最終話『負の遺産』(脚本)
〇児童養護施設
大帝「ここがその村か」
大帝「へんぴな場所だ」
大帝「この気配は!?」
村人A「威力が弱かったか、不覚」
大帝「殺気を一切感じさせず これほどの魔力を放つとは」
大帝「何者だ!?」
村長「我々はただの村の者」
村人A「村の平和を脅かす者は許さない」
大帝「侮られたものよ」
大帝「かつてあと少しのところで グレーシアを征服しかけた私が」
大帝「たかが村人にやられると思うか?」
村長「大帝よ、貴様との因果を ここで終わらせて見せる!」
村人A「さあ、尋常に!」
村長「でやああああああ」
大帝「そんなもの!」
大帝「くはっ!」
大帝「バカな、この私の結界が破壊されただと?」
大帝「こやつら、只者ではない!」
村長「大帝よ、我々と戦え!」
ケン三郎「父上」
村長「ケンザブロウよ、どうした」
ケン三郎「この者と一対一で勝負させていただきたい」
村長「分かった。好きにするが良い」
村長「あとは任せる」
大帝「貴様は?」
ケン三郎「私はケンザブロウ」
ケン三郎「大陸中を旅し武者修行を終え」
ケン三郎「”ラーヒユ村”に戻った者だ」
大帝「・・・・・・」
大帝「えっ?」
大帝「今何て言った?」
ケン三郎「ケンザブロウ」
大帝「いや、そのあと、村の名前とか 言わなかった?」
ケン三郎「ラーヒユ村のことか?」
大帝「ラーヒユとは、まさか!?」
ケン三郎「かつて先祖のラーヒユ衆が国王陛下から 大帝退治の褒美として賜った村の名だ」
大帝「あー、なるほどなー」
大帝「そういう感じね」
大帝「言われてみれば面影あるわ」
〇魔界
あの忌まわしい記憶が蘇る
数千の軍隊を相手にしても
傷一つを負わなかった私を
圧倒した男にそっくりだ
〇児童養護施設
大帝「しかし、それは過去の話!」
大帝「今の貴様が過去のラーヒユ衆のように 強いとは限らん!」
ケン三郎「ならば、我が一族の力を見せてくれる」
ケン三郎「尋常に勝負!」
〇西洋の街並み
ユーリ「ついに始まったよ」
シャルティア「大丈夫かな」
伊藤 「とりあえず遠くから見守りましょう」
ユーリ「なんか嫌な予感するんだよな」
〇児童養護施設
ケン三郎「でやあああああ」
大帝「そんなもの!」
大帝「くはっ!」
大帝「まだまだ!」
〇西洋の街並み
上杉「すごっ! 大帝に一撃入れた!」
ユーリ「引くわー」
シャルティア「引かないであげて」
〇雲の上
ケン三郎「どりゃあああああああ」
大帝「くはっ!」
〇西洋の街並み
ユーリ「空まで飛んじゃってるし」
伊藤 「最初からあの人に頼めば良かったですね」
シャルティア「私たちの苦労なんだったんだろ」
伊藤 「ここの村の方達に 本当に何者なんですか?」
〇荒地
大帝「なんという強さだ」
ケン三郎「なかなかしぶといな」
ケン三郎「くらえ!」
大帝「くはっ!」
大帝「くっ! 強い!」
ケン三郎「生まれて初めて私は喜んでいる」
大帝「なんだと!?」
ケン三郎「私とここまで長く戦える者がいたことに!」
大帝「この戦闘狂が!」
〇西洋の街並み
ユーリ「うわぁぁ」
ユーリ「大帝ぼこぼこにされてるよ」
アストピア「嫌な予感が当たりましたね」
アストピア「敵ながら見てられない光景です」
ユーリ「一方的すぎて可哀想になってきた」
シャルティア「うん」
〇荒地
ケン三郎「そろそろ力を解放させてもらおうか」
大帝「え? まだ本気ではなかったのか?」
ケン三郎「1%ほどしか出してない」
大帝「・・・・・・」
ケン三郎「でやあああああ」
大帝「くはぁぁ!」
ケン三郎「まだまだ!」
〇児童養護施設
石井「このままだと大帝様がやられてしまう」
岩本「どうにかしないと」
〇荒地
大帝「・・・・・・」
「わ、私は勝てねばならんのだ」
大帝「部下たちのために まだ負けるわけにはいかない」
大帝「部下の居場所を守らないといけないのだ」
ケン三郎「まだ立ち上がるか」
ケン三郎「敵ながら見事だ」
大帝「漢なら負けると分かっていても」
大帝「立ち向かわなくてはいけないときがある」
ケン三郎「しかし、もうお前に 私と戦う余裕なんてなかろう」
大帝「・・・・・・ふっ」
大帝「勘づかれていたか」
ケン三郎「無論だ」
大帝「だったらトドメを刺せ」
大帝「その代わり頼みがある」
大帝「聞いてくれないか?」
ケン三郎「言ってみろ」
大帝「私の命と引き換えに 部下たちのことは見逃してくれ」
ケン三郎「武人としての誇りは捨てぬか 敵ながら感服する」
ケン三郎「その頼み受け入れよう」
大帝「すまぬ」
ケン三郎「では、望み通りに・・・・・・」
「待ってください」
ケン三郎「誰だ?」
岩本「どうか、大帝様の命だけは ご勘弁してください」
石井「そうです! 大帝様はお優しい方なのです」
大帝「お前たち・・・・・・」
大帝「まだほんのわずかな時間しか 関わっていないのに」
石井「時間なんて関係ありませんよ、大帝」
ケン三郎「良い部下を持ったな」
大帝「ああ」
ケン三郎「大帝よ、提案なのだが」
大帝「なんた?」
ケン三郎「我々の長く続いた因縁 今日で終わりにしようではないか」
ケン三郎「全て水に流そう」
大帝「ラーヒユ衆よ・・・・・・」
大帝「お主の申し出 ありがたく受け入れさせていただく」
石井「ということは?」
ユーリ「大帝は助命だ」
ユーリ「敗北を認めたやつを 殺すのは忍びないからな」
石井「ユーリさん」
ユーリ「というわけで」
ユーリ「お前たちの命と引き換えに 大帝を助けてやるってことで」
ユーリ「勘弁してやるよ」
「えっ!?」
ユーリ「だって、大帝は自分の命と引き換えに 部下の助命を願ったんだろ?」
ユーリ「だったら、お前たちの命と引き換えに 大帝を助命するのが筋だ」
大帝「いやいやいやいや」
大帝「決着ついたろ」
ユーリ「ラーヒユ衆とは決着ついたけど」
ユーリ「グレーシア王国と話は別だからな」
ユーリ「俺、全権委任されてるし」
ユーリ「これで、一件落着だな」
ユーリ「大帝、あんた、良い部下を持ったよ」
石井「普通、こういうときって丸く収まりません?」
ユーリ「裏切り者には”死”だからな」
ユーリ「そうしないと丸く収まらないだろ」
ユーリ「大帝1人に対して お前ら全員でも足りないけど勘弁してやるよ」
石井「我々の価値って、、、」
ユーリ「お前たち少しだけ見直したぜ」
ユーリ「言っとくけど 裏切ったことは許してないけどな」
「・・・・・・」
こうして、大帝の野望は潰え
グレーシア王国に平和が訪れた
〇空
大帝が降伏してから数日後
〇西洋の城
〇城壁
ゼファー・グレーシア「皆の知っての通り」
ゼファー・グレーシア「英雄たちの手によって」
ゼファー・グレーシア「グレーシア王国とあの大帝との間に」
ゼファー・グレーシア「歴史的和平が成立し 共存の道を歩むことになった」
ゼファー・グレーシア「これはグレーシア王国の 今後の繁栄と発展を意味するのである」
ゼファー・グレーシア「さあ、皆で祝おうではないか」
〇空
〇漫画家の仕事部屋
大帝「・・・・・・」
家来「大帝様、こんな所を訪れて どうかしたんですか?」
家来「折角命が助かったというのに 浮かない顔ですね」
大帝「いや・・・・・・」
家来「彼らがいなくなって寂しいんですね」
大帝「ああ」
家来「確かにお城が広く感じますね」
家来「きっと元気にやってますよ(死刑まで)」
大帝「そうだな(死刑まで)」
〇貴族の応接間
ユーリ「これでグレーシア王国の憂いも 無くなったわけだな」
シャルティア「みんな、平和に過ごせるね」
上杉「さて、はじまりの村に戻りますか」
ユーリ「謝罪の旅から始まったのに 随分と長い旅になっちゃったな」
シャルティア「でも、楽しかったね」
上杉「ええ」
ユーリ「そういえば、何か忘れてる気がするな」
上杉「きっと、新島くんのことじゃない?」
ユーリ「そうだった!」
ユーリ「留守番頼んだから お土産をたくさん買って帰ろう」
上杉「そうしましょう。きっと喜ぶわ」
シャルティア「そうかなぁ? もっと何かあった気する」
〇牢獄
一方、裏切り者たちは・・・・・・
北川「ここにぶち込まれたまま誰も来ないね」
石井「何となく察してましたけど」
石井「これは完全に忘れ去られてますね」
山田「ご飯、3日ぐらい貰ってないですね」
北川「もしかして、飯抜きで死刑?」
北川「エグすぎない?」
山田「ていうか、忘れられてる?」
石井「ははははは、そんなわけ・・・・・・」
石井「ないとは言い切れない」
牢屋にぶち込まれて忘れ去られていた


