしもね 島出身なの」
islet 店長「島からふたりで渋谷きて あの交差点で喧嘩して」
islet 店長「ン十年それっきり」
明日葉「ご ご出身 島なんですね」
明日葉「てっきり東京かなって」
islet 店長「あら 渋谷なんて ”田舎もの”の集まりよ」
islet 店長「あの伝説のカリスマ店員だって 埼玉出身なんだから」
明日葉(そうなんだ)
islet 店長「ね 同級生さんに電話してみない?」
islet 店長「ふたりで 服 選びっこしてくれたら うち売上倍だし」
明日葉「携帯 持ってなくて」
明日葉「・・・」
明日葉「わたし」
明日葉「いきます」
明日葉「ノユ さがしに!」
明日葉「ごめんなさい きょうはお店これないかも」
明日葉「船の時間が」
islet 店長「いいのいいの そんなの」
islet 店長「それより」
islet 店長「わたしの 目 見て」
islet 店長「モン・モ・ヤーィ★」
islet 店長「同級生さんに会えるおまじない 迷ったら”きらきら”を見つけて」
islet 店長「あ 道玄坂には注意よ」
islet 店長「昔々にね その坂 道玄って山賊が出たらしくて」
islet 店長「その名が残ってる坂なのよ」
islet 店長「怪しい女には 特に注意」
明日葉「はい!」
〇センター街
明日葉(いない)
〇地下街
明日葉(いない)
〇デパ地下
明日葉(いない)
明日葉(どこなの のゆ)
明日葉(え なにこの空気 甘くて こうばしくて)
明日葉(ああ わたしの ばか・・・ 時間ないのに)
〇ケーキ屋
明日葉(ドーナツ屋さんかあ)
明日葉(かわいい)
明日葉(土星のわっかみたい)
明日葉(懐かしいな)
明日葉(ノユ ぜったいこれ好きだ)
明日葉(けど うう行列)
明日葉(あきらめよう)
〇道玄坂
明日葉(やば)
明日葉(日が暮れてきた)
明日葉(考えろ考えろ)
明日葉(ノユが行きそうなとこ)
明日葉(島だったら)
〇海辺の街
ノユ「いいでしょー ここ」
ノユ「地球って まあるいねー」
〇道玄坂
明日葉「見晴らしがいいとこだ」
明日葉(けど 渋谷にあるのかな)
明日葉(渋谷の空 狭すぎ)
明日葉(聞くしかない)
明日葉「あ あの」
明日葉「渋谷で見晴らしがいいとこ・・・」
「ん?」
明日葉「間違えました」
「間違えた? 何を?」
明日葉「え あ」
タロン・オオワダ「ふうん かわいいじゃん」
タロン・オオワダ(本日ふたり目じゃん大漁か きょう星座占い1位か わたし)
タロン・オオワダ「見晴らしのいいとこ だっけ?」
タロン・オオワダ「教えてもいいけど」
ドウゲン芸能事務所
代表 タロン・オオワダ
タロン・オオワダ「モデル 興味ない?」
明日葉「わ わた あ その」
タロン・オオワダ「NOならNO!」
タロン・オオワダ「はっきりね」
タロン・オオワダ「じゃないと つけこまれて」
タロン・オオワダ「攫われちゃうぞ」
タロン・オオワダ「なんせ ここ」
タロン・オオワダ「道玄坂だかんね」
明日葉「ひぃ道玄坂っ」
タロン・オオワダ「ふうん」
「・・・きみ」
「”islet”行った?」
明日葉「え」
タロン・オオワダ「危ないよ あそこ」
タロン・オオワダ「きらきらのおっさんに 余計に買わされたんじゃない?」
明日葉「いえ 何も買ってないです」
タロン・オオワダ「はっ そ! なにも!」
タロン・オオワダ「SKYかな」
明日葉「え」
タロン・オオワダ「ほら 見晴らしがいいとこ」
〇渋谷スクランブルスクエア
タロン・オオワダ「あそこの47F」
タロン・オオワダ「地上229mだよ」
〇道玄坂
明日葉「ありがとうございます」
タロン・オオワダ「気をつけて」
タロン・オオワダ(モン・モ・ヤーィ★)
〇SHIBUYA SKY
明日葉(わあ)
明日葉(これが47F)
明日葉(渋谷の夕日)
明日葉(オレンジの宝石みたい)
明日葉(ひとりで見るの)
明日葉(もったいないな)
明日葉(ノユ)
明日葉(なんでいないのよ)
〇渋谷の雑踏
(あれ 交差点のむこう)
(きらきらしてる?)
islet 店長「迷ったら」
islet 店長「”きらきら”を見つけて」
明日葉(よしっ)
〇モヤイ像
明日葉「はぁはぁ」
明日葉(きらきらしてたの)
明日葉(この顔かあ)
明日葉(ノユ)
明日葉(わたしおいて帰っちゃったの?)
こほん もし
明日葉さんでござるか 拙者
ノユ!
明日葉「さがしたんだよ!」
明日葉「どこにいたの?」
ノユ「うしろにいたの」
ノユ「明日葉ちゃんの」
明日葉「え」
ノユ「SKYからずっと」
ノユ「なんか一生懸命さがしてくれてて」
ノユ「かわいくて見てた」
ノユ「ごめんね」
ノユ「おなか すいたでしょ?」
ノユ「はんぶんこ」
明日葉「うう しょっぱいよ」
ノユ「明日葉ちゃん 声 ボリューム」
明日葉「お洋服もドーナツも夕焼けも」
明日葉「ノユ いないから えぐっ」
明日葉「がまん して」
ノユ「ごめんごめん またいこ 渋谷」
明日葉「あ 船の時間!」
明日葉「帰ろ ノユ」
ノユ「うん」
〇研究所の中枢
イアペトゥス艦長「オソイモイ!!」
「ごめんなさい」
イアペトゥス艦長「総員帰艦!」
イアペトゥス艦長「発艦用意!」
〇研究所の中枢
イアペトゥス艦長「発艦!!」
〇地球
明日葉「またね渋谷」
ノユ「またね地球」
明日葉の高揚感や不安などの感情の揺らぎが精緻に描かれていて、読んでいてドキドキ感が伝わってきました。それにしても、”島”と”船”については愉快なミスリードされましたw
島から来た…と彼女たちは言ってましたが、なんだか私が想像した船と島とは違ってました笑
ドーナツを半分こしたのかわいかったです。
島とか船とかのスケールが想像していたのと全然ちがってて、最後の展開でふきそうになりました。同じ故郷で生まれ育った友人に会いたいな。こんなやりとりしてた過去を思い出します。